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デビルマン [スリル/サスペンス]


デビルマン (1) (KCデラックス (435))

デビルマン (1) (KCデラックス (435))

  • 作者: 永井 豪
  • 出版社/メーカー: コミックス
  • 発売日: 1993/12
  • メディア: 新書


おれは からだは悪魔になった… だが 人間の心はうしなわなかった!
きさまらは人間のからだをもちながら悪魔に!悪魔になったんだぞ!
これが!これが! おれが身をすててまもろうとした人間の正体か!


「父がのこしたものをみせられる人間は不動明!きみだけなんだ!わかってくれるか!」
飛鳥了は絞り出すように訴えた―

考古学者であった了の父が残したもの
それは人間が地球に登場する以前の遥かな太古
地上を支配していた悪魔「デーモン」たちの記録だった!
彼らの記録によりデーモン達は地上を力によって征服していたこと
そして弱き者は容赦なく淘汰されるため
次々と合体することで力を増していったことを知る
「時間が無いんだ…デーモンは地球を人類からうばいかえそうとしている!」
そのためには デーモンの意識を抑えられる強い意志と正義を愛する人間
すなわち不動明がデーモンと合体して人類を守るしかないという!
―明の心は既に決まっていた
「いこうぜ!閻魔 地獄のとびらをあけてくれ!」
「オウ!」
そして不動明は 人類を救う唯一の希望 デビルマンになった!!

週刊少年マガジンにて連載 復刻版は全5巻
言わずと知れた鬼才・永井豪の代表作のひとつですね
今回は「阪大漫研Podcast」の149回配信分より
そのレビューが非常に面白かったので読んでみました
何故いまさらデビルマン?という方もいらっしゃるかもしれません
でも永井豪氏の原作コミックを実際に読まれている方は意外に少ないのではないかな?
と読まれている方には失礼ながら個人的に思う次第です

というのも私自身がそうなのですが デビルマンと言えばTVアニメ版の
「愛に目覚めたデーモン族の裏切り者」のデビルマンしか観た事が無かったからです
しかし原作の方では不動明と合体する デーモン族の間では勇者とも呼ばれる「アモン」は
明の強い意志と正義の心によってその自我を抑え込まれる立場になっています
そして気弱な少年だった明もまた アモンの影響で好戦的な性格になっていくのです

儀式によって悪魔の身体を乗っ取り デーモンに対抗する力を得た明は
次々と襲い来るデーモンとの対決に晒されます
それは時には明が居候している先の娘・牧村美樹を巻き込む戦いであったり
学校の生徒達全員を操って明を襲わせるものであったり
明を慕う小さな女の子を盾に攻撃を仕掛けてくる戦いであったりします
これ カバーの折り返しの作品紹介には 「恐怖漫画」 って書いてあるんですよね
その戦いの一つ一つが凄惨で 多くはその中で明に葛藤と選択を迫る戦いが描かれていきます

img320.jpg
中でも個人的に凄いなあと思ったのは巨大なカメのような姿をした悪魔・ジンメン
ジンメンは 喰らった人間の生きたままの顔を 背中の甲羅のこぶに
浮かび上がらせる能力をもっていて ジンメンは明を慕う小さな女の子を喰らうことで
甲羅に浮かんだ女の子を盾にしてデビルマンの動きを封じる作戦に出ます
手出しができず 苦戦するデビルマンに 最後には女の子が
「私を気にせずこいつを殺して!」と叫び デビルマンは 女の子の顔もろとも
ジンメンの身体を貫くという…!
貫いた瞬間 デビルマンが残った女の子の見開いた片目をそっと閉じさせるシーンは もう…
そしてその後爆発するデビルマンの怒り! そこまでの溜めが本当に巧いんですよ~

人としての心がぼろぼろになりながらも悪魔を撃退していくデビルマン
しかしデーモンは遂に人間達に大々的に攻撃を仕掛けてきます
それは無差別に テレポートを駆使して人間達と合体し
悪魔に乗っ取られた人間達が暴れまわるというもの
母は子を 子は親を 容赦なく弄び 喰らう
そして突然のデーモンの襲来に パニックとなった人間達は疑心暗鬼となり
「いつ自分の隣のヤツが悪魔になって襲ってくるか分からない」
という疑心は ほどなく悪魔に乗っ取られたと疑わしい者を無差別に殺す
「魔女狩り」となって現れます
人間が人間を襲う 終末の世界
明は 守るべきはずだった人類の 同じ人間同士の醜い争いを目の当たりにして
徐々に自身が今まで闘ってきた意義を見失っていきます
そして明が最後の希望とすがった 最愛の者の凄惨な死を見せつけられたとき
明 いやデビルマンは この状況を作り出した真の黒幕への怒りのみを原動力に
それから始まるデーモンとの最終戦争・アーマゲドンに突き進んでいくことになるのです

img323.jpg
人間の敵はニンゲン
TVアニメでは飽くまでも人間の側に立ち 人知れずデーモンと闘い続けたデビルマンとは
内容が異なります 疑心に囚われた人間たちがかくも同じ人間に残虐な行為ができるのか…
まさにホラーマンガとも言える間違いなく傑作です
この記事の冒頭のセリフを叫ぶデビルマンの怒りと哀しみに歪んだ貌…!
手に入りづらい作品かもしれませんが まだご覧になっていない方には
強く!ご一読をおススメします


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コメント 5

.中尾治人

デビルマン来ましたね!
人間であることをやめるという決断にぐいぐい引っ張っていく展開にはすさまじいものがありますよね。
アニメ版とは全く違うということを覚悟の上、多くの人に読んでいただきたい名作だと思います!
by .中尾治人 (2010-07-13 01:37) 

meriesan

アニメ版しか知らなかった私には本当に衝撃的でしたよ~
遅まきながら永井豪さんが凄いと言われる理由の一端がようやく分かった気がします。
by meriesan (2010-07-13 02:05) 

KAI

個人的には、強烈なトラウマ漫画です。
どんどん破滅的な展開になる終盤は、読む側にも相当なエネルギーを求められますね。
現在活躍中の多くのクリエイターに影響を与えたというのも頷ける傑作だと思います。

by KAI (2010-07-13 11:54) 

meriesan

確かに 強烈な爪痕を残す作品ですよね~ 影響を与えたといえば、ジンメンのエピソードはキン肉マンのプラネットマン戦を彷彿とさせるのですが…(;´▽`A``
by meriesan (2010-07-14 02:38) 

kaoru

1923年にあった関東大震災での朝鮮人狩りが、
この作品の悪魔狩りに強く影響しているそうです。

by kaoru (2013-04-11 04:05) 

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