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官能小説家烏賊川遥のかなしみ [コメディ]


官能小説家烏賊川遥のかなしみ (リュウコミックス)

官能小説家烏賊川遥のかなしみ (リュウコミックス)

  • 作者: 蒼崎 直
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2010/12/13
  • メディア: コミック


あらゆるモノが解禁になって 恥も何もないこの時代に いったい何を書けばいいのかね…

最近、烏賊川(いかがわ)先生は元気がない。
それというのも今まで自身の小説に芸術的なまでに淫靡で魅惑的な挿絵を描いてくれた
巨匠・深水先生が亡くなったからだ。
烏賊川先生は古き良きポルノを愛する官能小説家だった。
「ご安心ください!実はいい挿絵画家がいるんですよ!」
烏賊川・深水 両先生を良く知る編集者は、声を励ましてそう言うと、
一人の若者を紹介した。
「はじめまして~」
MOMOZIと名乗ったイラストレーターの卵の青年は、深水先生の孫であった。
新人らしい初々しい様子と、なんといっても巨匠の孫ということで
烏賊川先生は久しぶりに愁眉を開いた。
彼は挿絵の仕事は初めてでも、アマチュア時代に自費出版で
それなりに量をこなしてきたという。
「どれどれ」
早速烏賊川先生の登場人物のラフを描いてきたというスケッチブックをめくってみると…
「―~~………!?」
そこには「淫靡」「官能」、ましてや「エロス」というイメージとも全く異なる
ヒラヒラのエプロンをまとい、髪をくるくる巻いた瞳の大きいポップな“幼な妻”が…
「…えーーと。 君、今までどういった作品を…?」
絞り出すようにようやくひねり出した烏賊川先生の問いに、若者はハキハキとこう答えた。
「ロリ系でェ 基本和姦なんスけど、鬼畜もアリみたいな同人誌を。
 こないだの冬コミでは新刊2000冊完売で160万売り上げました」
「よし 採用!」
すかさずGoを出す編集者。
(何か明らかに…違う…!)
彼の話の細かいことはサッパリ分からないが、烏賊川先生にはただそれだけがイヤでも理解できた…

COMICリュウで連載。全1巻。
新鋭の女性漫画家・蒼崎直さんの処女作だそうです。(;´▽`A``
とある官能小説家と、萌え系イラストレーターが出会って
そのギャップにセンセイが戸惑いまくる姿が面白いコメディです。

エロの純文学とでも言うべき「官能小説」と「アキバの萌え系」
作者の蒼崎さんの情報が見つけられなくて人となりが分からないのですが、
普段は純文学などに親しまれているのだろうかと思わせるほど
主人公である先生の馴染みの「官能小説」的世界観が随所に描かれていて、
萌え系に普段親しんでいる私達はそのギャップに思わずニヤリとせずにはいられません。
そしてこれは親子ほども年齢が離れている 烏賊川先生と、MOMOZIさんら現代の若者との
ジェネレーションギャップを楽しむマンガでもあります。

それの最たるものとして烏賊川先生にMOMOZIさんからギャルゲー
「妹ぱらだいす」のノベライズの依頼が来た際の
「5人の妹と兄のラブラブ18禁ゲームです」
「全員Hシーンを入れてください」
「ラストはハッピーエンドでお願いします!」
という3つのお題に「官能小説家」が応えるとこうなる!という話が…
そして別のエピソードで「官能小説家」vs「ケータイ小説ギャル」の対話なんてもう…!w

img657.jpg
烏賊川先生のキャラクターも大いに魅力的です。
小説家だからか非常に柔軟な頭の持ち主で、
MOMOZIさんの萌えを頭っから否定することなくなんとかかんとか
辞書を引いたり必死に萌えを理解しようとする姿がプロだなあという感じ。
そして〆切が近いのに小説が書けない時は、
MOMOZIさんに泣きついてアイディアを相談したりする。
こういう対等に近い二人の関係は、作者が女性だからなのかな。
柔らかい視点で好きですね。
仕事がら会話中にエロワードが真面目そうなおっさんから
ポロっと出てくるのもじわじわとキますよ。(;´▽`A``

個人的に惜しいと思ったところを書くと、烏賊川先生の頭が柔軟すぎるところもあるかなと。
この辺は1巻分で完結ということなので深堀できないところでもあったのでしょうが、
であればこそ、話の方向は烏賊川先生のキャラクターを掘っていくよりも、
ギャップの部分をもっといじくり倒して欲しかったなあと思わずにはいられません。
この辺は私の希望・願望、もっと言えば好みの問題なので、詮無いことです。
これはこれでお話一つ一つが面白いことに変わりはありません。

でもなあ… 互いの「ぐっとクるエロシーン」をアツく語るとかさ。
こういう面白いテーマだからやって欲しいネタがいくつも浮かぶんですよね。
そこで主張し合わないのがこのマンガの
「ほんわかしてるんだけど、あっさりしすぎて物足りない」ところかなあ。
枯れ専かと思わせるほど烏賊川先生のキャラクターがしっかり立っていただけに
ラストも視点は面白いけど最後に持ってくるネタじゃないよなあと
個人的にはつくづくもう少し続いて欲しかった作品でした。
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