蒼き鋼のアルペジオ

蒼き鋼のアルペジオ 1巻 (ヤングキングコミックス)

• 作者: Ark Performance
• 出版社/メーカー: 少年画報社
• 発売日: 2010/04/30
• メディア: コミック

何か世界に変化が起きるかもしれない　オレはそれを試したく思ったんだ
…ワクワクしないか？

21世紀初頭―
人類は温暖化などの影響により地上での版図を大きく失った
そしてそれに呼応するかの様に正体不明の「霧の大艦隊」が出現
人類はその謎の大戦艦群により　全ての海洋から駆逐された
「霧の大艦隊」と相まみえ大敗北を喫したあの日より17年…
海洋は依然として霧に包まれたまま　全ての大陸　全ての島嶼（とうしょ）での
孤立を余儀なくされた人類は、来るべき「大反攻」の日を夢見ていた…

「君に…君の『イ401』に人類の最後の希望を運んで欲しい」
政府関係者を名乗る謎の男・上陰の依頼は、霧の艦隊に対抗しうる新兵器のサンプルを
蟻の這い出る隙間も無い包囲網を突破してアメリカへと届ける過酷なものだった。
「オレ達に太平洋を渡れ…と言うのか？　霧の艦隊がウヨウヨいるあの海を？」
前の大敗北から17年を経てもなお、人類の天敵であり続ける「霧の艦隊」。
年若い艦長を務める千早群像の潜水艦こそは、今現在唯一「霧」に有効な手段を持つ、
「霧」の潜水艦イ401だった―

ヤングキングOURSにて連載。
「ギレン暗殺計画」や「光芒のア・バオア・クー」などを描いた3人組のユニット
Ark Performanceさんが描くSF海洋戦記ものとなります。
本日最新3巻が発売となり、それまでちらほらとこの作品を
話題にされる方がいらしたので読んでみました。
緻密で硬質な描き込みでガンダムの世界を濃密に描いていた氏が、
今度は迫力のある艦船と、新兵器、そしてその艦を擬人化したような美少女たちを
思うさま描いたという作品。
あとがきには
「新型魚雷だけじゃつまんねぇ！そうだ！美少女だ！
美少女がでっかい魚雷をダーンッ!!とブッ放すんだよ！」
というようなノリの打ち合わせを重ねて作った作品だそうで、
人類が束でかかっても太刀打ちできない超強力な「霧の艦隊」と、
今では唯一人類が霧の艦隊に抗しうる力となった元・霧の艦隊所属の
潜水艦「イ401」とそれに乗り込むクルーたちが渡り合う物語となっています。



舞台はある日突然第2次大戦期に帝国海軍が保有していた艦船と同じ名、
同じ外観だが、人類が全く歯が立たない超兵器を装備した「霧の艦隊」に
制海権を握られた世界。
主人公は「霧の艦隊側に寝返った」と言われる千早翔像大佐の息子・千早群像で、
国立海洋技術総合学園に通っていたが、これまたある時突然目の前に現れたイオナと、
当時群像のクラスメートだった数人と共に国の最重要機密事項の塊「イ401」に乗り込み、
恐ろしく思慮深い群像を中心にして「霧の艦隊」に唯一対抗できる艦として
活躍をすることになります。

「緻密」でカッコイイ！というのがこの漫画の特徴でしょうか。
それは絵柄でもあるし、ここ一番での戦闘シーンのやり取りでもそうです。
そういえば「光芒のア・バオア・クー」でもその表紙の戦艦のリアルな絵が気になったのでした。
そして絵だけではなく、海の底を航行する潜水艦が計器類で彼我の状態や残弾数を正確に把握し、
相手の動きを予測してその対策を矢継ぎ早に指示していく海戦の様子がめまぐるしくてスリリングです。
相手の姿が見えない戦場だからこそ、緻密に緻密を重ね、時に大胆な作戦を立てて
一介の潜水艦でしかないイ401が圧倒的な火力と頑健さを持つ相手に対抗する、
そのゲリラ的な戦い方がイイんですよね。



「霧の艦隊」は謎が多い敵で、メンタルモデルと呼ばれる艦の意志が人の姿を取ったかのような
美少女達が、人間よりも遥かに高度な演算能力を備えている一方、
自分達にはない「意外性」や「勘」でまるでこちらの行動を予測していたかのように
対抗してくる千早たちに戸惑うところや、始めは冷たい機械そのもののような
無表情をしている彼女達が、まるでつられるように人間らしい感情を備えていく様子が面白い。
特に霧の重巡洋艦であるタカオの変わりっぷりは凄い。一気に萌えキャラと化してるし(;´▽｀A``

ここ一番でのクライマックスでの迫力の作画も必見です。
とにかく戦艦の一発を喰らったら瀕死の潜水艦では、音を消し、
気配を消して相手の裏をかき、見つかったら全力掃射をして
その爆音で自分達の姿を覆い隠す、という戦い方…
いやあ面白いですよ～！


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