斬り介とジョニー四百九十九人斬り [アクション]
「ヤツらのアジトは?」
「あっちです」
「ヤツらは何人?」
「わからんが大勢だろう」
ぎゃ~~~~~…
谷間に響く断末魔。
それは雲霞の如く集まった盗賊たちと、たった二人の侍の壮絶な戦いを告げる狼煙だった…!
さらわれた村娘の救出。
それが山間の村に偶然通りすがった斬り介とジョニーが
腹いっぱいの飯とたっぷりの飲み物で請け負った仕事だった。
そして盗賊どものアジトにたどり着いた二人がしたことは、アジトを一望できる崖から駆け下り、
ただ無造作に用便を足していた手近な盗賊どもを斬って捨てることだった。
ズバ!
ズバ!ズバ!
ズババババババババババババババババババババババババBABABABA!!!!!!!
それは一迅の疾風であった。
二人が征くところ、たちまち血煙があがり、跡に残るは一太刀で撫で斬りにされた骸のみ。
「あそこだ!殺せーーーっ!!」
たちまち二人に押し寄せる、地平線見渡す限りの賊の波。
しかし彼らは程なくして、自分達がたった二人の侍に、まるで藁人形の如く
次々と切り伏せられる運命にあることを、胴とおさらばして軽々となった頭で悟ることになるのだった―
月刊アフタヌーンにて掲載。全1話。
あれ?
あれあれ?
あれ~~~?
という間に読み終わった全1話。
もう なんていうか
「え、もしかしてこれだけで終わちゃうの?」
と思ったときには終わっている。正に斬り介に撫で斬りにされた盗賊の気分ですw
本編115ページ。時間にして20分。
「盗賊にさらわれた村娘を助けるため、たった二人で盗賊どもを次々と切り伏せる」
筋はこれだけ。
これ以上でもこれ以下でもありません。
でもこの濃密さはなんだろう。
終わった時出てくる言葉は「すげーーー!w」
そしてもう一回読み返す。 「スゲーーーーッ!w」
何が凄いって、ほぼ全編が次々とやってくる盗賊たちを斬ってるだけなのに、全然読ませるんです。
流れるような映画の殺陣を観ているよう。
それを漫画の戯画的な描き方を駆使して、まるで「のらくろくん」みたいに
半ばコミカルに、昭和の昔の剣劇のようなリズムをもって次々と斬っていく様子が描かれ続けます。
アングル、斬り方、そして時折入る「斬り損ねちゃった、てへ☆」ってかんじの力の抜き具合。
もう絶妙です!
なぜか一列に並んで向ってくる敵を、ページの最初で斬り介が刀をびゃーーーっと走らせる、
そして左のページではその一列全員の首がびゃーーーっと飛ぶ。
そしてページを繰ると、一斉に首チョンパされた胴体から一斉に血がぴゅーーっと噴出す!
ページをめくるたび、ある意味芸術的ともいえるような斬り介の殺陣の「オチ」が描かれ、
それがひたすら痛快で面白い。
そんなアクションが次から次へとノンストップで描かれていきます。
あとは野となれ山となれ、という最後もとても潔い。
なんだろ、こういうの… 分かりづらいかもしれませんが、
TVとかで中継されるようなものすごい数のドミノに、
うっかり一個落っことして不意打ちで始まっちゃったみたいな。
止まるか?と見せかけて止まらない、次々と倒れて美しい模様を描いていくドミノのような。
うん、お話はありません。ただこの剣劇アクションが凄い!
ぜひハリウッドで映画化してほしい!(;´▽`A``
そういう漫画でした。
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