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ホームセンターてんこ [青春/自分探し]


ホームセンターてんこ(1) (KCデラックス)

ホームセンターてんこ(1) (KCデラックス)

  • 作者: とだ 勝之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/07/17
  • メディア: コミック


だって面白いこと始まるんだもん

2年ほど前、父親の持ち物だった電動ドライバーを、初めての一人暮らしの
引越し先にもって行ったのは、単純に「かっこいいから」でした。
しかしそれは20世紀の遺物であり、既にネットでも同型のものは発見できないくらい古く、
電源コードは短いわ、充電電池なんてとっくの昔にヘタれてるわで実家でちょっと使おうと思ったときには
この上なく使いにくい印象しかありませんでした。
それから程なく、一人暮らし者御用達の、激安家具屋で書棚を購入した時のこと。
そういった店ではありがちな、「組み立てはお客様自身で」というタイプのお店で、
自分の背丈を軽く越える高さの書棚をあちこち歪みながらもそれでも無事組み立てられたのは
その無骨な暗緑色の電動ドライバーがあったればこそでした。
短い電源コードにばかデカいACアダプターがついていて、相変わらず取り回しは最悪でしたが
手回しドライバーではてこずるような硬い木材に、「ぎゅいーん!」と数秒で
木ネジをねじ込む力に感動したものです。
私のDIY経験と言えば、せいぜい既製品をプラモデルのように手順どおりに組み立てるくらいものですが
本日ご紹介する作品は、DIY用品を置くいわゆるホームセンターでバイトをする女子高生を主人公に
「そんなん個人で造るのなんて無理だ」
と思われるようなものを、アイディアとホームセンターにある様々な道具を駆使して創り上げてしまう
そのサプライズが面白い、ものつくり系マンガです。

マガジン・イーノで連載。全5巻。
東京でOLをすることになった姉と共に福岡から上京した女子高生・井本典子(通称・てんこ)が、
引越し後の家具を観にいって偶然迷い込んだホームセンターでDIYの楽しさを知り、
「こういうのがあったらいいな」というアイディアを次々と形にしていく物語です。
このマンガを読むことになったきっかけは、以前ご紹介した鉄工所を営む関西の下町を舞台にした
ものづくりマンガ「ナッちゃん」が面白かったからでした。
それ以外にも 見ル野栄司さんの「シブすぎ技術に男泣き」というほぼ著者の実体験というマンガもあり、
上記2作が「どんな創意工夫でクライアントの要求する機械を創れるか」というものであるのに対して、
てんこは好奇心旺盛で、専門知識には乏しいけれど「こんなのがあったらいいなあ」という「夢」を
楽しみながら具現化していく過程が魅力です。
同じミッションクリア型なのですが、基本そのミッションは自分達が自主的に設定するところに
大きな違いがあるんですね。
なので話の中で必ずある「うまくつくれない、どうすればいいんだぁ!」という逆境にも、
大抵ホームセンターの頼れる先輩・天道巧作が電動工具などを駆使した解決策を
提示してくれる場合が多いんですね。
では巧作がやれば全部解決かというとそうでもなく、彼は機能的なものを創るのには向いているけど、
例えば子供が喜ぶような一見ムダに見える機能や、面白いデザイン上のアイディアに関しては、
てんこが思いつく突飛なものが非常に大きな役割を果たすのです。
頼れるのは自分だけ、刻々と迫る納期…みたいなお話も無いではありませんが、
基本可愛い女子高生がわいわいとDIYをやる工作の楽しさを前面に押し出した
お話づくりが良いんですよね。

img624.jpg
そんな女子高生・DIYマンガも、人気の低迷から打ち切りの憂き目に遭ってしまいました。
しかし驚くべきことに、そこからこの作品は主にネット上の口コミなどで話題になり
遂には打ち切り決定後に単行本が重版されたという、とても珍しい作品でもあります。
ひたすらに前向きで、ものづくりの楽しみに満ちている本作。
機会があれば是非ご覧になってみてください。


とだ勝之さんのHP → 勝之介工房
同人誌(2冊目です) → ホームセンターてんこEX
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