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四季賞2011春 ~月刊アフタヌーン付録 [青春/自分探し]


月刊 アフタヌーン 2011年 07月号 [雑誌]

月刊 アフタヌーン 2011年 07月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/05/25
  • メディア: 雑誌


さあ今回は恒例のアフタヌーン四季賞を採りあげようと思います。
マンガ単行本でもなく同人誌でもないこのマンガ賞という舞台には、
他とは異なる「自分のマンガをプロの世界で認めてもらいたい!」
というエネルギーを毎回感じる気がします。必殺の気合い的なものを。
それだけに読み手であるこちらも著者が込めに込めたメッセージを
どれだけ読み取れるかが問われているかのようであり、
中には数回読んでも意図が読みきれないのもあったりして(;´▽`A``
あらためてあとがきの担当編集さんのきちんと読み取った上での辛口のコメントとか
拝見するとその凄みを感じたり、それに比して自分の読み取れなさにがっくりきたりしています。
それほどに四季賞の小冊子を読むのは毎回刺激的で、かつ緊張感を強いられる楽しみです。
今回はどのような作品が受賞したのでしょうか。
それではご紹介してまいりましょう…!

四季大賞 「アオムシス」 Lea
田舎から出てきて姉の家に居候している女の子。
居候ゆえ若干形見の狭い思いをしながらも、バイトをしながら日々を過ごす彼女は、
ある日鉢植えについていた、いつまで経っても蝶になれないと喋る奇妙な青虫を助けたことで
「命の恩人」として永遠の安らぎを約束する青虫の列車に招待されることに…

今回の四季大賞は幻想的な雰囲気漂う作品でした。
いつまで経っても蝶になれず、いつしか蝶になった自分の姿も描けなくなった青虫。
田舎から出てきて居候しつつも日々をバイトで埋めていく彼女。
となると青虫は「一人前になりきれない自分の心の闇の部分」という描かれ方が
されるのがパターンだけれど、殆ど迷いなく青虫の誘いを拒絶し、叱咤していくところが
アレ?と思わせます。

しかし逆にそれがために主人公の心情に変化があったとか、
これからの日々に希望をもってのぞめるようになったとか心の成長的な部分は
殆ど感じられませんでした。
なんかこう…色々何かが散りばめられているんだけど、それがイマイチ伝わりづらい気がします。
だからラストは大賞…かなあと思っちゃう微妙な感想。(;´▽`A``
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四季賞 「おから」 イシダナオキ
とある田舎町で「絶品」の油揚げを造るという豆腐屋の玉三さんに
その製法を聴きにやってきた無口な少年。
小料理屋で偶然出会った、同じく玉三さんに製法を聴きに来たという
胡散臭い営業マンと尋ねたところ、玉三さんにこっぴどく拒否されてしまう。
実は京都の老舗豆腐屋の跡取り息子で、旧来の製法を頑なに守れと言う母と、
効率的な新製法で周囲にも認められている弟に挟まれ、他人の顔色ばかりを伺って
「おからのようなヤツ」と言われ飛び出してきた彼は、営業マンとのやり取りを経て
彼なりの方法で自分の思いの丈を玉三さんに伝えることを決意する…

アツアツの油揚げ食べてみたいなあ…
作品の主題より、まずはそう思ってしまった作品(;´▽`A``
この作品を描くにあたってよほど細かく取材されたんだろうなあというのがよくわかる内容。
それでいてそれが単なる薀蓄の披露になるのではなく、その製法の中に
少年が自身を投影していく展開の仕方が巧い。
小悪党面が似合う営業マンの兄ちゃんも妙に憎めないキャラで、
作中ほとんど喋っているシーンの無い少年に迫る息詰まるやり取りとか
画作りにもプロのレベルを感じます。
あえて不満を言うなら、女性が一人も出てこn(ry
img155.jpg


うえやまとち特別賞 「面を打て」 田沢ユタカ
小1の頃から剣道の道場に通っている中学生の佐藤君。
その腕は初心者にも遅れを取るほどだが、本人は特に悔しいとか感じることも無くへらへらとしている。
なぜなら才能の無い自分には絶対超えられない壁―同時期に剣道を始め、
練習嫌いのクセに先輩の高校生にも勝てる才能の塊・高岡君がいるから…。
周囲の友人に「かっこ悪い」と言われても仕方ないと半ば諦めていた彼に、
ある日、道場に教えに来ている猫山先生から「その気になればお前にだって高岡は倒せる」
という衝撃的な言葉を聞く。
そのために彼に課された課題とは、ただひたすらに「面だけを打つ」ことだった―。

どんなに努力しても自分には才能のあるヤツには勝てない―
そう諦めていた少年が、ただ愚直に練習して周囲が目を瞠るほどの
変貌をしていくという正統派の青春スポーツマンガです。
努力しても勝てなかったらかっこ悪い。
人には向き不向きがある…
そうして惰性で剣道を続けていた少年が、本気で「勝ち」に行き、
自分を本気で研究し、負ければ悔し涙を流すようになっていく。
大きな困難に、勝利を信じてひたすら挑み続ける美しさを描いています。
そして一方で自分の才能を頼みに、ふんぞり返っている高岡君側も描かれていて、
自分の練習不足にほころびが見え、言い知れぬ焦燥感を抱える彼が良い対比になっています。
クライマックスの二人の対戦では、直前に思わぬ事態を佐藤君に起こして
その勝敗の行方をハラハラさせる工夫もバッチリ。
ラストも爽やかでベタなんですけど、やっぱりスポーツマンガはこうでなくっちゃと
思える作品でした。
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