ストレニュアス・ライフ

ストレニュアス・ライフ (ビームコミックス)

• 作者: 丸山 薫
• 出版社/メーカー: エンターブレイン
• 発売日: 2011/06/15
• メディア: コミック

今回ご紹介するのはマンガ雑誌Fellows!創刊号から連載されていた
漫画家・イラストレーターの丸山薫さんの作品を１冊にまとめたものです。
テーマは「お仕事」
とはいえFellows!連載マンガらしくこの本がビジネスマン御用達の青年漫画よろしく
ガテン系に労働の喜びを感じるオサーンの話でも、
特濃コーヒーで○徹目のSEが出てくるわけでも
つらい事もいっぱいあるけど、お客様の笑顔があれば明日もがんばれる系のマンガでもありません。
売れない三文小説家に世界で最後の像使い、ナイトクラブの女主人、お宝を探す探検家、
ホムンクルスを育成する錬金術師等等…　いかにもFellows!らしい幻想的で上品で、
どこか悪戯心あふれるキャラクターたちが出てくるオムニバス作品です。

Fellows!にて連載。全１巻。
Fellows!創刊から連載された全24編もの短編が収録されています。
著者の丸山さんはイラストレーター兼漫画家の方だそうで、
絵師としての活動としてはラノベの挿絵を担当したり、
「サルでも描けるマンガ教室」で有名な竹熊健太郎さん責任編集の漫画同人誌
「コミック・マヴォ」で表紙絵を担当していたりする方のようです。



内容は1話2～8ページくらいの短いもので、
小説家や運転士、歯科医などの現実に存在する職業の人もいれば、
錬金術師、魔女などのファンタジー世界の住人たち、
場合によっては「送り狼」という人外のものまでが登場します。
しかし現実にあるか無いかに関わらず、その人（？）たちはどこか現実にはありえない
幻想的な特徴をもって描かれます。
これが短いお話のオチになったり、表の職業はそれだけど実は裏の顔が…みたいな話だったりと
ネタバレになるので書きづらいのですが(;´▽｀A``、例えばその魅惑の歌声で人々を虜にし、
船を沈めると言われるセイレーンと、強靭な意志と鋼の如き魂を併せ持つイケメン船乗りの
ロマンスの行く末が描かれたり、その起源は紀元前に遡ると言われ、その地下迷宮とも呼ばれる
図書館の閉架書庫の全貌を暴かんと乗り込む司書の物語と、その図書館に過去・未来に
関わる人々が連作で描かれたりなど、童話的だったり冒険譚だったり
不思議な生物との出会いだったりするファンタジーな展開をもって描かれます。



イラストレーターから入ってマンガを描く方ってやっぱり言葉よりも絵で見せることを選択されるようで、
歌のようにコマ運びにリズムがあって、時にはくりかえしがあったり、
別のお話とつながりがあったりするあたりは、イラストレーターの方らしいなあと思ったり。
ただ良くも悪くもお話として綺麗で幻想的なものになっているために、
全体としては物足りないなと思ったりもしました。
なんていうのかな…その物語を俯瞰して観ているような作品なので、共感は無いというか…
あまり内面には迫っていかず、その幻想的な雰囲気を楽しむマンガなのだと思います。

丸山薫さんのHP → MARU PRODUCTION