ワガランナァー [ギャグ]
その日 その時 彼らは出会った
テーさん ヨメン 一人旅!
彼らはキッチュで陽気なルンペンだ!
風の向くまま 気の向くままに
全ては単なる思いつき 全ては行き当たりばったり
見かねたイッキュがヒステリーを起こしたら
彼らは揃って こういうのさ
「ワガランナァー」
月刊コミックビームにて連載 全1巻
「恋の門」「俺は生ガンダム」などを著した
このブログを続けてご覧になっていただいている方には
「またかYO!」
と言われても仕方ないくらいご紹介している
羽生生純さんの1996年~1998年の作品です。
Twitterの漫画読みさんの中にも、書評ブログをされている他の方でも
羽生生純さんといえばこの作品が一番「らしい」とか「好きだ」とか仰っているのを
ちらほらお見かけしていましたので、こりゃにわかファンの私は
目を通しておかねばなるまいと、今回拝見してみました。
冒頭 主役の男3人の出会いのシーン
道行く頭悪い女学生風の3人組―
「んでぇー ゲッピョがゾンゲで チョロメンタのケーーーなのぁー」
「ゲー なにそれケモソじゃん」
「あっせー なんごらケヒー」
いきなりこれ。
サブリーズにも出てきたギャルの戯画化されたこのセリフだけで一気に惹きこまれてしまいました。
特に「なのぁー」の部分で脳内にこういう喋り方する声が聴こえてくるようです。
ふと、女学生の一人の指から離れる吸いかけのたばこ…
その瞬間、同時に伸びる3本の腕。
シケモクを巡ってひとしきり(3人の脳内で)争ったかと思うと、いきなり仲良くなる3人。
そして毒づいた女学生達に、今度は3人は揃って痰を吐きかける。
思わず落とした煙草の箱を取られて悲鳴と怒声を浴びせかける女学生たち。
3人のルンペンは大勝利!と快哉を叫ぶ…
彼らの行動は終始行き当たりばったり。
ひたすら自分たちの気の赴くままに、無邪気にやりたいことをやる。
小難しい倫理? 常識? には「ワガランナァー」と返す。
とにかくこのひたすらノリと勢い、そして予想もつかない彼らの突飛な行動が面白い!
彼らに巻き込まれ、すっかり生活を滅茶苦茶にされて同じくルンペンとなってしまった
計算高くて欲深い女性・イッキュ(彼らにつけられたあだ名)をツッコミ役兼トホホな役にあてることで
3人の無軌道に飛んでいってしまう物語をきちんと破綻の一歩手前…
…あ、ちょっとチビっちゃった(;´▽`A`` くらいで終わらせる
このバランス感覚が凄いなあと。
イッキュを加えて4人となった、相変わらず行き当たりばったりの放浪の旅では、
どうにも一本ネジのトんだゲストキャラクターも目白押しです。
特にルンペンな彼らの対極に存在する権力者が度々出てきたりしますが、
彼らの支配からスルッとあっさりとすり抜けてしまう、
そんな痛快活劇的なエピソードが印象的です。
最後までひたすら爽やかに、無邪気に、風のように吹き抜けていく彼ら。
走り出したら止まらない、ブレーキの吹っ飛んだ彼らを描く疾走感あるコマ割りは、
確かに羽生生さんならではの迫力に満ちています。
自由。ひたすらに自由。
多分羽生生さんの作品を未読の方にオススメをするのであれば、
まずは「恋の門」からご紹介するのは間違いありませんが、
羽生生さんの魅力の一端を分かりやすく描ききった作品という意味では
確かに本作をおいてないなあと思えます。
頭空っぽにして、楽しむタイプの漫画ですね~
羽生生純氏の連載コラム → 羽生生純の絵答え
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