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パーマネント ~まんがの詰め合わせ~ [ハートフル]


パーマネント 〜まんがの詰め合わせ〜 (コミックス単行本)

パーマネント 〜まんがの詰め合わせ〜 (コミックス単行本)

  • 作者: 岩岡 ヒサエ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/12/08
  • メディア: コミック


「お前は毎日私の嫌いな漬物を供えていたな 苦行を与えてやろう」

久々に書店でIKKICOMICS rareレーベルの本を買いました。
普段マンガをレーベルで判別することはないのですが、キャッチコピーが帯ではなく
表紙にそのまま刷られ、しかもページ数が通常の単行本と比べると少なめ
(160~180頁?)なのと、相対して高い価格(800円台)、加えて絵に独特のクセがある
私の知らない作家さんが多いということから、微妙に冒険するにはリスクが高く、
レーベルスタート直後の「東京アサイラム」「白い本の物語」を拝見してからは、
なかなか手が出せませんでした。
しかし今回は
「おお?」
と本屋で思わず目を惹いた「土星マンション」の岩岡ヒサエさんの短編集じゃないですか。
ボツボツした布地のような表紙に、刺繍されたようなタイトルの表紙。
土星マンション自体は残念ながら拝見したことは無いのですが、
温かみのある表紙に思わず手が伸びたのでした。
今回はこちらをご紹介します。

コアでレアなレーベル IKKI COMICS rare! ということで、
この短編集に収められているお話は、「初期の作品」だとか「未発表作」だとか
「描き下ろし」、そして「実験作」も混ぜ込んだ内容になっています。
合間合間で岩岡ヒサエさんのエッセイコミックも挟まれ、普段のマンガ作成でのこだわりであるとか、
編集さんとのやり取りなども収録されています。

岩岡ヒサエさんのマンガを初めて拝見したのですが、なんだかものすごい背景にびっくりしました。
建物が恐ろしく細かい点描で描かれている部分がちらほら見られるのです。
そこへ加えてめるひぇんチックなお話。岩岡さんは点描にこだわるあまり、
点描を打ちながら眠ってしまっていることもしばしばあるようです。(;´▽`A``

収録されているお話としては
親友同士の恋愛を応援する為、道化のような振る舞いをする女性の話。
学生時代、うっかり田舎の無人駅に取り残されてしまった少年が観た、とある風景の話。
妊娠し、結婚を間近に控えた奔放な性格の姉が突如弟の部屋に押しかけ、
姉の意外な一面をみる話。
いつもは丸みを帯びた少年少女のような絵が多い著者が、
等身を上げてダークなお話に挑戦したもの。
岩岡さんの長期連載作品の原型?「土星ホテル」というお話も入っています。

中でも私のお気に入りは描き下ろしの新作 「クマと健太の楽しい苦行」
これはおばあちゃん子の幼い孫を遺して急死したおばあちゃんが、
神様に願って孫の前に小さな空飛ぶ熊の頭を持った姿となって
孫の笑顔を糧にしながら成長を見守る物語で、もうね、
孫が難しい年頃になって、怒りっぽくなる反抗期も、社会に出て自分の力不足に嘆息する
ようになっても、笑顔を糧にできず、げっそり痩せ細りながらも、孫の前では平気な顔をして
ひたすら励まし続ける おばあちゃんの底なしの愛が感じられて実に好きだなあ。
切ないけれど、救いのあるラストも好みです。

img646.jpg
「土星マンション」のファンの方であれば、私がお薦めするまでもありませんが、
そうでない方は160ページ未満の単行本で819円+税という金額を高いと見るかどうか…
涙腺バクハツな瞬発力のある作風ではありません。
しかし1作に2,3箇所は好きなシーンが見つけられるカンジの後味の良いじんわり系物語でした。


岩岡ヒサエさんのblog → moimoi
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