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たいようのいえ [ハートフル]


たいようのいえ(1) (デザートコミックス)

たいようのいえ(1) (デザートコミックス)

  • 作者: タアモ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/09/13
  • メディア: コミック


おかえりって言ってもらえるのが嬉しいって言ってんだ

その日の深夜、真魚(まお)が親父さんとでかい荷物を持って俺の家にやってきた。
まるで本当に妹が帰ってきたのかと錯覚するくらい、あっさりと。
親父さんはご丁寧に今月分の生活費を置いて去っていった。

残された真魚には 『居場所』が無かった―

月刊デザートで連載。
コミック好きの方から好評だったので拝見してみました。
「マイガール」「うさぎドロップ」「高杉さん家のおべんとう」 など、
様々な作品と並び、ある意味一つの題材として定着した感のある
「大人の男が行き場の無い少女を引き取る」もののお話です。(;´▽`A``
今回の少女・真魚は、高杉さん家の娘さんよりも更に年齢が上の17歳。
家庭の事情で実の父母と離れることになってしまい、居場所のなくなってしまった少女、
という点では他の作品と共通するのですが、17歳であることが、自分の立場をある程度
正確に認識できてしまう点で、ある意味今までで最も残酷な境遇にあると言えるのです…

真魚は子供の頃から、お向かいに住む6歳年上の基(ひろ)と、
その弟妹の住む家に入り浸っていました。
真魚の両親は仕事で家を空けがちで、夕飯は弁当屋で買ったような味気ないものがあるだけ。
やがて離婚をすることになり、あまり話したことの無い父親と二人暮らしになる真魚には、
まるで太陽のように暖かな、基の家がとても居心地が良かったのです。
…しかしそんな中睦まじい基のご両親が突然他界してからは、
家に残ることを望んだ基を残して、弟と妹は親戚の家に引き取られていきます。
それからは時々基に会うくらいで、疎遠になってしまう真魚。
しかし、彼女の父親が再婚することになり、新しい母親とその連れ子がやってくると、
真魚には徐々に居場所が無くなってしまうのです…

真魚は基の妹に連れられて家に初めてやってきた時から、自身が「寂しい」と言うことを
ガマンし続けているような娘で、それが故に基の両親などに優しい言葉をかけてもらっても
素直にそれを受け止められずについ天邪鬼な反応をしてしまいます。
その性格は長じても変わらぬ真魚の家庭環境の中で当然変わることはなく、
肉親であるはずの父親も、それが彼女の寂しさの裏返しの態度であるということを知ってか知らずか、
度々反発する娘に苛立ちを隠さなくなっていきます。

物語はこの新しい家族の中で要らない子扱いをされてしまった真魚と、
弟・妹たちと離れて、一人きりで元の家に住み続けている基が、
それぞれに寂しさを補い合うように一緒に住むことになります。
基はとても家族愛が強い人で、だからあの暖かだった家族の居た家を一人で守り続けます。
だからでしょうか、ほとんど家族のように接していた真魚にも、彼女の強がりの言葉の裏を読み取って
やんわりと包み込むように接していくのです。

このお話、他とちょっと違って面白いのは、互いの心情を同時に描き出しているところでしょうか。
こういった題材を扱う場合、大抵主人公は親代わりになる男性の視点で、
複雑な家庭環境にあった少女の頑なになった心を推し量りながらアプローチしていく、
という描き方をしますが、この作品では基からアプローチを受けた真魚が、
おちゃらけているように見せて、実は自分のことを考えてくれ、
そして居場所を与えてくれる基の気持ちに、徐々に惹かれていく姿も描き出されています。
これは真魚が基に急速に恋心を自覚していく展開の説得力を増す演出であり、
そして離れ離れになっている弟妹達が、基にとる微妙な態度の理由についても
同時に描き出す意志があるからだと思います。
真魚が密かに自身の身の上を題材にしたケータイ小説を投稿していて、
互いに知らずに、その小説のファンになっている基との関係が一本別にあるのも面白い。

img502.jpg
互いに寂しさを抱えた二人。
二人の関係は恋仲に発展していくのか。
そして二人はそれぞれの家族とどのような関係になっていくのか…
親代わりの人から娘さんへの一方向じゃない、双方向の関係を掘り下げていくこの物語。
断然先が気になります!


タアモさんのHP → ラム
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