平成マンガ家実存物語 おはようひで次くん! [青春/自分探し]
平成マンガ家実存物語 おはようひで次くん!(1) (ビームコミックス) (BEAM COMIX)
- 作者: 小田 ひで次
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/05/17
- メディア: コミック
マンガじゃないようなマンガを描くんだろ?
衝撃のデビュー作「拡散」の完結後 描きたいことが無くなり
うしみつ商店街で古書店の雇われ店長として近所の三姉妹と戯れる
ぬるま湯に浸かった日々を過ごす男・小田ひで次
そんな彼のもとに デビュー当時の担当編集者・本川が10年ぶりに現れ
叱咤されたことを契機に 小田は再び漫画と自分に向き合っていく―
ウェブマガジン「Michao!」他 で掲載
「拡散」「ミヨリの森」等を描いた著者・小田ひで次氏ご自身を主人公に描いた漫画です
6月には2巻が出て完結となるようです
「愛することと解釈することを取り違えてる気がする」
約20年前に付き合っていた当時の彼女に言われるほど理屈っぽく
自分の思考に没頭しがちで 他人の情緒に疎かった小田氏
以前の担当編集・本川氏に発破をかけられたものの
かつて月産7ページと6年を費やし描き上げた代表作「拡散」のような
描きたいものが見つからず 頭でぐるぐる考えた結果 やっぱりぬるま湯に逆戻り
そんな彼に かつて彼女だった女性が尋ねてきたり
なんやかやともっともらしいセリフを吐いて結局動こうとしない小田氏の尻を
三姉妹に叩かれながら かつてのような「高尚」な作品づくりに
こだわりすぎていた自分の殻を破っていく…のかな?というような内容です
近所の三姉妹
編集者の本川氏
訪ねてきた元カノ
同期だけど既に一定の地位を築いている黒田硫黄
そして人情溢れる商店街の人々―
頭の中で考えすぎて結局動けない小田氏に
本当に様々な人が代わる代わる漫画を描く方へ描く方へと押し上げてくれるという
人情話的な温かみが本作の魅力です
本人も作中に何度も「恵まれてるなあ」と痛いほど自覚はしているのだけれど
そこはおっさん(40)漫画家小田ひで次
スパッと劇的に変化が起きたりはせず おっかなびっくり 3歩進んで2歩下がる姿が
とてもリアルで共感できます
だからこそどんな形であれ周りの人々とのやりとりが観ているこちらにも染みてきます
1巻を読み終わってから 巻末に掲載された各エピソードの初出が
2003年~2005年というのを見て 単行本化する現在までの空白期間がどうだったのか
想像せずにはいられない実に味のある作品だと思います
小田ひで次氏のHP → 小田ひで次
コメント 0