ルミとマヤとその周辺 [ハートフル]
小学生の姉妹・ルミとマヤ
父は亡く 母はバイオリニストで家を空けがち
北国の団地に住む二人ぼっちの姉妹と その周囲の大人たちの
昭和40年代を舞台にしたヒューマンストーリーです
KissPLUSなどで連載 全3巻
2010マンガ大賞に選ばれたテルマエロマエを描いた
ヤマザキマリさんが幼少の頃つけていた日記に着想を得た
オムニバスストーリーです
「成澤大輔の『マンガを読むので忙しい!』」で好評価をされていたので
気になって読んでみました
この作品の魅力はまず昭和の時代の濃い人々の繋がりでしょう
母が毎日深夜に帰ってくる仕事のため ルミとマヤは殆どを二人っきりですごします
留守がちな母親を持つ姉妹をみて 団地の周囲の大人たちは
「あの姉妹が可愛そう」
「母親は何を考えているんだ」
「大して稼げないくせに音楽なんて道楽みたいな仕事をして」
などと事あるごとに井戸端会議している情景が描かれたり かといえば
その上の階に住むおばさんが 娘に夕飯の差し入れをもたせてやったり
下の階のおばあちゃんが姉妹と一緒に銭湯に連れて行ってくれたりと
良くも悪くもお節介な「ご近所づきあい」
そして姉妹を中心にした「家族」とか「友達」の繋がりが実に情感豊かに描かれています
昭和テイストといえばその時代を象徴するアイテムなども見どころです
学校で流行った色んなところが開く筆箱
真っ赤なブレザーを着た男性がTVで鮮やかに披露するヨーヨー
空き瓶を酒屋さんが買い取ってくれるビール とか
私は微妙にそれより時代が下るのですが
印象的に「コンビニ」が町に現れる前の情景として
私にも経験のあるエピソードがてんこ盛りでした
以前「団地ともお」という やはり団地に住む子供達を描いたマンガをご紹介しましたが
あちらは「子供の世界」が中心である印象であるのに対して
こちらは「大人の世界」が多く描かれ 親戚の家に遊びにきた姉妹が
親戚の家に集まってきた大人たちの寄り合いの様子を垣間見たり
嫁姑でそれぞれに思い悩む近所のおばあちゃんの騒動にであったりと
相手のことを思いやって 思いやりすぎてこじれてしまう人間関係がじいんときます
ルミとマヤも実にいい姉妹で 人懐っこいところや 外国へ公演に行ってしまった
大好きな母を思って心細さに泣き出しそうになるのを姉妹で励ましあったりと
これまた子供ながらにしっかりしていて 大人になってしまった私が読むと
泣きどころいっぱいですw
いや~ これはいいですよ~
ヤマザキマリ氏のblog → Somos em Portugal
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