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C79 コミックマーケット 同人誌感想2 [同人誌即売会]

マンガサイトを運営するようになって、時間的にも殆どマンガ以外の
コンテンツに触れる余裕が無くなった自分にとって一番今回のコミケで困った事は、
自分が触れたことのある二次創作を出しているサークルさんが極端に少ないことでした。
これはファンによるパロディマンガという側面を持つ同人誌即売会においては
極端に選択の幅が狭まる、極端に言えばコミケに参加する意義すら喪いかねない重大事でした。
…いや、自分が流行のものをおさえてないのが悪いんですけど(;´▽`A``
それにしても、と思うのです。
コミックの二次創作なら、ジャンプ系でなければ多分大丈夫だと思うのですが、
それ以外ではあまり出会えなかったんですよね。
以前なら、3日目でも天野こずえさんの「ARIA」であるとか、
「ひだまりスケッチ」「らきすた」とか有ったのですが。
けいおん!はマンガ原作ですが、アニメの方が話題は強かったですし…。
美少女系でもこれ!という強いマンガ作品がブレイクするといいなあと願いつつ、
今年は話題のアニメだけでも最低限おさえるのを目標にしたいところです。
がんばるぞ~

つまらない戯言を呟いてしまいましたが、とりあえず2回目です。どうぞ!


どじんち
私が高校時代からファンのイラストレーター中村博文(どじ)さんのサークルです。
中村博文さんと言えば、主に角川書店のゲーム系の雑誌などで挿絵を担当され、
「蓬莱学園シリーズ」や、「ソードワールドRPGリプレイ」、ゲームでは瓶の中で生きる
小さなホムンクルスの女の子を育成するSLG「メリクリウス・プリティ」など、
黄金色や蒼緑色などの極彩色の色使い、不敵な表情や独特で幻想的な小物類の数々など、
他では見たことのない絵柄が特徴の絵師さんです。
ファンではあるもののコミケではいつも大人気で、その同人誌はどうしても手に入らず
今まで断念してきたのですが、今回も半ばダメモトでスペースに伺ってみたところ、
いつもとは違う配置で、テーブルに山と積まれた同人誌がほぼ待ち時間無しで手に入るという
夢のような状況…!今回は新刊と既刊1冊ずつ出ていたので早速購入いたしました。

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「つばさサクリファイス」
「白く冷たく乾いたジェニファ」
「つばさ~」は西尾維新さんの小説でアニメ化もされ、今大人気の「化物語」に出てくる
ヒロインの一人、羽川つばさを主人公にした、いわゆる二次創作ですね。
内容はといえば、完全に理性のタガが外れてしまって獣のように餓えた本来の主人公
阿良々木君の潜む小屋につばさが入り、ひたすら悲愴な思いを抱きながら犯され続けるという…
18禁のエロものです。
理性が飛び、荒ぶる阿良々木君に乳房を噛み千切られんばかりに暴力的に犯されながら、
しかし自らもストレスを溜め込むと自分とは違う破壊的な衝動を持った化猫になる
体質を持つつばさは、ひたすらなすがまま、
むしろ犯され続けながらも阿良々木君を愛していると言うのです。
もうこのドロドロして破滅的なエロスの世界。
シャーペンと鉛筆を画材として描く、どこまでも深い闇。
その闇にぽっかり浮かぶつばさの白い裸体が踊る様は、単なるエロ同人誌というものではなく、
救われることのない二人の深い哀切のようなものを感じます。

もう一方の「~ジェニファ」は、サクリファイスと同じくドロドロしたエロス。
どじさんの真骨頂であるフルカラーで、群がる馬達に犯される少女と、
それを観てしまった少女の姉の、これまたドロドロした互いの昏い感情を切々と語る物語です。
いやあ、もうこりゃいい感じに狂ってるなあ(;´▽`A``
もやもやっとした底知れない黒い背徳的なオーラを感じる、他には無い魅力があります。

中村博文さんの同人誌は、今までコミケのみで販売され、書店卸しなどはしてこなかったのですが、
調べてみたところとらのあなで既刊「メラレウカの湿度」という作品が通販で購入できるように
なっていたようですので、興味がおありの方はどうぞ。


ぱへかへ
前回コミケで初めて伺って、ファンになりましたので今回の新刊を購入してみました。
商業誌では「貧乏姉妹物語」を連載をされていた黒タイツスキー・かずといずみさんのサークルです。

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今回の新刊は「黒田何時子と私」(クロタイツコトワタシ→クロタイツ…(;´▽`A``)
このマンガ、実に面白い試みをされています。
なんとまさかのゲームブックなんですよ!マンガでw
内容はといえば、毎日学校に遅刻ばかりして留年寸前の黒田何時子ちゃんを、
どうにかして遅刻せずに学校に行かせよう!というもの。
彼女の起こし方から登校時に言う彼女の何気ない言葉への対応まで、
1ページのマンガの最後に出てくる2択の選択肢から、該当のページへ跳んで結果を読むという…
いやぁ…これ、なにげに一つのシチュエーションに対して2つの結果を描くのだから
労力かかってますよ(;´▽`A``
でも楽しいなあw
何時子ちゃんに着替えを渡すのに制服じゃなくて黒タイツを先に渡すと
「江●さんになっちゃうじゃない!バカー!」
て言われて家を追い出されてエンドとか…いやーアホなノリでいいわぁ。
実験的に創られたもので、ページ数は表紙を含めて24ページと、
内容は少ないのですが評判がよければ新作を作ってくださるとのこと。
次も是非可愛い女の子にヘンな選択肢を選んでみたy(ry


友情出演
創作系のサークルさんの島を歩いて偶然目に入ったサークルさん。

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「形見と遺詠」
というコピー誌が面白かったです。
とある通信空手を極めた妹と、彼女に振り回されるツッコミ役の兄との16頁のコメディ。
通信空手を極めた妹は空手道の深奥に至り、
なんとTV画面を通して映っている相手に攻撃ができるようになったという!
そこでTVに映し出される悪者を次々と、しかもなぜか相手の喉を突く「仏骨」のみで倒すという…
最後はチャンチャン♪オチでしたが、攻撃対象がどんどんエスカレートしていく話運びが面白かったです。


直進ヘリコイド視覚音痴
横長の本のやや右に配したにっこり笑顔の少女と、見覚えのあるオレンジ色にイチョウのマーク。
これは都内の荒川区、北区、豊島区、文京区などをはしる「都電荒川線」という
路面電車をテーマにしたカラー本でした。

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「Nostalgic Future」
私の実家が都電の沿線で、これはもう都電への自分の思い入れが手に取らせた本です。
中はイラストレーターで描いたような綺麗な曲線で描かれた、
個人的にも一番目にすることが多かった都電7000系の車体と、その都電に乗っているという
シチュエーションで少女が配され、三ノ輪橋から終点の早稲田駅までの各地の風景をバックに、
「都電のある風景」を数行のテキストで紹介するという絵本のようなイラスト本です。
黄色と黒のツートンカラーで描かれる都電と、都電が走っている風景。
この風景がまた都電と同様滑らかで美しい曲線で描かれているのですが、
実在の風景とよく似てるんですよ。
片やカメラの評論サイトを運営されているpaicalさん。
片やセンスを感じさせる絵を描くバターナッツさん。
都電愛を控えめに落ち着いた感じで語る良い雰囲気の本でした。

アリスブックスComicZINでも通販されているようです。


マイカタ工業
東京に本社をおく、とあるwebデザイン会社の名古屋支店。
そこに務める人たちは皆個性豊かな人ばかり!
責任感があって周りに気を遣える人や黙々と仕事をこなす人もいれば、
チームリーダーなのにだらしなかったり、空気読めないナルシストだったり…
同じ支店で働く17人のスタッフ達が描かれる実録マンガ

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「かたくり 総集編」
気の合わない人もいるけれど、みんなで概ね和気あいあいとやってきて、
他の支店と比べて唯一の黒字も出しているという自負をもって働いてきたナマウラさん。
今年は新卒が3人増えて新人育成に新たなチームリーダーを任されるなど
ますます頑張らないと!と思っていたある日…
名古屋支店長がナマウラさんを含む一部のスタッフに伝えたまさかの「人員削減」。
突然のお達しに戸惑うナマウラさんたち。
そこからは坂を転げ落ちるように更に重大な通達が社長より申し渡されます。
これから自分達はどうなるのか…!?
不安で不安で仕方ないのに、責任者たる自分だけが知っている情報を伝えるわけにもいかず
思い悩むナマウラさんの苦しみが痛いほど伝わってきます。
「名古屋支店を守ってくださいね!」
配属されたものの、あっという間に異動となった新人さんの言葉が胸に刺さる
クライマックスのシーンはそういった体験をした人なら涙なくしては見られないんじゃないかな。


紅屋
妹に邪な感情を抱くヘンタイお兄ちゃんと、そのお兄ちゃんにわざと隙を作り、
その見苦しいまでの兄のムッツリぶりが大好きという歪んだ感情を抱く妹のラブ(?)コメディ
「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」
の作者・草野紅壱さんのサークルです。
アニメ化も決まって個人的にも楽しみな今回の新刊

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「お兄ちゃん~」纏めラフお絵かき集
これは要は今まで「お兄ちゃん~」関係で描いてきたイラストのラフを掲載して、
メインヒロインの奈緒や、彩葉、繭佳嬢の今のデザインに至った事情であるとか、
そのカットを描いた時の事情とか、奈緒と兄の修輔が住む家の間取り図などの設定であるとか
「お兄ちゃん~」関係で絵に起こしたものをぶち込んで創ったイラスト本です。
これは完全にファンブックみたいなものですね。
偶然サークルさんを廻っていてお見かけしたので買わせていただきました。
特に制服にかけた情熱は並々ならぬものを感じました。
あと女の子から衣服から、とにかく全てに丸みを帯びた草野さんの絵柄が
やっぱり可愛らしくて好きだなあと再確認した次第です。


大阪芸術大学 漫画道場鉄漫
きっかけは島本和彦さんのマンガ「アオイホノオ」などでも出てくる
島本さんの通った大学だったことから、たまたま通りすがった時に思い出し
「今の大阪芸術大学の人はどんなマンガを描くんだろう」
と興味を持ったからでした。
214ページの同人誌としては立派なもので、表紙もさすが芸術大学!という感じ。
12人の学生さんたちが、人情ものからギャグからダークファンタジー、学園ラブコメ、アクションなど
100人を超すという大所帯の鉄漫に在籍する方々から選り抜いた、
バラエティ豊かな部誌となっています。
絵の綺麗さ、お話しの完成度も実に多種多様。
読んでて面白い!というのもありますし、「…え?これ結局どういうお話?」というものまで(;´▽`A``
ただ、なんだろう…学校の部の活動として学校の名前を背負って発行される漫画というのは、
この本に限らず明らかに他の個人でやられる漫画とはそのアプローチが違う感じがします。
「『物語』を描こう」とする意志が強く見えるんですね。
勿論個人でやられる方の中にもそういう姿勢が見える方もいますし、
逆に「可愛い女の子の萌えるシーンが描きたい!」というアプローチが下だとか、
物語をきちんと描く方が上だとかそういうことではなく、
話の最後にきちっとFinマークがついて綺麗に終わる感じ。
そういうカラーが共通している気がします。
大学発行の漫画はあまりあれこれ読んだわけではないので、
偉そうに語れるモノでもないんですがなんとなくそう感じたもので(;´▽`A``

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「super tetsumanga ver.2010」
今回発行されたこの新刊の中で、特に気に入ったのは キクヅマヒロキさんの
「いつかいっしょにジャスコへ行こう。」
空手部主将の空手バカ。軟派なことには全く興味がなかった一本木君が、
ある日学校で出会った愛野(いとしの)さんに一目惚れし、彼女にらぶれたぁを渡そうとする間に
色々な事件に巻き込まれるというスラップスティックコメディです。
愛野さんは見た目2.5頭身くらいの顔もあっさりめwでちんちくりんな女の子なのですが、
恋のキューピッドにハートを射抜かれた瞬間 バシュ バシュ バキューン! と
3コマ使って一本木君の心で美化されていく愛野さんの顔が美少女に変わっていくところが面白いw
これが描きたいがために普段はあっさり顔にしたのかあ!と私も射抜かれてしまいました。
何とかラブレターを書いたはいいものの、こういったことには奥手の一本木君。
彼女に渡すタイミングを計るため、結果的にそれはストーキング行為に…。
しかし一本木君がタイミングを計っている間に、愛野さんは偶然とんでもない事件に
巻き込まれてしまうのです。
そこからは一本木君の本領発揮!
誰もが惚れるシチュエーションで愛野さんを助け出し、最後に差し出した一本木君の恋文を
彼女は受け取ってくれるのか…?!
もうとにかくコマの使い方が上手い。
話のテンポも、ちょっとハズしたギャグも効果線も上手い。
いやあ さすが大阪芸大、いいもの見ました。

あと個人的にシチュエーションが面白いなと思った作品が、灰ぼんさんの描いた
「恋愛マンガ」
これはとある高校の互いに見知らぬ男女が出てくるのですが、
「7Pになると僕たち『恋』をしてしまうらしい」
と最初に男の子が宣言するところから始まる挑戦的な趣向。
ページが進むたびに男の子が「今●ページ目だ」などとカウントするものの
次々とヘンなシチュエーションが出てきて、惹かれあうどころか
ドタバタしているうちに迎える運命の7ページ目。
でも肝心のオチはイマイチだったかなw
ちゃんとエンディングが納得いくものが浮かんでいれば、という前提であれば
そこまでの話運びは面白かった作品でした。
他の作品も含めて絵的にもお話の創りも欠点はいくつも見当たりますが、
メッセージは強く感じる同人誌だったと思います。



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