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うずまき [スリル/サスペンス]


うずまき (ビッグコミックススペシャル)

うずまき (ビッグコミックススペシャル)

  • 作者: 伊藤 潤二
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/08/30
  • メディア: コミック


渦…渦だ…うずまきだ……この町はうずまきに汚染され始めている……

私の名前は五島桐絵。
灯台の建つ小さな港と、町を見おろす山の中腹に建つ黒渦高校に通っています。
今、この黒渦町には奇妙なできごとが起こっていました。
それは、隣町の高校に通っている秀一君のお父さんの
「うずまき」に対する異常な執着から始まり、
風や道端の水路の水が渦を巻き、
やがては人が…渦巻きにとり憑かれていくのです。
「…なあ桐絵、オレと一緒にこの町を脱出しないか?」
深刻な顔でそう言った秀一君。
その時は「駆け落ち?」くらいにしか感じなかった彼の言葉が今では何となく解ってきました。
あの陰うつな海も、深く垂れ込めたうずまき雲も、渦を巻いた草木も
そして桶の中で自らうずまき状に収まって死んでいた秀一君のお父さんも…
全てはこの町を覆う うずまきの呪い。
そして私もまた…うずまきに呑み込まれていくのです―

週刊ビッグスピリッツで'98~'99にかけて連載したホラーマンガが
全19話+番外編の計20話、650ページ弱の分厚い本となって再販されたものです。
こちらは「バカを休み休みいうPodcast」でちょっと話題になったのが気になって読んでみました。

草木も、水も、雲さえも何故か渦をまいたような形になっている町・黒渦町。
そこに住む人々は徐々に渦に惹きつけられ、うずまきは
それ自体が意思を持つかのように、人々をうずまきに変貌させていく…
物語はこの「うずまき」に汚染されていく黒渦町を舞台に展開されます。
もうとにかく著者の頭の中「うずまき」だらけ!四六時中うずまきのことを考えていました!
という感じの、どこもかしこも「うずまき」の物語が凄い。
第一話は、秀一君の父親が渦巻きに徐々に魅せられ、遂には全身渦巻きとなって
桶の中で死んでいる様子が描かれます。
火葬された時にも煙突から出た灰が黒いうずとなって空一面を覆い、
それを見た秀一君の母は心を病んで、目に付くありとあらゆる
「うずまき状のもの」を恐れるようになってしまいます。
それこそ自身の指紋でさえ、鋏で切り取ってしまうほどの状態になって、
やはり「うずまき」が原因で凄絶な最期を遂げるのです。

img486.jpg
ヒロインの桐絵は、家族やクラスメートの人たちが
うずまきに侵食され変貌していく姿を次々と目の当たりにします。
中でも衝撃的なのは、背中に渦巻状の「できもの」ができてきて、
最後は人の大きさのかたつむりになってしまう「ヒトマイマイ」化でしょうか。
かつては人間だったものが、目玉が槍状に飛び出すその画は
生理的に相当なストレスを与えてくれます。

人々の身体がねじくれ、絡み合い、うずまき状の建物が広がった町には、
びっしりとねじれた人たちがごったくたになって詰まっている…
ホラーマンガなので、ひたすら うずまく狂気の世界が描かれるのですが、
この徹底的にうずまきを組み込んでくる創造力!
それは最終回でこのうずまきの元凶が明かされたときの微妙さを
補って余りある見所ですよ。(;´▽`A``
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KAI

連載当時に読んでいて「なんて不条理な漫画だろう・・・」と思った作品です。
「なぜ、そこまでうずまきに拘る?」みたいな。
見ようによっては、ギャグと紙一重な印象もある、なんとも不思議な漫画だと思いました。

by KAI (2010-09-08 10:45) 

meriesan

そうですね。病的なまでにうずまきを突きつけ続けられると、こっちも軽いめまいを感じそうです。(;´▽`A``
by meriesan (2010-09-09 02:06) 

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