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機神幻想ルーンマスカー フルカラー [ファンタジー]


機神幻想ルーンマスカーフルカラー 1 (リュウコミックス)

機神幻想ルーンマスカーフルカラー 1 (リュウコミックス)

  • 作者: 出渕 裕
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2011/03/03
  • メディア: コミック


戦争が始まるのですよ レアル様

神々が統べる地・ルーン
この大地に存在する国々にはそれぞれに神が存在した。
しかし彼らはソーサーと呼ばれる巫女や神官とのみ会話をして
人々の営みには干渉することはなかった―あの日までは。

ルーン暦1208年。
物語は武をもって知られる東方の国・神破奴(ジパード)が、
エグ・ヴェード王の治める北方の国、イグラッドに宣誓無しの侵略行為を開始するところから始まる。
完全に統率のとれた屈強なる武人達の殺戮劇。
そしてなにより今まで誰もが観たことの無い巨大な鎧武者が、イグラッドの民を恐慌に陥れる。
牧歌的とも言えるイグラッドがなす術も無く蹂躙されようとしていたその時…
一体の鎧武者の口から巨大な槍が飛び出した。
何ものかが彼らの背後から、その長大な槍を投てきし刺し貫いたのだ。
振り返った残りの者たちの視線の先で、静かにたたずむその主こそ、
まるで巨大な馬のような、そして仮面を被った人のようでもある、
この地を統べるルーンマスカー・スレイプニールだった―
ルーンマスカーの介入、それは1200年もの永きにわたって沈黙を保ってきた
ルーンとその外の世界の激動を告げる狼煙となり、
その壮大な物語の中心には、イグラッドに身を寄せる青年・レアルの姿があった―

月刊リュウにて連載。
今回ご紹介する作品は、実は1988年にスタートしたマンガとなります。
著者の出渕裕さんといえば、私のような世代のマンガ・小説好きの人ならまず知らぬ人はいない、
ピンとこなくても、水野良さんのファンタジー小説「ロードス島戦記」の挿絵や
「機動警察パトレイバー」のメカニックデザイン、
「機動戦士ガンダム~逆襲のシャア」のνガンダム、
そして2002年にはアニメ「ラーゼフォン」の監督をされてもいる、
その美しい曲面のデザインをどこかで必ず目にしているであろう人物です。
そしてそんなキャラクターやメカニックのデザインが主な活動場所である出渕さんの、
初マンガ単行本作品としてスタートしたマンガが本作。
いかにも出渕さんらしい中世ファンタジーの世界観に、
出渕さんの有機的な曲線からなるメカを盛り込んだ、もうそれだけで私のようなファンは
ワクワクしてしまう作品なのです。
しかしながら、当時単行本1巻が出たところでこのお話は永らく沈黙を保つこととなり、
2009年にようやく開始当初連載していた富士見書房から、
掲載場所を徳間書店に移して連載を再会しているといういわくつきの作品でもあります(;´▽`A``
そういった事情で個人的に1巻を買うのは富士見書房版・徳間書店の新装版に加えて
実は3冊目となる今回のルーンマスカー。
イグナクロス零号駅のように先の話は刊行されるのか、
不安半分・期待半分でご紹介します…。

お話はルーンと呼ばれる中世のような森や山などの自然豊かな世界で、
ルーンマスカーと呼ばれる生命を持ったロボットのような超常の神々と、
きな臭い陰謀があちこちに漂ってくる、それぞれに特徴的な文化を持つ国々。
そしてその国々でルーンマスカーや彼らに関わる人々と出会いながら、
世界の謎に迫っていく主人公・レアルの物語です。
既に以前出版された単行本では第二章の冒頭の部分までが掲載されていますが、
今回のフルカラー版はそのうちの60ページ程度、読んだことがある方向けに言うなら
神破奴が攻めてきたところにスレイプニールが登場したところまでとなっています。

今回のフルカラー化にあたっては、出渕さんの手になるところは
以前の単行本でも既にカラーで掲載されていた序章のみ。
あとは大本海図さんという方が着彩を担当されています。
私は存じ上げない方だったのですが、以前アフタヌーンの四季賞を獲った
出渕さんと同じく漫画家兼イラストレーターの方で、美しい色使いに定評があり、
今回の企画と相成ったそうです。
表紙のスレイプニールが大本さんのものであるそうで、その画力の高さがよく解ります。

さて、今回は物語の内容というより、このカラー化の感想になってしまうのですが…
ここが凄いと思ったのは、背景の色使いです。
出渕さんのマンガではトーンを貼って雲っぽく削りだした「なんとなく雲っぽいもの」は
もくもくと重層的な存在感のある雲として描かれていて、イグラッドへ密かに侵攻する
神破奴の飛空艇の背景の雲海の美しさ、続いて海を臨む崖の上で
主人公の青年・レアルが崖の上から眺める遥か彼方の水平線と、
まるで湖のように凪いで雲を鏡のように映しこむ水面など、
冒頭の印象的なシーンが元のマンガとまるっきり変わってしまうくらいに
目を惹く描きこみがされています。
この本ではラストとなるスレイプニールの登場と、それと対峙する侵略者・神破奴のロボットの
にらみ合いのシーンでは、真っ赤な夕陽をバックに登場するスレイプニールと、
やがて陽が沈んだ空が藍色に染まり星空がまたたく夜へと変わる、
その幻想的な情景など、見比べてみると人物よりもその背景の変化にびっくりします。(;´▽`A``

img890.jpgimg888.jpg

逆に違和感を感じた部分がありまして…(;´▽`A``
この色付けは元がトーンの貼られたモノクロ原稿用紙をスキャンしたものかと思うのですが、
鉛筆でスケッチしたような繊細な出渕さんの主線がガタガタになってるんですよ…(;´▽`A``
スクリーントーンの点描が重なっているせいかなとは思うのですが、線の周りに毛羽立ちのような
点描がくっついていて、これが人物の顔とかにあるからノイズのように見える。
これがとにかく勿体無いないんですよ…
本の帯に掲載されている劇中のシーンの絵では全然そうは見えないんですけど、
それ以外のコマは…特に人物は大体そんな感じになっちゃってます。
このマンガを描かれた時代はCGではなかったのでしょうから、
トーンを貼られてしまってある完成原稿に着色するとなるとそうなるんでしょうね。
そんなマイナス面もありますが、のっぺりしているために主線が目立つ人物に比べ、
ルーンマスカーや神破奴の巨大な鎧武者の姿をしたロボット(ナイトマスカー)の
すべすべとした光沢や、ごつごつした鋼の地肌などは、その背景もあいまって実にカッコイイ!

img891.jpgimg893.jpg

まだ読んだことが無い方であれば、いきなりこちらよりも、安くて先のほうまで載っている
2009年発行の新装版を正直お薦めしますが、既にお持ちの方が買おうか迷っているのであれば、
上記の内容を参考にしてご検討されてみてはいかがでしょうか。

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コメント 2

サワダ

中学生の頃にわくわくして続きを待ってた頃から幾数年。終わらない漫画No.1だと思います。
by サワダ (2011-03-04 09:20) 

meriesan

それでもわずかばかり期待してしまう私が哀しいです…続刊出るといいですねえ(^_^;)
by meriesan (2011-03-04 14:42) 

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