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谷川史子純愛読みきり集 S [恋愛]


谷川史子純愛読みきり集 S (谷川史子純愛読みきり集) (集英社文庫 た 68-7)

谷川史子純愛読みきり集 S (谷川史子純愛読みきり集) (集英社文庫 た 68-7)

  • 作者: 谷川 史子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/04/15
  • メディア: 文庫


きみという人を知って 触れて 愛していると
愛している人に出会っていたんだと 何度でも思い知りたい
そんな誇らしい日々があれば 何度だって駆け出してゆけるんだ


この恋は実らなかったけれど 顔をあげて笑って歩いていこう
こぼれ落ちた涙 ぬぐいもせず―
この本に出てくるヒロイン達は失恋を経験します。
でもそのどれもが「切ないけれど、好きになってよかった」と言える恋。
なんとも爽やかな後味を残す、失恋物語なのです。
今回は、そんな珠玉のお話しばかりを選び出した、谷川史子さんの読みきり集をご紹介します。

「星の速さで駆けてく」
「プリズム」
「ココアブレイク」
「積極」
そして谷川さんの作品ではおなじみの
描き下ろしのあとがきマンガ「告白物語」
あとがきを除いて、2003年から2006年までに発表され、
一度単行本化されている作品の中から今回のテーマに合わせて選び出した作品集となっています。
もう1冊の「谷川史子純愛読みきり集 H」と同時に発売されていました。
既刊本は押さえている、というファンの方には目新しさは無いとは思いますが、
先日の「他人暮らし」でファンになった駆け出しな私には、美味しいとこ取りな
非常に意義ある文庫本です。

描き込み過ぎず、細くて丸みを帯びた線で描かれる谷川さんの絵柄。
デフォルメ顔の可愛さったらないですね~
そして自分の気持ちに正直に、真っ直ぐに突撃していく彼女たちの愛おしいこと。
更に彼女たちにそっと寄り添って、その想いに真摯に向き合う男連中もみんな素敵。
収録作の簡単なあらすじと、印象的だった部分を挙げてご紹介していきますね。

「星の速さで駆けてく」
幼馴染の恋人・寛ちゃんと、春から獣医を目指して北海道の大学に通う志伸(しのぶ)。
寛ちゃんの手助けでてんやわんやの荷造りを終えたある日、志伸の前にとある青年が現れる。
それは1年前、突然の死を迎えたハズの、志伸と寛ともう一人、共通の幼馴染に瓜二つだった。
見た目も雰囲気も、そして志伸と昔交わした大切な約束の記憶も持つその青年に、
志伸は彼の死からどこか心の奥でくすぶり続けていた想いを呼び起こされる…

幼馴染で、寛とは恋人同士と言ってもどこか親しい友達のような雰囲気が漂う志伸。
結局謎の青年は志伸と寛の間を引っ掻き回したことになるのだけれど(;´▽`A``
それも幼馴染同士のつながりがあればこそ赦されたエンディングだったと思います。
ふわふわした雰囲気の志伸ちゃんがやたら可愛い(;´▽`A``


「プリズム」
高校卒業間近のバレンタインデー
(もう時間がない―)
柚寿子(ゆずこ)は以前から好きだった物理の教師・栗林にチョコを渡そうとするものの
その想いはあっけなくゴミ箱行きになってしまう。
それでも諦めきれない柚寿子は、ちょっとした偶然も手伝って
栗林先生のアパートと、そこで同棲している女性と出会い
毎日のように柚寿子は先生の部屋に通うことに…

先生と同棲している女性に警戒されるでもなく、むしろ歓迎されることで
(先生をこの女性から自分に振り向かせることはできないんだなあ)
と身をもって感じていく過程がなんとも切ない。
最後の、それまで自分に大した関心を寄せてくれなかった先生の変化に
気付く 「今私のこと好きですね?」 の台詞が言葉の上でも、インパクトがありました。

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「ココアブレイク」
図書館の片隅で勉強を教えあうカップルを眩しそうに眺めてしまう。
そんな後輩にもそこはかとなく気を遣われてしまう三十路も近い司書の萩子さん。
好きだけど、親友とも言えるけれど近すぎるその関係に
思いを伝えることを引き伸ばしているうちに、その人には彼女ができてしまって…
そしていつものようにちょっぴり寂しさを感じつつ帰宅したある日、
そこには見慣れない女子高生(の幽霊)が…!
それは確か図書館でカップルでやってきていた女の子。
そんな彼女から自分がひょんなことから死んでしまったことと、
ついては恋人の男の子から貰う予定だったプレゼントを受け取るため、
萩子の体を貸してほしいとお願いされるが…

半ば強制的ではあるものの、他人の恋の仲立ちをすることで、
ぬるま湯だった自分の恋にも一歩踏み出すきっかけになったという物語。
女子高生のように初々しい顔つきになる萩子さんが良いんですよね~
窓ガラスに指文字は微妙に時代を感じたりはしたけれど…(;´▽`A``

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「積極」
春には故郷に教員として巣立っていく予定の村主(すぐり)さん。
彼女は目下同じく春に定年を迎える予定の鳥野教授にゾッコンで、
一つ年下の料理が得意な荒川君と同棲しているが、
教授の助手として働く傍ら、事あるごとに飲みにさそったりしてアプローチをしまくる。
しかし教授は亡くした自分の妻のために応じないどころか視線すら合わせず、
そんな一途な教授も好き!と村主さんはますます教授への想いを強くし…
そんなある日、村主さんは荒川君から別れ話を切り出される―

枯レ専…てやつなんですかね
ちょっと間が抜けたところも穏やかな語り口も、
そしてもう何年も前に亡くした妻に操を立てるそのカタいところも
「大人な男性」としての魅力に溢れたまらないとする村主さん。
教授の奥ゆかしさというか、何かに託してそっとメッセージを送る手法には
私も少々乙女wになってしまいました。(;´▽`A``
最後の喜びと哀しみがない混ぜになった村主さんの表情がたまりません。



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