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COMITIA100 同人誌感想5 ~東京大学漫画調査班TMR編 [同人誌即売会]

東京大学漫画調査班TMR
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TMR第68回調査報告 コミック★ロックシューター
同人誌感想5回目は「マンガ批評ジャンル」の同人誌を購入したので2回に分けてご紹介しようと思います。
こちらは2月に下北沢で行われた「ツブヤ大学Manga講座~マンガランキングを考える」で紹介された、大学のマンガ批評サークルが発行した同人誌です。
ツブヤ大学のイベントでは、タイトル通り昨年末から続々と発表されていた「このマンガがすごい!」等のマンガランキングをテーマにして、ランキングを発表する意義であるとか楽しみ方、書店などを含めたランキングの影響などについて現役書店員さんなどをゲストにした講義を聞くことができたのですが、そこで紹介されたのがTMRと、次の漫トロピーの同人誌なのです。
自分のサイトを棚に上げてお話することになりますが、それまでは私もこういった同人誌が存在していることは知ってはいましたが、新刊書籍ですら発売直後にAmazonなどで素人のレビューを読むことができるのに、わざわざお金を払って、しかもネットに比べれば断然速報性に劣る同人誌を買う意義が見いだせなかったのです。
しかし今回ツブヤ大学さんで話題に上ったことから、ちょっと興味が出て買い求めてみた次第です。
さて、中はどのようになっているのでしょうか…


中綴じで80ページ強のいかにも「部誌」という感じの装丁。
中ではTMRのメンバーがこぞってマンガのクロスレビューでもやっているんだろうなあと思って開いてみると、いきなり出てきたタイトルは「バイト特集」。
いきなり目が点になりつつ中を読んでみると、アルバイト情報誌に似せた紙面づくりになってますが、マンガに出てくる架空のお店や企業の求人情報がずらり。例えば「塾・教育の仕事」の中には
JR麻帆良線「麻帆良学園都市中央駅」徒歩5分
 (社)カワイイ女の子と楽しく英語教師 月給25万円~
 (資)★未経験者歓迎
    ★要魔法学校卒業資格
    ★女子中学生にいやらしい気持ちを抱かない方、ぜひ!
    ★精通前・童貞の方歓迎!!
 (待)★衣食住完全保証!!
    ★学生寮に女子中学生と同居!!
    「魔法使い」であることは生徒に隠してください。
    これに違反したことにより発生するあらゆる不利益(オコジョになる等)に
    当方は一切の責任を負いません。
 麻帆良学園中等部 教務課
 埼玉県麻帆良市 麻帆良学園都市 麻帆良学園中等部
 TEL 048-XXX-XXXX

というような感じの広告を掲載しているのです(念の為、上記の募集は赤松健さんの「魔法先生ネギま!」からのものです)。
それ意外にも「麻雀の代打ち」を募集する「ざわ…」で有名なあのマンガからのものや、かといえば報酬が「生き返る」ことという「霊界探偵」の募集(冨樫義博/幽遊白書)、ごく普通の書店員の募集かと思わせきや「エロ漫画に精通した小学生限定」の募集だったり(横山知生/私のおウチはHON屋さん)、アニメーションの制作進行の募集では「24時間テレビ用のアニメを作ります!漫画の神様と一緒にできる素敵なお仕事です!」というキャッチコピーなどは「ブラック・ジャック創作秘話(吉本浩二×宮崎克)」のカットが添えられていて、読んでいればそのブラックな職場環境を想像して思わずニヤリとさせられる、そんなネタのオンパレードなのです。キュウべえが魔法少女を募集してるなんてのもありますよ。

続いて掲載されているのは座談会。
大学部誌である為、TMRに今年度入った新歓的側面の企画もあるようで、「この漫画が準必修!」という、先輩から後輩へのお薦めマンガ話が掲載されています。
マンガお薦めと言ってもそこは内輪向け。誰かがおすすめ本としてタイトルを挙げると意に沿わない他のメンバーから「は?」とか容赦ないツッコミが入ったりしてそこが面白い。必至に擁護する者、遠慮のない質問を浴びせかける者、決して読み物として理路整然と推薦文を読み上げるような外向けのものではないけれど、否定的な意見に対して「ここがいいんだよ!」と断片的に主張する情報は簡にして要、そのマンガの魅力を端的に表しているとも言えます。

それからクロスレビューや、とあるマンガをテーマにしたマンガ論(オチ有)など私が想定していた記事もありつつ、中でも面白かったのは「国道16号線沿いブックオフレビュー」。
これはその名の通りTMRメンバー数人がレンタカーを借りて国道16号線沿いのブックオフ(一部には他の古書店も含む)を3日間かけ「来店したら必ず商品を一つ以上買うこと」という縛りを設けてめぐるもの。
以前には関西でも行ったことがあるらしく、時間はあっても無尽蔵にお金があるわけでもない大学生たちが掘り出し物の本を見つけたり、面白そうな品揃えの全く無い古書店で縛りがあるために悩みに悩みながらどうにか購入するエピソードなど、この同人誌全体から感じることではありますが、同じマンガの趣味を持つ仲間たちとのワイガヤ感がとても楽しそうで羨ましい。これ、やってみたいと思っても一人じゃ味気ないですしね(^_^;)

以上、なんか単純に紹介するだけで結構なボリュームになってしまいましたが、個人的な印象としては単純に好きなマンガをレビューするだけではなくて、「マンガ好きな仲間が集まって互いの意見に容赦ないツッコミを入れるやり取りが楽しい」ということと「意外と読む人が楽しめる面白企画を考えてる」ことに魅力を感じることができました。逆に最新マンガの話とかは少なかったかな。クロスレビューも「アルファベット名作者縛り」だったりして、必ずしも面白いマンガばかりに言及するわけじゃないところが「情報誌」というより「読み物として面白い」ことを目指して作られていることが感じられてかなり面白く読めました。

次回の会誌は5/28の東京大学で行われる「五月祭」、そして夏のコミックマーケットでの頒布を予定しているようですので、ちらっと読んでみてはいかがでしょうか。


ツブヤ大学Manga講座~マンガランキングを考える
※TMRの会誌の話題は「講座の模様 後半」の動画15分40秒くらいから触れています。
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