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hi mi tsu ki chi 短編集ヒミツキチ [青春/自分探し]


短篇集hi mi tsu ki chi ヒミツキチ (ビッグコミックススペシャル)

短篇集hi mi tsu ki chi ヒミツキチ (ビッグコミックススペシャル)

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/01/19
  • メディア: コミック


「基地」よりも、「秘密」ってことが大事なんだ。

藪の中、廃屋、林の陰、木の上、押入れの下段…
それは人知れず存在し、また人知れないところにはどこにでも存在した。
秘密基地―
それは口うるさい大人たちから解放される約束の地。
誰にも邪魔されぬ ぼくたちの地下組織。
いつの間にやら現れて、そしていつの間にやら廃れていく 子供だけの秘密の国―

ビッグコミックスペリオールにて連載。
2009年に発売された写真家・西宮大策さんが東京近郊に今も存在する
子供達の秘密基地の写真集「hi mi tsu ki chi」を出版したのに伴って、
著名な作家さんたちがこぞって秘密基地をテーマにスペリオール誌上で
入れ替わり立ち代り掲載していた作品をまとめた短編集です。

参加されたメンバーは以下の通り(表紙に記載されている順、敬称略)
さそうあきら 逢坂みえこ 業田良家 安倍夜郎 ほりのぶゆき すぎむらしんいち
福満しげゆき 三好銀 いがらしみきお 大友克洋 花輪和一 五十嵐大介
髙野文子 黒田硫黄 畑中純 山本直樹 西宮大策 川上弘美 水道橋博士 福岡伸一

マンガだけでなく、ところどころに短編小説やイラストエッセイ的なものも入っています。
それぞれの作家さん自身の「秘密基地メモリー」が集まっているのかと思ったのですが、
それだけではなく、大人の主人公が昔を振り返る系の青春ものや、
家族の絆を描いた「物語」を描いている方もいました。

img761.jpg

中でも面白かったのは、逢坂みえこさんの幼少時代の秘密基地体験を描いた「夢の秘密基地」。
これは逢坂さん自身の秘密基地体験と、息子さんに誘われて秘密基地を観に行った
エピソードを紹介している ぷちエッセイ的な内容になっています。
逢坂さんの秘密基地は、「洗って干された反物の下」だとか、
部屋の中に椅子を積み上げ、上から毛布をかけただけのものなど
端から見たら全然基地っぽくはないのですが、妄想力を駆使すれば
浦沢直樹さんの「20世紀少年」に出てくるような「いかにも」な作りでなくても、
いつでもどこでも秘密基地になるというのが面白い。
更に、息子さんのは同い年くらいの女の子と一緒に造ったもので、
ところどころ廃品が配置され、骨組みだけになった椅子を「風呂」と見立てたりして、
「女子が入ると(?)おままごと的な要素が加わるのかなあ」
と、「自分の好きなものばかりをぶち込んで造る」ものをよく見かける
男子だけで造った秘密基地との違いが、ある意味新鮮でした。

福満しげゆきさんのマンガはご自身のかつての体験談で、小学生時代の頃、
上級生や中学生などの年上軍団によって秘密基地を乗っ取られる話など、
いつものなんとなーく負けちゃって、でもこっそり気付かれない反撃をしちゃうぞ、
みたいなノリが面白い。(;´▽`A``

img762.jpg

黒田硫黄さんはストーリーもの。
主人公が子供ではなく、実家住まいの社会人のおじさんで、母に見つからないよう
こっそり安い部屋を借りて、思う様AVを観る「大人の隠れ家」的なものをつくる話。
その安アパートに、とある目的でやってきた女の子二人組みが、
彼の憩いの場所をぶち壊してくれるトホホなオチがいい感じです。

残念なところといえば、20世紀少年や、押切蓮介さんの「ピコピコ少年」みたいな
子供達がわいわい集まって好き勝手やって~という
いかにも秘密基地的なお話があまりなかったのが残念といえば残念です。
青年誌らしい渋めの物語が好みな方であれば楽しめるかなと思います。


西宮大策さんのHP
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