羊のうた [スリル/サスペンス]
和服美人を描かせたら一級品の冬目景さんの代表作です
吸血病という一族の遺伝に苦しみ 世間と隔絶していく姉弟の物語
連載当時私の周りの人々の間でもかなりブームになっていたと記憶しています
Wikiによると1996年~2002年まで連載していた作品ですね
高城一砂は高校1年生 幼い頃母が亡くなってから叔父夫妻に預けられている
最近昔の夢を見るようになった一砂は ある日久しく行かなかった実家を訪ね
そこでたった一人で暮らす女性・高城千砂と出会う
一砂の姉だと言う彼女は 一砂に父の死と 高城家の人間が代々人の血液を欲する
吸血病を持った家系であることを伝える
千砂の語った病の症状が自分にも起きていることを悟った一砂は
その凶暴な飢餓感をどうにか抑え込み再び千砂の元に訪れ
千砂は一砂と二人でこの家に住むことを提案する
人の血液を欲する病 そして強烈な罪悪感と共に湧き上がるどす黒い感情―
二人はどうしようもできず ただ世間から病をひた隠しにし
病の発症に怯えながら日々を過ごすだけの生活をしていきます
世界でたった二人だけしか共有できない絶望的な孤独感
そして どれだけ二人が手酷く拒否しても
二人だけの世界に閉じこもることを赦さない友人 叔父夫妻 等等
周囲の人々が何とか助けようと手を差し伸べ続ける姿がとても感動的で切ない物語です
リアルタイムで読んでいたらボロ泣きしたかもしれません
ラストは読まれる方によって賛否あるかもしれませんが
儚い千砂の姿が記憶に残る 静かで良い終わり方だと思いました
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