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ハルポリッシュ [アクション]


ハルポリッシュ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

ハルポリッシュ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

  • 作者: 土塚 理弘
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 2011/09/08
  • メディア: コミック


このコも 刀の魂に触れる事ができる

今回ご紹介するのは「居合」をテーマにしたもの珍しい漫画です。
居合と言えば、私は「居合斬り」と呼ばれる目にもとまらぬ抜刀で相手を一瞬で斬り、
また次の瞬間には鞘に刀が納められている、丁度ルパン三世の五右衛門みたいな
斬り方のことを想像してしまいます。すごいぜ斬鉄剣。ヘリコプターも真っ二つ!
中身を読んでみたところ、それは決して間違いではないようなのですが、
当たらずと言えども遠からず、みたいな感じらしく…
刀に魅入られたヒロイン・岡本春が、高校で出会う居合「道」部活コメディをご紹介します。

月刊少年チャンピオンにて連載。
その身冴え冴えとして怜悧な光を放つ―
本来人を殺すための道具として鍛えられた日本刀は、
それ自体が芸術品と言えるほどの吸い込まれるような妖しい輝きと、
幼い女の子が振り降ろしただけで藁をあっさり断ち落とすことが可能な
凶器としての凄みをもっているように感じます。
生まれて間もなくの頃、体が弱かったハルは彼女の曽祖父が彼女の為に打ったという
刀によって一命を取り留める。
以来その刀は祖父が預り床の間に飾られていたが、幼少のハルがある時その刀を抜いていたという。
当然刀は抜けないよう紐で縛ってあったにも関わらず…
生まれた頃から刀に並々ならぬ執着を持ち、夢は自分の刀を持ち神棚に飾って毎日拝むこと…
なのだそうですが、どうもこのヒロイン、刀への執着が凄すぎてちょいとアブない(;´▽`A``

img500.jpg

高校に入学して早々、どこからか聞こえてきた「音」に気づき、誘われるように道場を訪れたハル。
そこで見かけたのは、二年の先輩・片山若菜が一人、居合の型を行う姿だった…
突然現われたハルに面食らいつつも、無邪気に刀への憧れを語る彼女に
「刀は人を斬る為に生まれたもの、ただの飾りじゃない」
と突き放す若菜。しかしハルのあまりの熱心さに折れ、手にしていた模造刀を振らせてみるや…
型は無手勝流だが、その流れるような刀捌きに驚き、ハルに才能を見出して居合道部に誘う。
序盤はそんなふうに、素人であるはずのハルの刀の扱い方に
それまで居合道部にいたただの刀好きミーハーの部員たちとは
明らかに異質の才能を認めた若菜が、廃部にしようとしていた部を続けようと思わせるという
ハルと刀とのただならぬ結びつきを描きます。

img501.jpg

話はこのあと部活動漫画としてはお約束の、
「廃部寸前の部活に新入部員を集めようと駆けずりまわる主人公」イベントがあるのですが、
その中で度々、若菜がハルに居合の型の説明をするシーンや、とある事件で
ハルが無意識に取った行動が、おそらく居合の達人クラスでないと身につかないものだった
というようなものを匂わす、「ただならない感」を出すエピソードが出てきます。

居合道というのは、刀を鞘から抜く抜刀から鞘に収める納刀までを含めた技術を
武道としてつくりあげたものだそうで、その特徴は「相手と仕合う」ものではなく、
仮想敵と斬りあうものなのだそうです。全く知らない私のような素人が試しに
動画を観ると、ずっと一人で刀を振ったりカッコよく鞘に収める「演舞」を
し続けているように見えたり、解りやすいものなら真剣で藁を斬ったりして
真剣すげーという感想だけが浮かんじゃうわけですが、
原作・脚本を務める土塚さんが単行本表紙折り返しのコメントで
「(居合は)とても漫画に適している」と書いているとおり、漫画では
その仮想敵が斬られる様子が、視覚的に描かれることになります。
相手が描かれるならば、それは私たちが良く観る殺陣のシーンに
なってしまうようにも思えるのですが、刀を振る一挙手一投足に
神経を研ぎ澄ませ、淡々と仮想敵を斬る動作をする姿はやはり独特のものがあるように思えます。
…というのは、この漫画の読後に居合の動画をいくつか観てから
ようやく感じた感想なのではありますが(;´▽`A``

そんな感じで序盤からピンと張り詰めたような伏線がどんどこつっこまれる雰囲気とは別に、
普段は刀に強い憧れを抱く天真爛漫娘・ハルが部員集めに奔走してドタバタする姿や、
ハルに一目惚れしたもののハルに避けられまくる男の子、そして刀を振り回す物騒な部活だと
廃部にさせようとしてミイラ取りがミイラになったコミカルでちっこい生徒会長など、
部活動ものとしてのコメディ要素もかなりの割合で入ってきます。
特に各話60ページ程度の他に、本編のハルたちの視点とは別のキャラの視点から
本編内と同時刻を描いた「サイドB」というパートがあって、これがコメディ色強めの
キャラクター紹介を兼ねる内容になっています。

「居合道」は門外漢の方は、私と同じような感じで一読目は普通に読んだ後、
動画サイトなどで映像などをいくつかながめ、なんとなくやってることを把握してから
もう一度この漫画を読んでみてください。
かなり見方が変わって面白いと思いますよ。
普通の剣劇アクションものとは違う、「居合」漫画ならではの面白みがどのように描かれるのか…
興味深い漫画だと思いますよ。


みなもと悠さんのblog → ミナモト×イズム
 →土塚理弘さん、みなもと悠さんがこの漫画に込める想いを書いたエントリー


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コメント 4

とおりすがり

動画は居合ではなく抜刀術ですね。
居合道では物を切ることはなく「演武」だけです
by とおりすがり (2011-09-22 18:10) 

meriesan

おお、そうなんですか。違うものなんですね!
まさに付け焼刃というやつですね(^_^;)
ご指摘ありがとうございます。
by meriesan (2011-09-22 22:16) 

海燕

居合と抜刀はほぼ同義です。
居合道部でも演武しか稽古しない道場もありますが、
動画のように試し切り等々は行います。
by 海燕 (2012-01-04 19:55) 

meriesan

ほほぅ 勉強になります。"φ(・ェ・o)~
なんかこう…素人の浅はかですけど、やっぱり真剣使って藁束をばっさり斬れると達成感みたいなのがありそうですね。
by meriesan (2012-01-06 00:26) 

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