まんがかぞく

まんがかぞく 一家４人全員漫画家(1) (アクションコミックス)

• 作者: 大島 永遠
• 出版社/メーカー: 双葉社
• 発売日: 2011/03/12
• メディア: コミック

「えーい　もう好きなように描け」（by 大島やすいち）

父は少年・青年漫画家
母はレディスコミック漫画家
長女は青年漫画家
次女は四コマ漫画家―
「おお、なるほど。一家全員漫画家ものできたか。
　（帯を見て）ちゃんとそれぞれ『らしい』絵柄で描き分けられているなあ」
私がこのマンガを本屋で見かけた時の印象はこんな感じでした。
家族4人をそれぞれのマンガジャンルに割り振った創作だと思ったんですね。
しかし さにあらず。この家族は実在しております。(;´▽｀A``
父は　大島やすいち
母は　川島れいこ
妹は　三島弥生
今回はそんな漫画家一家の長女・大島永遠（とわ）さんによる、
マンガを通して繋がる家族史的な自伝マンガをご紹介します。

漫画アクションにて連載。
青年誌向けで「女子高生」などを描く大島永遠さんは、デビューしてしばらくは
家族が自分と同じ漫画家であることを、特に自分が親の七光と見られることを嫌って
父親が大島やすいちさんであることは編集者の方にさえ秘密にしていたそうです。

大島やすいちさんといえば、かつて週刊少年マガジンで連載し、
アニメ化もされたケンカ＆野球漫画「バツ＆テリー」の作者で知られ、
私はもう少しあとの世代になるのですが、今30代後半から40代の方で
マガジンを読んでいた方の間では当時を代表する漫画という印象をお持ちではないかと思います。
母の川島れいこさんも、青年誌を中心に読んでいる私は拝見する機会がありませんが
大人の女性向け漫画の中で相当多作で息の長い人気を誇る漫画家さんのようです。
四コママンガの方面で活躍されている妹の三浦弥生さんは、今はご結婚をされて
お子様を育てるため漫画家としての活動は休止しているようなのですが、
永遠さんが一目置くほど自分のマンガに的確な評価をしてくれるセンスの持ち主なのだそうです。



自分の力だけで認められたい―
漫画家としての一定のポジションを確立したという自覚が得られたからか、
大島さんはこの 世にも珍しい「一家全員漫画家」であることを題材にとりかかります。
お話としては「●●と私」というタイトルで、家族一人ひとりにスポットをあて、
自分とその家族とのエピソードを描いていき、以降はプロとしてデビューしたものの
やり繰りに四苦八苦する永遠さんが母親から貴重なアドバイスを貰う話や、
家族の共通の趣味であるゲームに対するエピソード、そして後に漫画家の娘たちをもつこととなる
大島やすいち　川島れいこご夫妻の漫画を通した馴れ初めの物語へと移行していきます。
多彩なエピソードの中でも何より印象に残ったのは、永遠さんにとって「目の上のたんこぶ」とまで
言わせるほど大きな存在である父・大島やすいちさんへの思い入れです。

今はそれぞれに漫画の仕事や家庭を抱え、漫画雑誌で初めて家族の誰かが描いた漫画を知る、
というくらい互いの仕事をあまり把握していない家族関係。
中でもやすいちさんは、同じジャンルで、同じ雑誌に掲載されることもある永遠さんの漫画を
読んではいないそうで、永遠さんのデビュー作が雑誌に掲載された際は、
母親と妹が褒め称えてくれる一方で、ぱらっとめくって素っ気無い一言を言ったのみ。
子供の頃から仕事をしている父の背中を見て育った永遠さんにとって、
同じジャンルの同業者でもある父の言葉は、やはり最も影響をあたえるものなのでしょうね。
そんな自分の漫画へのあまりの無関心ぶりにがっかりしていた永遠さんが、
ある日何度もめくられた跡のある自分のインタビュー記事の載った雑誌を父の机の上に見つけたり、
母から所々で自分の作品をやすいちさんが見ていたという話を伝え聞いて知る、
というエピソードは「どんなツンデレやねん」と冗談めかしていますが、ホロリとさせられるんですよ。
いやあこういうお父さんになりたいなあ～
娘には永らく苦手にされてしまうかもしれないけど。(;´▽｀A``



その他にも破天荒で感情豊か、更には漫画に対して底なしのタフネスを見せ付けてくれる
母・川島れいこさんのエピソードや、永遠さんからは両親に可愛がられて
悩みなど無いかのように育った妹が、姉に抱いていたフクザツな想いを知るエピソードなど、
これだけで1本ドラマ化できちゃうくらい独特の形をもつ家族の繋がりを描いたマンガ。
自伝マンガの中ではかなり異色で、興味のある方は一見の価値ありまくりだと思いますよ。


大島永遠さんのblog → TOWA'ｓ BLOG
【父】大島やすいちさんのHP → ビッグアイランド
【母】川島れいこさんのHP → REIKOの部屋
【妹】三浦弥生さんのblog → イヌとトラ。

一話試し読み → Web漫画アクション
「まんがかぞく」を読んだ母の反応