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ハナムラさんじゅっさい [青春/自分探し]


ハナムラさんじゅっさい

ハナムラさんじゅっさい

  • 作者: ハナムラ
  • 出版社/メーカー: 株式会社 銀杏社
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: コミック


いや 恥ずかしいですよ 恥ずかしいんですけど…それよりも見せたいんです

新人賞入選を取ってから早6年…
「僕 “連載”決まったんスよ」
「…おー …それはおめでとうございます」(;´▽`A``
年下に先にデビューされた…そんな内心の動揺を抑え込み、
僕は自分でもわかるくらい上っ滑りした祝辞を述べる。
とある少年誌でたまたま偶然賞を獲っちゃって
「もしてかしてオレ…天才?」
なんて勘違いしちゃったのがそもそも勘違い。
彼女のヒモ同然の生活とアシスタント経験をしながら通らない連載用のネームを持ち込み続け、
その間に受賞した当時の同期はあらかた連載デビュー。
おまけに僕の読切でアシスタントに入ってくれた新人にまで連載が決まってしまって、
年上で先輩の僕はと言えば、彼女に先日三行半を突きつけられてこうして途方に暮れている。
絵が上手いわけじゃなく、面白い話が創れるわけでもなく…
なんだかんだで30目前になった僕。
潮時だとは思いつつも、それでも漫画への想いを断ち切れない。
色々八方ふさがりを感じていた矢先…
「初めまして 白井理沙です」
大学時代の友人からの紹介で、描き手を捜しているという
携帯コミックサイトを運営する会社の編集さんに会うことになった。
(ぐっ…美人!!)
でっかいアーモンド型の瞳、唇はツヤツヤしていて柔らかそうで
おまけになんだか分からないけど、すっごくいい香りがする…!
全く予想外の美女の登場に、どぎまぎしつつもなんとか理性をかき集める僕。
しかし彼女は、そんな僕の内心を知ってか知らずかまっすぐな瞳で僕にハッキリクッキリこう言った。
「ハナムラさんには エロマンガを描いて欲しいんです…!」

インターネットコミックサイト「漫画街」にて連載。
著者のハナムラさんがPixivでひっそり更新していた作品が話題になり、
漫画街での連載を経て単行本化されたという、半自伝的漫画だそうです。
最近会社が描き手を募集して、Webでの無料公開を経て
単行本化される動きが活発になっていますね。
昨年は電子書籍元年とも言われ、「ラブひな」や「ネギま!」などの著者として有名な
赤松健さんが立ち上げた「Jコミ」なども話題になったりしましたが、
今回はこの漫画の内容も、そして著者さん自身も、そんなWebコミックによって
新たな作品の発表の場を得るというお話を採りあげようと思います。

6年前に賞を獲ったものの、それから少年誌一本でネームを描き続け
鳴かず飛ばずで気付けば30目前…
才能のある後輩にはどんどん抜かれ、自分の才能の無さを痛感しつつも
漫画が好きで辞められない…そんな、私たち読者の目には見えないけれど、
雑誌連載を獲得した人たちよりも圧倒的多数を占める、今だ日の目を見ない人たち…
漫画家マンガはこのサイトでも今まで色々な作家さんのマンガをご紹介しましたが、
「エロ漫の星」のようにドラマチックでもなく、「あしめし」のようにある意味開き直れてもいない、
「30目前の漫画家の卵」という、もうとにかくそろそろどうにかしたい!
と焦るハナムラさんが主人公です。

「携帯向けの漫画を描いてみないか?」
と誘われて藁をもすがる気持ちで飛び込んだ彼に依頼された漫画は
携帯用18禁サイトの「エロ漫画」。
しかも編集さんはいつでもどこでも仕事の話を恥ずかしげもなく出来ちゃう明るい美人!という…
美人編集者は「半」自伝の虚と実、どっちに属する要素なんだ!?
と個人的に本気で気になるのですが、それはさておき「18禁!?」と
それまで少年誌ばかりを目指していた彼が戸惑う要求。
しかし同じ職場のアシスタントKさんや、そこから見事連載デビューを果たした
顔は怖いけれど気は良いTさんなどの肯定的な意見もあって、
人生初のエロマンガに着手します。

img743.jpg

1巻は美人編集者さんにドギマギしながらエロ漫画家生活をスタートするところで終わるのですが、
なんたってTさんやKさんという、それぞれのステージで精一杯やっている仲間たちが、
不安でいっぱいだけれど新たなチャレンジをしようとするハナムラさんの背中を
ポーンと押してくれるシーンにぐっときます。
なんか…自分が凄いと思っている人が認めてくれる嬉しさというのが伝わってくるんですよ!

絵柄は元々Pixivでひっそりやっていたということだからか鉛筆画。
でも線はスッキリして無駄がなく、読みづらいということはありません。
美人編集の白井さんなんかは、ペンのシャープな線とは違った、
鉛筆らしい柔らかいラインで描かれることで、むしろ愛らしさを感じるほどです。
背景の方は若干大雑把になっちゃいますけど、必要十分で特に気になりません。
半「自伝」ということであれば、なんとなくゴールは見えるわけですが、
ハナムラさんはこの先漫画で食べていける漫画家になれるのか?
先が楽しみです。


バックナンバーが読めます。特別企画もやってるようです → 漫画街

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