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MASTERキートン [スリル/サスペンス]


MASTERキートン 1 完全版 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

MASTERキートン 1 完全版 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

  • 作者: 浦沢 直樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/08/30
  • メディア: コミック


YAWARA!、20世紀少年、MONSTERなどで知られる浦沢直樹さんの長編
「MASTERキートン」が遂に復刻されました!
…って絶版してたんですね、全然気づきませんでした。(;´▽`A``
とにもかくにも私は浦沢さんの作品の中ではこの作品が最も好きでして、
子供の頃図書館で借りられる巻から飛び飛びで読んでいました。
今回の復刻を期にまた一から読み直してみようかなあと思っています。
なんとなくご覧になっている方は皆読んでいるような超有名作という
印象を持っているのですが、なにせ1988年~1994年に連載された作品だそうなので
まだご覧になったことがない方へ、拙いながらもその魅力の一端をお伝えできればと思います。

ビッグコミックオリジナルにて連載。初期の単行本は全18巻です。

大学で考古学を教える講師の仕事をしながら、一方で世界最大の保険会社である
イギリスのロイズ社の保険調査員(オプつまり探偵)をつとめる平賀・キートン・太一。
彼は考古学をはじめとした世界の歴史に精通しているロマンチストであると同時に、
元イギリス陸軍の特殊部隊(SAS)のサバイバル教官という経歴を持つ。
お話としては、キートンがロイズからまわされた保険調査の仕事…つまり、
保険金を支払う正統な案件であるかの調査を依頼され、その案件の裏に潜む真実に迫って
命がけのメに遭ったり、元SASに所属していた経歴から軍隊関係者が関わる
キナ臭い事件に巻き込まれたり、あるいは自身が本業と考える考古学関連の
調査でこれまたトラブルに巻き込まれたりするのを解決していく物語です。

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見た目は物腰柔らかく、5年前に離婚した妻と娘の百合子の前では全く頭もうだつも上がらない彼が、
ひとたび訪れた先で命に関わる事件に巻き込まれるや、丸腰で現地に送り込まれても
現地で手に入るもので窮地を潜り抜ける卓越したサバイバル技術と、現地の歴史や民俗学にも
造詣の深い彼の考古学的知識を駆使した機転で切り抜ける筋がなんと言ってもカッコイイ。
私は世界の歴史にも軍隊という組織にも特に興味が無いのでお話の筋の大部分は聞き流して
しまう感じになってしまうのですが、一見してへらへらして鈍感そうな物腰でやってきて
鋭い観察眼と状況を把握する能力に長け、ピンチを切り抜けてしまう彼の活躍にハラハラするわけです。

そしてこのマンガの魅力は人情物語的ストーリーにあるのですが、これが浦沢さんの作品で
私の最も好きなところで、特に人物の表情の表現力には特筆すべきものがあります。
以前放映されたNHKのドキュメント番組では、浦沢さんの作業机に小さな鏡が取り付けられていて
それに自らの顔を映しながらそのシーンに相応しいキャラクターの顔を探るのだと言っていたのですが、
表情の豊かさ、特にご老人の様々な人生の年輪を感じさせるような遠い昔の記憶に想いを馳せる表情
などは秀逸だと思いますね。吸い込まれるような…というか。
一方でそれより後のMONSTERやBILLY BATに繋がる、友好的そのものといった人物が
突如その仮面を外して殺意をもった冷たい目で迫りくるサイコスリラー的な豹変振りも見ものです。
伏せ気味の顔から睨めあげる表情とか迫力ありますよ。

img488.jpg

時代は東西冷戦終結直後のあたりを舞台にしていて、ベルリンの壁に代表される各国の事情に
人生を翻弄された人々や犯罪組織、ヨーロッパの話だけではなく一転してキートンの家族を中心にした
コメディ調でありながらホロリとさせる人情劇などもあります。
復刻版1,2巻は各12話ずつ収録されていて全144話あるそうなのでおそらく12巻程度になると思いますが、
まだご覧になったことが無い方がいらっしゃれば、多少社会情勢は古くなってしまっていますが
全くお話の面白さは損なっていないマンガだと胸を張ってお薦めできます。
ぜひ、どうぞ!


プロフェッショナル仕事の流儀

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