ちはるさんの娘 [ハートフル]
「…いつか私にも白馬に乗った王子様が…」
「現れないから もう。」
人気ミステリー作家にしてバツイチのちなつさん(38)と
その母で洋裁店を営む 心はいつも18才のちはるさん(80)
好奇心いっぱいの恋多き母に、根がまじめでおカタイ娘はいつも振り回されっぱなし!
今宵は「娚の一生」で話題の西炯子さんの描く
乙女のちはるさんと枯れかけの娘さんの母娘コメディをご紹介します!
月刊まんがタウンにて連載。
今日本屋さんで2冊同時に西炯子さんの新刊がリリースされていました。
「秋の惑星直列まつり」と題して、小学館、双葉社、新書館にまたがって発売される
西炯子さんの新刊ラッシュが始まるようです。うわあ凄いなあ(;´▽`A``
西炯子さんといえば、最近では30女と飄々とした50男の年の差男女の恋を描いた
「娚の一生」が昨年のヒットとなり、書評ランキングとして有名な「このマンガを読め!」の
2010年版第5位になっている人気の漫画家さんです。
今回も三十路を過ぎて夫とも別れ、色々諦めちゃって守りに入った娘(38)と、
それを「つまらない娘ねえ」と嘆息しつつ、おしゃれに夢中な小学生に負けないくらい
おしゃれでパワフルで乙女な母(80)の凸凹母娘の対比が面白い4コマとなっています。
西炯子さんの描く老人ってなんでこんなに若々しいんでしょうねw
本来なら含蓄のあるセリフでも吐きながら茶をすすっている役割の人が、
働き盛りのはずなのに人生に疲れちゃった今時の30代よりも、
むしろ好奇心いっぱいで、おしゃれで、「恋しなきゃだめよ~」なんて言いながら
孫ほども年が違うイケメンの出てくるドラマに夢中だったりする。
そんなちはるさんが実に魅力的なんですよね~!
古くは「三番町萩原屋の美人」でも、見た目や行動はまるっきり若者に見えるんだけど、
流行の呉服店を営む大店のご隠居、という年齢だけはじいちゃんが主人公のマンガを
描かれていましたが、今は見た目も相応の姿を描きつつ、でも若くみずみずしい
じいちゃんばあちゃんが描けるまでに究められました。
ほんと、個人的にはオンリー1な漫画家さんだと思います。
さて、この作品ですが、バツイチで人気のミステリー作家をやっている娘のちなつさんが、
すぐご近所の実家から毎回やってくる母のちはるさんに振り回されるストーリーです。
一緒に買物に出かければビキニの水着やおしゃれなバッグを買ってみたり、
ご近所の肉屋さんの孫で、おしゃれに夢中な小5の女の子と一緒にはしゃいだり、
スポーツクラブのサワヤカインストラクターの兄ちゃんに惚れて、
同じくインストラクターに好かれたいと思っているずっと若い奥様方よりうまくいっちゃったり、
でも時折娘の将来を心配して若いイケメンとくっつけようとしたりと
飄々としてマイペースで、でもいつも娘を彼女なりのやり方で気遣ってくれるちはるさん。
一方、学生の頃からおしゃれや流行には全く興味がなく、とても思いやりがあって
立派な仕事をしている夫なのに、女性に惚れやすい性格にガマンがならず離婚して
母の友達の小5の娘っ子にモテないおねーさん呼ばわりされてからかわれたりする
地味な娘のちなつさん。
この精神年齢的に逆転しちゃってる対比が面白いんです。
30を過ぎて一通り人生経験した感じになっちゃって、もう若くもないしな~なんて
自分の顔を鏡で見ながらため息ついちゃう。
ふと見回せば ちなつさんの周りには、今でも愛情をもっている元夫や、
ドジでルーズで少し頼りないけれど、カワイイ年下の編集者クンもいて
意外に恋に発展しそうな要素はあるのだけれど、つい仕事にかまけて
恋に臆病になってしまった自分を誤魔化してしまう。
今は奔放で魅力的な母の影に隠れてしまっていますが、ちなつさんがこの先
どのように変化していくかが楽しみです。
今30~40代の方には特にお薦め!これは良いものですよ。
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