メガドラ部長りるなちゃん [コメディ]
ここに1台のメ●ドラがあります
ゲーム機のハードを可愛い女児アイドルに擬人化し、萌えと共にやたら濃いいゲームネタを次々と繰り出すマンガ「P.S.すりーさん 」と「えすえぬ家の人々」。
その作者であるIKaさんが、初めて同人誌としてゲーム…中でもセガが繰り出した16bitの黒いヤツ・メガドライブに対する愛を世に放った作品を商業用単行本としてまとめたのが、今回ご紹介する「メガドラ部長りるなちゃん」です。
要はIKaさんの初期作品集になるのですが、なんていうか同人誌には往々にしてある時事ネタ感がハンパなくて、後のIKaさんのあの作風になるまでの絵柄やロゴや擬音の描き方と共にやたら琴線に触れてくる本だったのでご紹介してみようと思います。
初出は先述の通りIKaさんが1994年から発行されていった同人誌「MD(メガドラ)部長りるなちゃん」です。
そして初めて商業誌に掲載されることになった りるなちゃんである「ミルキーガレージ」、そして同人誌で完成状態では出せなかったネタの完成版、もちろん描きおろしも詰め込まれて1冊になっています。
主人公である りるなちゃんは、某大学のマイクロコンピュータ研究部の部長でメガドラとミニ四駆をこよなく愛する21歳。
…けれど身長は129cmで顔も童顔のため見た目は完全にJS。
当の本人はそれをコンプレックスにしてないばかりか、むしろランドセルしょってたまに見知らぬロリコン男におねだりして、人気で品薄なゲームソフトを譲ってもらったり、小学生に紛れて無料でプールに行ってきたり、ミニ四駆の子供用の大会を大人スキルで優勝してしまったりとちょっぴり外道。
それを同じ部の良心こと副部長の幸美(さちみ)がツッコんだり、りるなの性格を重々承知であろうに、惚れた弱みで可哀想なメに度々遭う部員の真五郎などが絡んでやたらフリーダムでマニアックな大学生活を送るという物語です。
まずは全体の印象として、ゲームネタも勿論出てくるのですが、それは3割くらいにとどまります。
あとの1/3はミニ四駆やらマイコンやらその他のホビーネタ、そしてあとの1/3は麻雀やったりコミケに参加したり、プールや海や花見に行ったり、ロリコンにタカったりするおもしろおかしい大学生活。
P.S.すりーさんやえすえぬ家の人々などと同じくゲームネタで占められるのかと思ったら少し違っているのに戸惑いもあるのですが、それはさておき何気なく出てきた「ミニ四駆」だの、りるなちゃんのコスプレネタに食いついて「C.C.さ●ら」だの「プリ●ィーサミー」だの機動戦艦ナデ●コだののアニメのタイトルが飛び出る話とか、時事ネタ過ぎてなんとも懐かしい。
勿論この当時においても時代は次世代機に移行し、時代遅れのレトロ機として人々から忘れ去られようとしていたメガドラへの哀愁とやたらマニアックな愛情を感じさせるネタもそこここで出てきます。
単価90円のメガドラほすぃ…w
他にも
「ここに1台のメ●ドラがあります」
から始まり、そのMDのガワをかぶったモノの正体を問うクイズの答えは毎度あさっての方向へ…
黒くてゴツい見た目に反して、中身スカスカで振るとカラカラするブラックボックスだからでしょうか(^_^;)
FM音源とか生音なんて言葉も懐かすぃ…
絵柄の変遷もかなり面白い。
直線の無くて柔らかい、女児愛にあふれた線を描くのは昔から変わらないスタイルですが、やはり描きおろしの今のりるなちゃんと比べると明らかに異なりますし、表現力の圧倒的な差も一目瞭然。
表情の中に今と変わらないパーツを見つけると「…ああ、やっぱり同じ作者が描いているんだ!」と感心したりして。
「人に歴史あり」とかありきたりだけど実感しちゃいます。
言ってしまえばそれくらい今のIkaさんの絵とは落差のある同人作品が主体ですので、それが肌に合わない方には難しいかもしれません。けれどIkaさんのファンの方は勿論、「15年分のゲーム愛」が込められたレトロなゲーム4コマがお好きな向きにも、その雰囲気がそこここに香るマンガだと思いますよ。
IKaさんのブログ → IKaのマホ釣りNo.1
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