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オハナホロホロ [ハートフル]


オハナホロホロ (Feelコミックス)

オハナホロホロ (Feelコミックス)

  • 作者: 鳥野しの
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/01/07
  • メディア: コミック


かかとをみっつ鳴らしてごらん そしてこう唱えるの…

みちるとは5年くらいまで一緒に暮らした ある日ふらっと いなくなって
次に会った時 みちるには立派なコブがついていた―

わたしとみちる、そしてみちるの息子のゆうたくんと、同じマンションに住む青年・ニコ君。
みちるとゆうたくん以外は全くの赤の他人同士の、それは奇妙な同居生活。
仕事に出ているみちるの代わりに、ゆうたくんの保育園の送り迎えをするのは
大抵在宅の仕事をもつわたしの役目。
少々内向的だけれどとても素直でプリンに目がなくて、石を集めるのが大好きなゆうたくん。
「そこがいいんだよ!」
と、遊びに来ているときは片時もゆうたくんの側を離れないニコ君が、
自分の膝の上で眠ってしまった幼子の姿に蕩けるような笑顔を向けながら言う。
母親であるはずの みちるは、帰宅時に楽しみにしていたらしいプリンを
それとは知らずに食べてしまった わたしたちへの抗議を込めて早々にふて寝してしまった。
その奔放さはママになる前―私と同棲していた頃とちっとも変わらない。
この奇妙な家族関係が始まって早1年…
けれど わたしたちは永遠などは願わない。
願ったら叶わなくなると知っているから―

フィール・ヤングにて連載。
最近2巻が発売され、温かみのある表紙に思わず購入しました。
いやあ…雰囲気が似てると思ったら、「ハチクロ」や「3月のライオン」を描いている
羽海野チカさんのアシスタントをされている方だったんですね。
1巻の帯には羽海野さんの推薦文が寄せられています。

お姉さん気質の翻訳家である南雲麻耶。
5年前に麻耶と同棲生活をして失踪し、帰ってきたらシングルマザーになっていた
子供っぽい寂しがりやの雨宮みちる。
そしてみちるの息子で、大人しいが周囲の大人たちの動向に敏感な雨宮ゆうたくん。
そんなゆうたくんを溺愛する若手俳優の青年・日下ニコ。
この3人+αの赤の他人同士が、なんとなく家族(?)みたいな生活を送っている。
そんな不思議な関係を描いた本作。
だけどこの関係に根拠とか約束みたいなものは一切無くて、
みちるは以前男を作って、お互い依存し合っていたはずの麻耶の前から
突然いなくなった前科があるし、麻耶にもとある偶然から本編で出会いが訪れたりと
何かのきっかけでなんとなくいつでも解散しそうな定まらない関係。
だからこそ「この場所にいたい」と皆が集まるこの関係が、
かけがえの無いものとして描かれています。

img735.jpg

麻耶とみちる、そしてゆうたくんとニコの関係、そしてニコとみちるの関係と
それぞれに結びつきがあって、でもそれらのどれにも「結婚」とか「(戸籍上の)家族」とか
そういった強いものはなくて、それぞれの「想い」だけが根拠という…
他人同士が家族になるお話といえば
「子連れの親同士が再婚してその息子達がある日突然『家族』になって…」とか、
「ひょんなことから自分の血縁の子供を引き取ることになって云々」という感じの、
「家族」という入れ物がまず有って、そこに徐々に主人公達が馴染んで本当の家族になる、
というものを多く読んできたのですが
「毎晩他人同士が集まって、時には川の字で一緒に寝ることもある。それはもう『家族』だよね。」
という、私が触れてきたものとは異なる成り立ちの「家族関係」が新鮮でした。

img736.jpg

そんな特異な家族関係であるからこそ、そして実際にかつて一度みちるが
麻耶の元から居なくなった過去があるからこそ、麻耶は「その時のために」
再び同じ部屋を借りる時に互いに依存しすぎないよう肉体関係を持たないことを条件にし、
「いざという時のために」さしあたり1人でも当面の家賃を払える蓄えを持っていたりします。
一方で甘えん坊体質のみちるは、何よりも相手の心変わりを恐れる寂しがりやで、
だからなのでしょうか、一度は(おそらく麻耶よりも自分との関係を維持してくれそうな)
男性に惹かれたのではないかと(まだ本編で語られていないので飽くまでも想像ですが)。
そしてニコに至っては、それこそ ゆうたくんに会うために来ているので、
麻耶とみちるの関係が崩れてしまえば、彼がゆうたくんにそれからも会えるという保障は無いわけで…。
この不安定な関係が実にイイんです。
そしてそんな大人同士の関係を、解らないながらもなんとなーく空気を読む ゆうたくん…
これがまた可愛いんだ!

麻耶とみちるは女性同士だけれど、そしてかつて二人が同棲していた頃はそういうこともあったけれど、
今は「百合」とか同性愛的なテーマが殆どにおわないのも個人的に凄く良い。
あやふやで何の保障も無いけれど、皆がこの関係を大切に思っている「家族」のかたち…
うん、とてもいい感じですよ!3巻も期待しております。


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