夏雪ランデブー [恋愛]
…俺 生涯二番手でもいいんです
目つきの悪い花屋のバイト青年・葉月。
彼は店長の六花に恋をしていた。
しかしある日、六花の部屋で彼が見たのは、ひょろっとした半裸の見慣れぬ男性―
それは3年前、死別した六花の夫・島尾の幽霊だった。
彼は自身の短い生涯を終えてからずっと、最愛の妻である六花に知られることなく
彼女に寄り添い続けていたのだ…
「六花ちゃんをしあわせにしたい」
葉月の問いにどこか飄々と答える島尾はしかし、言葉とは裏腹にその翌日から
葉月の恋路をことごとく阻むような態度をとるようになるのだった…
フィール・ヤングにて連載。
3年前に夫を亡くし、その傷を引きずりつつ花屋を切り盛りする未亡人の店長・六花。
そして六花に一目惚れし、彼女にアタックし続ける低温一途青年・葉月。
更に亡くなったはずの六花の元夫で、ずっと六花の側にい続ける幽霊・島尾―
今でも消えない島尾への想いを抱きつつ、一途に自分を想ってくれる葉月の言葉に揺れる六花。
そして島尾(の幽霊)と葉月の、六花を巡る恋の駆け引き(傍目には葉月の独り相撲?(;´▽`A``)
が展開される、河内遥さんの恋愛物語です。Twitterで話題にされた方がいらしたので読んでみました。
河内遥さんの漫画は私、初めて拝見したのですが著者の他作品である「関根くんの恋」なども
結構発売当時好評だった様子でした。気になられた方は併せてご覧になってみてはいかがでしょうか。
さて、「死んだ旦那の思い出を引きずる若い未亡人と、彼女に恋するずっと年下の青年」と言えば
私は高橋留美子さんの傑作「めぞん一刻」を真っ先に思い出してしまいます。
大学浪人をしている冴えない五代青年が、彼の住むアパートの管理人としてやってきた
若く美しい未亡人の音無響子さんに惚れてなんやかんやで結ばれる物語ですが、
今回の大きな特徴は「旦那が直接口出ししてくる」このシチュエーションですね。(;´▽`A``
響子さんの旦那の惣一郎さんは、旦那と同じ名前の老犬が代理として登場はしたものの、
本人は彼女の思い出の中でしか出てくることはありませんでした。
それに響子さんと大きく年の離れていた夫・惣一郎さんはどこか達観していて、
嫉妬している姿とは縁遠く、お話のメインは飽くまでも惣一郎さんへの想いに
こだわり続ける響子さんに、五代くんがいかにして自分との恋愛を受け入れてもらうかに
テーマが絞られていました。
しかし今回のお話は、夫にこだわり続ける未亡人の六花の心の変化を描くだけではなく、
死んだはずの夫もまた、飄々とした表情をしつつも明確に六花を譲るつもりは無い、
という立場で出てきちゃうという…
全く想定外の強力な刺客が葉月君の行く手を遮るのです。
驚異的なのは作中で山と出てくる島尾と六花の心を繋ぐエピソードを聞かされても、
ブレずにまっすぐに、六花に自分の想いを伝え続ける葉月の想いの強さ。
「死んだ旦那の幽霊」なんて、ともすればマンガでは安易な響きがするシチュエーションなのに
生きてさえいれば葉月の割り込む隙なんて微塵も存在しなかっただろう六花をめぐる恋敵として
面白い相手だなと思わせるんです。
一方で、近くに居るのに最愛の女性に気付いてもらえず、
しかも別の男に心を許していってしまうのを側で見ていなければならない
島尾の切ない心のうちも、いかばかりか…
まだ完結はしていませんが、これは最後まできちんと追いたい作品です。
おすすめですよ~
河内遥さんのHP → パギソレ
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