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恋の門 [恋愛]


恋の門 (1) (ビームコミックス)

恋の門 (1) (ビームコミックス)

  • 作者: 羽生生 純
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2000/04
  • メディア: コミック


その男 蒼木門  その女 証恋乃
男は石を使った芸術マンガを描き 女は同人誌を作りながらコスプレを趣味としていた
男は女と偶然出会い ふたりはつき合うようになる―

「アヤワケ」「ワガランナァー」など その映画的なコマ割りと
えぐり出すような独特の表現手法でクリエイターの方にも人気のある
羽生生純(はにゅにゅうじゅん)氏の2001年の作品です
2004年には松尾スズキ氏の初監督作品として映画化もされています

片や芸術家肌で石を使った他人に全く理解されない作品ばかり作る貧乏な男
もう一方はアニメやゲームなどの同人誌を描いている売れっ子でコスプレもする女
同じ表現者だけれど なにかもが全く違う二人が同棲し
喧嘩したり仲直りしたりする恋愛マンガをご紹介します

月刊コミックビームで連載 全5巻(ハンディ版は全6巻)
タイトルだけ存じ上げていて最近BookOffで見かけたので読んでみました
私が羽生生純氏のマンガを読んだのはこれが初めてです
濃密で硬筆な絵柄で いかにもアナーキーで ビーム作品らしい
だからちょっと取っ付きづらい印象を持っていたのです
しかし読んでみるとあっという間に二人の波乱万丈な恋物語に惹きこまれてしまいました

陰影のハッキリした絵柄とか 表情描写の多彩さとか
あれもこれも凄いのですが 何よりコマ割に圧倒されます
羽生生純さんは学生時代8㎜を撮っていた方だそうで
マンガの道に入ってからも人物を様々な方向からパースを効かせて効果的に描きつつ
変幻自在のコマ割りで 停止させるところは大ゴマでピタッと停め
疾走するところは細かいコマをチャカチャカと入れ込んでスピードを出していきます
当たり前なんですけど このメリハリがパチッパチッとハマっていてカッコいいんですよね

img298.jpg
成り行きでセックスをしたと思い込み 恋乃への義務感と当面の生活費を頼って付き合う門
ひょろっとした優男で 理想のコスプレの素体としてまるで犬を飼うような感覚で
門を繋ぎとめようと同棲を提案する恋乃
たらいになみなみと張った水を抱えて歩くようで 二人の同棲生活は
ちょっとバランスを崩すと右に左に たらいから水が飛び出すかのように
互いの思惑がすれ違い 時に衝突していきます
なにしろ二人の作品の方向性が全く違いすぎて 互いの作品をどこまで行っても
全く理解できないまま進んでいくのです 完全に互いがエイリアンなのです
自分が何気なくやったなんでもないことが 相手の大事なものを貶すような形になっちゃったりして
小さな諍いが絶えないのです よくこれで続くなと不思議なほどです(;´▽`A``

そんな状態のまま後半には 父の死を乗り越え 自分の芸術を不器用ながらも
人に読まれる「作品」として昇華しつつある門と なんだかんだでうまく立ち回って
作家として高いプライドを持っている恋乃
そして編集部で門がたまたま出会った あちこちに投稿を繰り返すものの
今一歩採用に至らない門の恋のライバル 木背を加えて3人が同じ賞に応募するお話では
それぞれの象徴的な結果とその後が描かれ クライマックスへとなだれ込んでいきます
違いすぎる互いの価値観のズレ そして次々と襲い掛かる不幸
門は恋乃を 恋乃は門を 真に受け入れることが出来るのか―?

個人的には凄く納得のいく終わり方でした
きっと損はしない恋愛物語だと思いますよ~


羽生生純氏のHP → hanyu-New ハニュ-ニュウ

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