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ツノウサギ [燃え]


ツノウサギ (IKKI COMIX rare)

ツノウサギ (IKKI COMIX rare)

  • 作者: 柴本 翔
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/12/08
  • メディア: コミック


とどめだペンギン恐竜団!!! 歯ァ喰いしばれ!!!

頭にカブトムシのような角が生えてるウサギのジャッカは、ヒーローに憧れる少年。
今日も自慢の「カブトムシパワー」で困った人を助けるため町をパトロールです。
「おっ、いたいた。おーい ジャッカー!」
ジャッカを見つけて追いかけてきたのは、同級生で親友のネズミの少女・トポ。
「んー、どうかしたの?」
振り向くと、トポはニヤリと笑ってまるで打ち明け話をするようにささやいた。
「モリンおじちゃんが一人でにんじん運んでて大変なんだわ。
 ニンジンと言ったらヒーローツノウサギの重要なエネルギー源だろ?
   もしかしたら また奴らが襲撃してくるんじゃ…!!?」
その瞬間、ジャッカの瞳に強い光が宿る。
「確かに… やつらはきっと現れるに違いない!」
それは太古から甦った宿敵、悪のペンギン恐竜団!
このとき彼は、ジャッカではなく、ヒーロー・ツノウサギへと変身するのだ!
右手にニンジンの剣を握り締め、背中の羽根型マントをひるがえし、ツノウサギは颯爽と走り出す。
「行こう、トポ。ツノウサギ出動だ!!」

昨日に引き続き、IKKICOMICS rareレーベルから単行本用描き下ろし作品をご紹介します。
著者の柴本翔さんは動物を擬人化したキャラを好んで出されるようで、
少年誌にでてきそうな温かみのあるスッキリした絵柄で描かれています。
過去に文化庁メディア芸術祭マンガ部門の審査委員会推薦作品に選ばれてもいる
今、IKKIが推している新人漫画家さんなのだそうです。

この作品はなかなかいいですよ~
序盤のヒーローになりきって悪のペンギン恐竜団なる機械化した恐竜メカを操る
ペンギン達とのコミカルで立体的な空中アクションが巧くてぐっとつかまれます。
どことなく有名週刊少年誌に掲載されていてもおかしくないくらい。
カッコイイヒーローに憧れる子供の頃って、突然自分の世界に入り込んじゃうことってあるよなあ。
竜巻被害を受けた隣の区から転校してきたばかりのジャッカは、
友達と言えばネズミのトポと、優しい秀才少年のアルジャーノンくらい。
お話は妄想好きで意外と孤独なジャッカに生えている「カブトムシのツノ」を鍵として
展開していきます。

表紙や序盤を見た印象では力持ちの少年の、少年誌的勧善懲悪マンガなのかと思いきや
可愛らしい絵柄はそのままに、ぐいぐいとヒーロー少年の陰の部分にスポットが当たっていきます。
言うなればバットマンなどのようなアメコミヒーロー的展開と言ったらいいのかなあ。
過酷な運命がジャッカに襲いかかり、それを友人達や周囲の大人たちが一丸となって
支えようとするクライマックスは、たった200ページ1冊完結の物語なのに
恐ろしく濃密でムダがありません。
クライマックスでの「一部の人には見えていた最後の戦い」の部分にホロリときちゃいます。

img650.jpg
ただそれだけ良くできているだけに、逆に「こうして欲しかった」という
欲目が出てきてしまうのも仕方の無いところで…
あちこちに張られた印象的な伏線がちょこちょこ回収されず もやっとしたり、
ラストシーンの演出の弱さ、そして何よりヒロイックファンタジーだからこそ余計に
「印象に残るオリジナリティのある名セリフ」が欲しかったなあと思います。
なので私の中では「うーん、惜しい!」という感じ。
次も期待してます!


柴本翔さんのHP → ひよこ産業
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