カバディ7 [ギャグ]
動けば雷電の如く 発すれば風雨の如し
本物のカバディ 見せてやろう!!
カバディという競技をご存知でしょうか?
私は名前だけは聞いたことがあるけれど、一体どんな競技かはさっぱり知りませんでした。
おそらく同じような方が多くいるのではないかと思われるマイナー競技、それがカバディ。
今回はそのカバディになんだか分からないうちに参加することになった
とにかくひたすらアツくておバカな7人の漢たちの血涙溢れまくりの物語をご紹介します―!!
コミックフラッパーにて連載。
著者の小野寺浩二さんは、「妄想戦士ヤマモト」などのあさっての方向へ全力で駆け抜ける
熱血ギャグマンガを描かれる方だそうで、私も大好きな熱血漫画家・島本和彦さんを師と仰ぎ、
同系のカラーの作品を描かれている方だそうです。
私が氏の作品を拝見するのはこれが初めてなのですが、島本さんの作品と比較すると
よりおバカさ加減の強い、とにかくひたすら勢いで押しまくることに迷いのない
ハイテンションなノリが特徴のようです。
主人公は父親が日本人で母親がインド人のハーフである、なんだかやたら
日本の武士道に憧れをもってやってきた玉鋼高校の転入生・北斗クシャトリア。
自分のことを「拙者」と呼び、「~でござる」口調で喋るほどにかぶれている彼はしかし
現代の日本のチャラチャラした若者に武士道の武の字も無いと
失望感から刀をもって校庭で暴れていたところを生徒会長にあっさり止められ、
その後カバディ部のマネージャーのメガネっ娘円谷まどかにスカウトされます。
しかしこの円谷さん。かなりのクセ者らしく「なにかでっかいことを成し遂げたい!」
という夢をもってあれやこれやの部を立ち上げては失敗し、競技人口の少ない
カバディなら手っ取り早く日本一になって有名になれる!
という野望のもと、あのテこのテでだまくらかして北斗をはじめとした部員をかき集めていたのです。
部員はカバディが行える人員ピッタリの総勢7名。カバディは知っているものの入部を渋る北斗は
「あなたは七人目の侍なのよ!」
と言われてぶわわっと涙を迸らせながら入部届けに血判を捺す勢いで入部してしまいます。(;´▽`A``
以降はカバディなんてルールも知らない他の部員に円谷さんと共に
武士道かぶれのやたらアツくて妙に偏ったカバディを教え、
悪名高い円谷の立ち上げた怪しげな部活の存続の条件として生徒会長が提示した
「カバディ全国大会出場」 に向けて猛特訓を開始するのです。
カバディとはどんな競技なのか―
これは作中で北斗が判りやすくて面白い実演をしてくれているのでご覧になると解りやすいのですが、
要はバレーボールのような陣地で二つに分かれて戦い、一人の攻撃手が相手の陣地に入って
敵にタッチし、自陣に戻ればその分ポイント、という鬼ごっこのような競技のようです。
受ける側は逆に攻撃手を自陣深くに誘い込み、相手の陣地に戻さないよう捕まえたらポイント。
そして攻撃手は敵の陣地に入ったら絶えず「カバディ カバディ」といい続けなければならない
というルールなのだそうです。
しかしこのカバディ。もともとのルール作りもそうなのでしょうが、競技人口が少ないという
現実的な問題もあるせいかところどころやたら「ユルい」!(;´▽`A``
え…そんなんでいいの? みたいな。
その辺はマンガ内で思いっきり他の部員がツッコんでいるのでご紹介しませんが、
とにかく部の存続を懸けているという緊張感を後ろでグダグダに崩すような脱力感。
そして立ち止まってしまいそうな勢いを「それはともかく!」とあっさり横に置いて再び熱血指導する北斗。
お話はそんな感じでやたら凸凹のある悪路をアクセルベタ踏みで駆け抜けるようなノリで描かれます。
スポーツマンガと言えば当然、個性的なチームメイトも作品の目玉。
清清しいほどにスケベなインテリメガネの志村、
自らの美に酔いしれる長髪男・仁藤、
「ぜい肉は友」とやたら下らないことをキメ顔で言い切る巨漢のナイスガイ・権田原、
体つきは少女のように貧弱だが、マッシヴな筋肉に異常な執着を見せる少年・向井、
あとは話しの進行を助ける役割を担う苺谷に、
1巻を通じて発言している姿が全く見当たらないもの静かな少年・参道
それぞれに個性的ですが総じてノリが良く、燃える展開になると炎を背負って
無闇に7人集合のキメポーズをするというアホでアツいヤツら。
北斗の暴走の影に隠れて他の6人はいっしょくたな行動を取る場合もありますが、
特に権田原は島本和彦さんの「吼えろペン」に出てくる名脇役・大哲よろしく
ことあるごとにキメ顔でキメ台詞っぽいことを言い切るのがやたら面白いキャラです。
さて、小野寺さんが師匠と慕う島本和彦さんが帯の推薦コメントを寄せているこの作品。
やはりどうしても島本さんの作品と比べてしまわざるをえないのですが、
その観点でみると見た目は凄く派手で面白いんだけど、
やっぱりちょっと勢いだけのカンジが否めないかな (;´▽`A``
もちろんそれが小野寺さんのカラーであり、島本さんが描くのとそっくりのものを描きたい
と言うわけではないのでしょうからそこは個性と割り切るところなのでしょうが、
似ているだけにここを補強してくれれば私好みなのに!と思うのが「逆境」と「葛藤」の要素。
そこが小野寺さんのマンガにはあまり描かれることなく、外部要因に対してのリアクションが多くて
キャラの個性をいじくり倒すまでにはまだ至っていません。これは2巻以降に出てくるのかな?
同じチーム制の島本さんのスポーツマンガに「逆境ナイン」がありますが、
そこでは必ずそのキャラのアイデンティティーを砕くようなツッコミが入り、
それに思いっきり打ちのめされ 叩きのめされるもののそこからある意味の開き直りで
再び立ち上がって逆境を跳ね除ける姿が燃えるのですが、この作品はあくまで
ギャグと割り切って描かれているのか測りかねてもいます。
玉鋼高校カバディ部に次々と襲い来る強豪たちを、7人のほぼド素人な侍たちが
いかにして乗り越えていくのか、いかないのか。
なんだかんだ言って読んでる間中ずっとブツブツつっこみ続けちゃったくらい面白かったので
熱血ギャグマンガが好きな方には是非におススメです!
小野寺浩二さんのHP → 妄想電波るるる堂
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