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ドラゴンヘッド [スリル/サスペンス]


ドラゴンヘッド(1) (ヤンマガKCスペシャル (519))

ドラゴンヘッド(1) (ヤンマガKCスペシャル (519))

  • 作者: 望月 峯太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/03/01
  • メディア: コミック


闇や怪物やこんな…狂ってしまった世の中を恐れているだけじゃなくて…
そういうものに闘いを挑むことのできる心だけが
人を前に進ませられるんだとおばさんは思うのよ…


高校の修学旅行からの帰り道
青木輝(テル)達の乗った新幹線は 突然の激震に襲われ
浜松辺りのトンネル内で脱線事故を起こしてしまう
車内の人間はほぼ全員が即死
奇跡的に生き残ったテルは同様に生き残った瀬戸憧子(アコ) 高橋ノブオらとともに
崩落し出入り口が完全に封鎖されてしまったトンネル内で出口を求めて彷徨う
完全に外界から遮断されてしまった中で 人の死と絶望的な状況
そして暗闇による恐怖は3人を徐々に狂気へと駆り立てていく…

ヤングマガジンにて1994年~2000年まで連載 全10巻
突如発生した謎の大地震によりトンネル内に閉じ込められた少年たちが
家族の待つ家に帰ろうとサバイバルをしていく物語です
2003年には映画化もされた作品だそうです
このマンガはBookOffで中身を読んで面白そうだったので買ってみました

パニックホラー というジャンルになるのでしょうか
まず飛び込んでくるのは圧倒的な闇
そして一瞬にして命を奪われた 乗客たちの死体が散乱する車内
崩れかけたトンネル― つまり背景の描き込みが全編に渡って物凄いということでした
ご存知の方であれば大友克洋の「AKIRA」のような
あの緻密でリアリティのある画が 特にトンネルを脱出した後
そこかしこで崩落した町の家々やビル群 そしてヒビ割れて凸凹になったアスファルト
これが息苦しいほどに ほぼ全てのコマを覆い尽くしているのです

トンネル内に閉じ込められた3人
今だ時折余震が続く中 トンネル崩壊の恐怖に怯えながら
テルとアコは出口を求めて彷徨います
しかしノブオはこの絶望的な状況下で次第に狂いはじめ
体中に化粧道具で奇怪な紋様を描いたり
生活指導の高圧的だった先生の死体を祀り上げたりし始めるのです

極限状態で湧き上がる人々の恐怖と狂気―
それはトンネルを脱出することに成功したテルとアコに
その後も容赦なく突きつけられます
ノブオのように恐怖に駆られおかしくなってしまった人々や
自分が生き残ることだけに必死で 他人にどんな残酷なことでも平然とやってしまう人
道が崩れ ぐずぐずになった荒野よりも
むしろ 暴徒と化した人間がいる町のほうが危険 という状況
誰を信じればいいのか 一瞬も気の抜けないこの状況が
二人を何度も絶望に引きずり込もうとするのです

img361.jpg
突然の災害は ただの大地震ではありませんでした
空は厚い雲が覆って陽の光を遮り 空気中には塵が霧のように立ち込め
隊から抜け出した自衛隊の元隊員・仁村と岩田のヘリから観た様子で
地形そのものが 奇怪に変貌していることを知ります
そんな中をテルとアコは ひたすら東京へ―
家族が待っているはずの家へと必死に向かいます
家は そして家族は無事なのか―?

ラストが若干消化不良で終わっている感が残念ですが
全てが解決して大団円 とはいかないところは納得できます
それまでの物語もおなかいっぱいになるくらい濃厚で
満足感は高い作品かなと 私は思います
約10年前の作品ですが 結構古本でも在庫をみかけるので
入手は容易かと思われます
アイアムアヒーロー的な終末感漂う物語がお好きな方には特におススメです
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KAI

今思うと、いかにも世紀末っぽい作品でしたが、誌面から漂う緊張感が凄かった印象があります。
文中で仰っているように、ラストが少し残念な作品でしたね。ちょっと勿体なかったかなと・・・。

by KAI (2010-08-06 10:44) 

meriesan

そうですね、ラストが締まれば言うことなしの傑作だと思うんですけどね。
f^_^;)
個人的にはプラトーンのラストみたいになって欲しかったな、みたいな。
by meriesan (2010-08-06 12:43) 

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