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87CLOCKERS [コメディ]


87CLOCKERS 1 (ヤングジャンプコミックス)

87CLOCKERS 1 (ヤングジャンプコミックス)

  • 作者: 二ノ宮 知子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/04/10
  • メディア: コミック


でもオーバークロックって結局なんなんですか!?

名門の英孝音大に通いながらも周囲のやる気満々モードに馴染めない一ノ瀬奏(いちのせ かなで)。
しかしある日、雪の降る中アパートの前に裸足で佇む美女・ハナに心奪われた奏は、
彼女が全てを捧げるディープな世界に巻き込まれていく。
“PCのF1レース”OC(オーバークロック)で一念発起した草食男子の運命は!?
 (カバー裏解説より)

ジャンプ改にて連載。
「のだめカンタービレ」の二ノ宮知子さん待望の新作はなんとも意外なパソコンの世界…
しかもアキバ系バリバリのディープな世界・OC(オーバークロック)に夢中になる人々を描いています。(^_^;)

オーバークロックというのはざっくり言って「パソコンの性能をアップさせて普通より早く動かす」こと。
例えばお古のパソコンなどで3Dバリバリのゲームをしようとすると、パソコンの処理が追いつかずゲームの描画が遅くなってテンポが悪くなることが起きます。それをOCをすることで新しくて速いパーツに買い換えることなく、現状のパーツの限界値を引き上げて快適にプレイできるようにする…なんてことに使うことがあります。
OCをするにはパソコンを色々いじくることになるのですが、それでどのくらいパソコンの性能が上昇したかはパソコンに円周率の計算をさせてその処理時間で計ったり、3Dゲームのデモ画面などを流すことで処理能力を計算してくれる「ベンチマークソフト」で計ることができます。そして「ゲームを快適にプレイするため」に普通の人がちょっと背伸びしてOCするのとは別に、そのベンチマークの数値が上昇すること自体に価値を見出し、普通の人が考えもつかない方法であれこれいじりまくって世界各地の人々とスコアを競ったりする人たちもいます。そんな人々のことを「オーバークロッカー」というのだそうで、それがこの物語の題材になっているのです。。

私は今ではあまりPCでゲームをしなくなったのでOCはしてませんが、数年前にネットゲームのFF11が発売になった時は、その要求スペックの高さもあってちょっといじってみたことがあります。普通に快適に動く性能があればそれ以上は別に気にすることはないのですが、なんか数値がちょっとでも上がるのが楽しくなっちゃうんですよね~。
シューティングゲームじゃないですけど、スコアが上がるのが嬉しくて、必要以上に高価なパソコンパーツを買って組み込もうとして、新しすぎるパーツの仕様とお古なパソコンの仕様が合わずに今度はその高価なパーツをつけるためにパソコン本体を新調するなんてこともやったことあります。いやーなんていうか…(^_^;)

さて、そんなパソコン雑誌にでも連載していそうな題材をあの二ノ宮さんが扱うということで、Kissを毎号購読して のだめと千秋の恋の行方にドキドキしていたファンの方はついてこられるのか…
お話の出だしは至って無難な青春マンガです。
有名音大に通う3年生の一ノ瀬奏君は非常に草食系の男の子。彼は音楽は大好きだけど他人と競うことが極端に苦手。なのでコンクールへの出場は3年間断り続け、周囲の人々のように誰かに認められて海外留学を目指したり、どこかのオケに入りたいというような希望も持たず、かといって別の就職先を探すでもなく、今のままの生活に満足していてこれがずっと続けばいいな~とか思っちゃってる男の子。それが却って周囲から何となく浮いてしまう原因になっていて、最近居心地の悪さみたいなものを感じてもいる…。音楽が趣味みたいになってるわけですね。
そんな彼がある日、真冬の雪の降る中、アパートの前に裸足で佇むハナという女性に出会って一目惚れし、その勢いでハナと、ハナが佇んでいたアパートの住人・ミケという男が夢中になっているOCの世界に踏み込んでしまうことになるのです…

それまでOCはおろか、パソコンでゲームすらロクにしたことが無さげな奏。
アパートに入ってみると、そこには基盤剥き出しの異様な姿を晒すパソコンとモニタに映るスコア、そして速さを競う世界のオーバークロッカーたちのランキングに一喜一憂しているミケの姿。ハナはミケに命令されるがままにちょっとドジをしながらも甲斐甲斐しくスコアを上げるためのサポートをしている。。
奏は視るもの、説明されるもののワケワカラなさに目を白黒させながらも、なんとかハナとの共通の話題が欲しくて、言われるがままに余り物の格安パーツを買い取って自分もOCを始めることになります。

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OCやパソコンの事にはあまり興味のない私達にも、奏が初心者らしい大失敗をしたり、周囲のオーバークロッカーの濃い面々に翻弄されたり、一方で黙っていれば美人のハナがパソコンのパーツにマニアックな知識を有していたり、OCするためのパーツ代にお金を注ぎすぎて食べ物は小麦粉から作った素うどんという、のだめとはちょっと違う方向からの「残念美人」ぷり。さすが二ノ宮さんという感じです。
何よりOCの快感にいきなり目覚めちゃうってことがないのが好感触かな。
ハナに惚れたからOCやってみたけど、これがどう面白いのか理解できずに悩む姿、逆にちょっとスコアが上がってちょっとだけ嬉しい、みたいな距離感。これがシンクロできていいんですよね。
監修役として世界的な記録を持つオーバークロッカーのduckさんという方がついているそうで、OCの技術的な部分のリアリティを補完しています。クラシックな世界を描いていた二ノ宮さんがアキバの電気街を描いたりするのもワクワクしますよw

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お話はまだまだ序盤。
試しにTwitterで検索してみると…やっぱり「OCのことはよくわからないけど、二ノ宮さんの作品だから続きも読んでみる~」といった感想が多い感じ。私も同じ感想かな。
題材こそマニアックですが、のだめカンタービレをスタートした際もクラシックのことは全く知らない状態だった二ノ宮さん。素人だからこそなのか思わず「なんだこれは!?」というインパクトのある画を見せ、ちょっとズレた感覚を持ったキャラクターを登場させることで物語に引き込むのがウマいんですよ。
ナタリーなどの記事によると3/28に発売された女性ファッション誌「MORE」の対談記事にこのテーマにしたきっかけなども語られた記事が掲載されているとのこと。こちらもちょっと興味ありますね~


試し読み → ジャンプ改×Pixiv試し読み
二ノ宮知子さんのウェブサイト → TOMOKO NINOMIYA WEBSITE
二ノ宮知子さんのブログ → Working Note
オーバークロッカーさんたちの集まりをレポートした記事 → アキバ総研

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