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ニャン時ニャン分編集にゃん! [コメディ]


ニャン時ニャン分編集にゃん!(1) (アクションコミックス(コミックハイ!))

ニャン時ニャン分編集にゃん!(1) (アクションコミックス(コミックハイ!))

  • 作者: アサイ
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2011/12/12
  • メディア: コミック


作品の親は作家だが子供の躾は1人じゃ限界がある
作家が読者を無視して自分が描きたいものだけを描きだしたら
それをセーブするのが編集者の仕事でしょう?


三國千絵は月刊少年ウォリアを聖書より売るという壮大な夢を持つ編集者。
しかしある日、未来のウォリアを持って現われた謎の猫耳少女・クゥにより、自身が担当しているマンガが来月号で打ち切りになることを知る。
何故?どうして!?
七転八倒の末、三國は漫画家と編集者という関係において自分に決定的に不足している要素を知る…!

コミックハイ!にて連載。
今回ご紹介するのは漫画編集者が主人公の作品です。
毎回脳みそ振り絞り命を削って作品を仕上げる漫画家に対する、編集者という存在を描き出す物語なのですが、未来からやってきた猫耳娘・クゥを添加することでドタバタなコメディでありつつも、ドラマチックな演出が光る作品になっています。

人気の漫画家さんのインタビューなどを拝見すると、よく自身の作品は自分ひとりの力で生み出されたものではなく担当編集者さんとの二人三脚で創り上げられたものだ、と感謝する言葉が出てきたりするのを見かけます。ファミレスなどで「打ち合わせ」ることで、ややもすれば漫画家の独りよがりになりそうになる物語に、読み手側の意見をぶつけることでより面白い作品へとブラッシュアップしていく。“炎の漫画家”島本和彦さんの漫画家マンガの傑作「吼えろペン」などでは、打ち合わせに向う主人公の漫画家・炎尾センセイがまるで討ち入りにでも向うかのような気合いを入れているシーンがあったりして、その真剣さが伺えます。
以前にご紹介した凄腕女性編集者の下につくことになった新人編集者のコメディ「ヘン集女王」では、極端に自信の無い新人漫画家に手を焼きながらもなんとかかんとか信頼関係を結ぼうとするヒロインの姿なども描かれました。漫画家が悩んだ時には一緒に苦悩し、漫画家が暴走しそうになった時にはうまく叩いて軌道修正し、人によってやり方は違うでしょうけれど、漫画家にとって編集者はただマンガの仕事を発注して原稿を取りに来るだけの存在ではない女房役を担っているといえます。

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さて翻ってこの作品のヒロインである三國千絵は、未来からやってきた猫耳少女の持ってきた来月号の雑誌で、自分の担当する今、まさに〆切りギリギリで完成しようとしているマンガが掲載されずにあろうことか打ち切りになっていることを知ります。とにかくそれを回避しようと七転八倒するわけですが、打ち切りの原因を知った千絵は愕然とするのです。
それは有態に言えば千絵の力不足に尽きるのですが、非常に根深い、というか編集者という存在がいかに作品作りに多大な影響を与えるかということを示してくれる印象的なシーンでした。
最終的に打ち切りをなんとか回避し、未来からもたらされた「来月号のウォリア」に掲載されたそのマンガを読んだ千絵は、改めて自身の力の無さを痛感する。この未来のウォリアが非常に物語上で重要な小道具になっていて、次のエピソードではこれを巡って大いにお話がこじれることになっていきます。

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最初のエピソードではこの時間を行き来できるクゥと彼女のもたらすウォリアという存在によって、打ち切りという最悪の未来がどんどん書き換えられていく様子やこのテの話には付き物なタイムパラドックスの微妙さにご都合主義的なものを感じました。しかし次のエピソードからはクゥによる時間跳躍を大分抑えて「預言の書」と名づけた未来のウォリアが、千絵の行動によって現実に翌月号が発行される1ヶ月後を待たずして直ちに結果を反映することでテンポをぶった切ること無く今起きている問題の根源へと導きドラマチックな展開へと繋がる小道具として効いているのです。

巻の最後は千絵の前に立ちはだかるライバルの存在。そして千絵と衝突しながらも味方となって一緒にライバルに立ち向かうであろう相棒の存在など、この先も面白くなりそうな要素をきっちりと押さえて次巻へつづく、となっています。
いやなかなか面白いですよ!

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アサイさんのHP → 漫画家(仮)
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