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千九人童子ノ件 [スリル/サスペンス]


千九人童子ノ件 (ビームコミックス)

千九人童子ノ件 (ビームコミックス)

  • 作者: 羽生 生純
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2010/08/27
  • メディア: コミック


おしまい

搬入機材(はんにゅう きざい)はその日、十何年かぶりに故郷の土を踏んだ。
しかしそれは凱旋ではなく、3本目の漫画連載の打ち切りが決まり、
収入の道が断たれた末の苦渋の選択だった。
「これは都落ちじゃない。また水面に浮かび上がるためには、もう一度深く沈まなきゃならんのだ!」
…しかし実家は既に弟と弟の家族のものだった。
翌日。
あからさまな家族の迷惑顔に追い立てられるように、
機材は桜が満開の千人塚にやってきた。
そこで彼は、小さな祠の前で「センクニンドウジ様」に一心に祈りを捧げる少女に出会う。
「もしやこれは漫画のネタになるかもしれない―!」
そうして機材は、村に伝わる「千九人童子」の伝承にのめりこんでいった…

コミックビームで連載。全一巻。
今回ご紹介するのは、当ブログではお馴染みの羽生生純氏の新刊です。
今月は「俺は生ガンダム」と月末に発売される本と
合計3冊も出ちゃうというのだから、ノりにノってますね。

さて。生ガンダムとは一転して、この作品はとある村を舞台にしたサスペンスホラーです。
山間の村、といえば「閉鎖的な村社会」で「独自の掟、もしくはタブー」があって
「噂がすぐに村中に拡がる」というイメージが呼び起こされますが、
本作はそれらを取り込みつつ、またうまくハズしつつ、羽生生氏のあの
昏い沼から湧き出すようなシーンの連続が息もつかせません。

千九人塚で出会った「佐藤ヒト」と名乗る孤児の少女の家には、
毎晩「千九人童子」なる化け物がやってくるといいます。
「村の伝承」というネタに自身の次回作のネタの臭いをかぎつけた機材は、
村の図書館に通ったり、伝承を知るという村の老人を訪ねるなどして
それが昔の戦国時代の戦で亡くなった千人(「沢山の」という意味で使用)もの
武士達の怨霊を鎮めるため、生け贄になった9人のみなし子たちの事であるらしいこと。
そして、その内の1人の神通力が弱まり、それから童子達は夜な夜な代わりの孤児を
探しにくるのだという伝承を聞き出します。
「いかにも」な話にすっかり大喜びの機材は、「確かめにきて」というヒトの誘いに頷き、
日が暮れてから二人でヒトの家に向かいます。 そこで二人の前に現れたのは…!

img447.jpg
毎回毎回衝撃的なシーンの連続で展開される本作。
もう会う人会う人ホラーの雰囲気たっぷりの姿で描かれ、
話は機材が「千九人童子」の伝承を追う過程で、孤児であるヒトの秘密や、
搬入家に隠されていた機材に関わる重大な秘密、そして機材の初恋だった女性との再会で
機材の記憶の彼方にあった衝撃的な事実など、もう
「これにはこんな衝撃的な秘密がー!」「えー!?」
「こっちにもこんな真実が隠されていましたー!」「な、何だってー!?」
「そしてこっちにもこういう話g(ry」
みたいな感じなんです。
普通なら長期連載で順々に明かすだろう、というくらいの話が
超高密度で全1巻の中で次々と開陳されていくのです!
そしてラスト付近の話はもう…!

私も途中まで読んだところで「そりゃねーよ」と思わず唸るほどだったのですが、
それすらも羽生生氏の掌の上だったとは…!w
ジェットコースターで「ぎゃー!」とか言ってる間にいつの間にか終わってました、的な感じで
いつの間にかエンディングまで一気に読み終わってしまいました。
話の〆をどうとるかによってこの作品の評価が変わるような気はしますが、
私としては「途中途中は面白い!最後も半分は納得できる。
…でももう半分は、『…あれ、もしかして私煙に巻かれたのでは?』と後からじわじわ感じてくる」
そんなお話でした(;´▽`A``


羽生生純氏のHP → hanyu-New ハニュ-ニュウ
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