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私という猫 [青春/自分探し]


私という猫

私という猫

  • 作者: イシデ 電
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: コミック


ひとりでもちゃんと生きていけるようにみんな関わりあうんだ
誰とも関わらずにこの世界をひとりで生きていこうなんて思ったら死ぬぞおまえ
おまえの子供も


私は猫。
しゅるりとした長く美しいしっぽが密かに自慢な
それ以外はとりたてて特徴のない凡庸な日本猫だ。
親がノラ猫だったので私もノラ。
ノラとしてのプライドはさほど無い方で、時には人間からの差し入れにも手をつけるが、
それで人間に媚びるほどお安くはない。
ほんの幾年か生きて死んだそんな私という猫の、これはその微かな足跡の物語…

本書は著者のイシデ電さんのHPにて公開されていた作品を単行本化したものです。

いや~これはカッコイイ!
猫マンガといえば、(木曜日のフルットのような半ノラという変り種はあるものの)
今まで「飼い猫」のマンガばかりを読んできたのですが、
今回のマンガは「ノラ猫」たちの世界を描いています。
これが「猫の気ままな日々」とかそういうのではなく、ノラであることのリスクを
きっちりシビアに、だからこそ彼らの短いけれどふっといドラマが際立って実にいいんです。
猫ハードボイルドというか、昔のアニメの「ガンバの冒険の序盤」的な雰囲気を感じると言うか…

ノラ猫たちは基本人に頼らず、猫同士でも依存しあうこと無く
せいぜい春にぽこぽこ子供を産んで町内中を自分の子供達だらけにしながら
突然の事故で目の前で息子を喪うことになっても、それでも「孤高」を愛すもの。
そう考えていた「私」が、ある日喧嘩友達の「美しっぽ」に猫の集会を教えられます。
そこでは様々なノラたちが思い思いに寝そべって毛づくろいをしあっていたり、
いつの間にかボスが世代交代をしていることが判ったり、
いつも自分と喧嘩をしている「美しっぽ」が意外と世話焼きな性格だったり…
ノラ同士「仲間」になるというわけでは無いけれど、誰かが困った時には関わりあう。
そんなノラ猫たちの社会を知ることになります。

お話の筋としては、孤高をこよなく愛し、勝手気ままな性格の「私」とその周囲で出会う
人間嫌いの「美しっぽ」、元ボスの隻眼のトラ猫、元ペットだった「飼われ」の現ボス・ハイシロー、
「私」の息子で、虎視眈々とボスの座を狙う暴れん坊「ハナクソ」など、様々なノラたちとの
人ならぬ猫情ドラマ的なお話になっています。
情けといっても基本べたべた干渉しあうのを嫌うノラ猫たちのこと、本当に困っている猫に
「しょうがないね、私もつくづくお節介だ」と言わんばかりの恩着せがましさの無い
サッパリとした世話の焼き方がいいんです。
さらりと自然と助けるのが当たり前、でももう大丈夫なのならとっととあっちいけ!みたいな。
妙に温かいけどドライなカンジが、自由の代わりに死のリスクを受け入れるノラ猫たちの
スタイルとしてかっこいいんですよ。

img562.jpg
中でも隻眼老猫の「ボス」と、後にボスのバックアップを受けて新たなボスとなる
ハイシローとの物語がたまりません!
人間の都合で棄てられ、ノラにもなれず弱りきっていたハイシローを拾い、
彼を傍に置いて護ってやりつつ、ボス猫としての他の猫への細やかな気遣いを、
口では「どうってことねえよ」と言いつつ行動で示すボス、男まえ過ぎ!(´∀`*)
最期の盛り上がりなんてもう…! ボスーー!!ってカンジがもう…!

飄々として互いに干渉しすぎず、それぞれにいつでもいざとなったら自然と助け合うノラ猫たち。
そして中でもとりわけ馴れ合いを嫌い、一歩引いたような位置で事の成り行きを眺めている「私」。
この微妙な 1人なんだけど独りじゃない感 が実にカッコいいなあと。
ひたすらため息がでたり、シビれたりする猫マンガ。
こりゃあ一読の価値がありますぜ!


イシデ電さんのblog → でんやこのごろ
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