侍ばんぱいや [コメディ]
命を粗末にするなっ もったいないではないか!
「江戸の性風俗ときたら… 嘆かわしいッ!!」
大江戸八百八町―
天下泰平のお江戸の町に、とある長屋に住む貧乏侍がおりました。
その名を 黒羽冬馬
剣の腕は滅法強いが、それよりなにより飄々としたナリで何故か女性を惹きつける
不思議な魅力をもった男だった。
それもその筈、彼は夜な夜な処女の生き血を求めて彷徨うばんぱいやだったのです。
しかし―
開放的なお江戸の「性の乱れ」は、今や彼の「食糧」事情を窮地に陥れ、
黒羽冬馬は今日も、乙女を捜し求めて町を徘徊するのでありました…
マンガ・エロティクス・エフにて連載。全1巻。
用心棒で日銭を稼ぐ貧乏長屋の侍が、西洋の妖怪「ヴァンパイア」になったら、
というシチュエーションで始まる時代劇コメディ。
作者は2002年から続く息の長いファンタジー「Landreaall」を連載中のおがきちかさんです。
ザクザクと太い線で削りだすように描かれる主線に、華やかなトーンワーク。
あっけらかんと明るいえろすのノリが面白いコメディです。
吸血鬼といえば処女の生き血が大好物―
ということで、魅惑の瞳で夜な夜な女の子をかどわかしては「食事」にありつくのですが、
根がSAMURAI HEARTを持つ男なので、「食事」のついでに女の子を悦ばせることはあっても
必要以上に好色ではない淡白さ。
しかし昨今のお江戸の性の乱れは凄まじく、昨日まで処女だった女性を助けたと思ったら、
翌日には既に食べごろを喪っている、という事態に愕然としたりします。(;´▽`A``
こと彼の周りには、長屋の大家の息子である「長屋一の色男」こと朔太くん(15)が、
気がつくと次々とヤっちゃってたりして、でも底抜けの明るさと気風のよさの前には
冬馬も憎みきれず、朔太の手の早さに頭を抱えて性の乱れを嘆くばかり。
それを冬馬がヴァンパイアだと知らない周囲の長屋の奥様方からは
「今どき珍しいおカタくてシヴいお侍さん」と解釈されていたりして
自分の「食糧」がなくなるのが困るから言っているのですが、その誤解されっぷりが面白いんですよ。
画面はCGで処理されているらしく、結構なトーン処理をされています。
特に冬馬の周囲には常に黒い霧のような模様が貼り付いているし、
朔太の周囲には可愛らしい花が大抵飛んでいたり、漫符代わりに模様のトーンがあったり
フキダシに模様がついていたり。正直、がちゃがちゃこちゃこちゃして若干見づらいくらいなのですが、
とにかく朔太や長屋の人々、そして吸血鬼である冬馬をやっつけようとして毎回返り討ちに遭う
トホホな新人・御公儀祓魔衆(ごこうぎえくそしすと)のたみやちゃん(処女)なども含めて、
あっかるいコメディ的な雰囲気が全面に出ています。
このたみやちゃんがめちゃくちゃ可愛いんですよ~(´∀`*)
全体として「侍」で「吸血鬼」である冬馬というキャラクターを使ったシチュエーションコメディで、
特にそれ以上でもそれ以下でもないカンジなので、物語を楽しみたい方には
向かないかなとは思いますが、朔太と冬馬の因縁が続いていくラストはさすがの安定感。
その後の二人を描いて欲しいなあと思えるラストでした。
おがきちかさんのHP → SWS
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