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ぢごぷり [スリル/サスペンス]


ぢごぷり(1) (アフタヌーンKC)

ぢごぷり(1) (アフタヌーンKC)

  • 作者: 木尾 士目
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/05/22
  • メディア: コミック


こんな毎日がいつまで続くのか全くわからない
3ヶ月?半年? ………1年? しかも―
一日の休みも許されない


「げんしけん」でオタクたちの煮え切らない青春を描き
強い共感を呼んだ 木尾士目さんの子育てマンガです
「子育てマンガ… ああ はいはい『ママはテンパりスト』ですか?」
みたいな反応をされた方は甘い!
この赤ちゃんをだっこした萌え系の女の子の表紙に
「げんしけん」のようなあのほわほわした
物語を期待すると強烈なカウンターパンチを喰らいます

木尾士目さんご自身の子育ての体験をベースに描いた
新生児の子育てマンガ その様子は筆舌に尽くしがたいものでした
すごいよママン…

アフタヌーンにて連載
これを読み終わって 思いを馳せるのは自分の母親のことでした
自身の誕生の時は当然記憶にないのですが
弟が生まれる前後に 母は茨城の実家に戻り
私はその間 父が毎日取ってくれる店屋ものが楽しみだったことと
母がいないことがやっぱり寂しかった記憶が残っています
しかし このマンガを読んだら何故母親が実家に戻ったのか
それが本当に良く分かります…

姉の沖浦あゆみが出産を終え 出迎えた双子の妹・日野かなめと
アパートに帰ってきたのは3月のこと―
故あって父となる男性がなく この日からあゆみは かなめの支援を受けながらも
ほぼ一人っきりで愛するわが子を育てることになる
数時間毎におっぱいが欲しいと泣き
うんちやおしっこを出しては気持ち悪いと泣き…
昼夜を問わず あかちゃんの泣き声で叩き起こされる日々
それは これから続く地獄の日々のまだほんの始まりでしかなかった―

あかちゃんの都合でどれだけ睡眠時間が取れなかろうと
おむつの交換やおっぱいをあげなければならない状況
これが数時間おきにやってきます
ぞんざいに扱おうものなら乳幼児には即 死に繋がりかねませんし
元々きっちりした性格であることと 馴れないことでの緊張が加わって
極度の睡眠不足と併せて あの優しくて面倒見の良い母性のカタマリのような
姉・あゆみがみるみるうちに疲弊していく様子が描かれるのです
萌え絵にこれほどクマを描き入れたのは おそらくこれが初ではないでしょうか(;´▽`A``
 
子育てを終えた 動物のメスが ガリガリに痩せて痛々しいあの姿を思い起こさせるあゆみは
次第に母性とはまた別の 愛するはずのわが子の「奴隷」になったかのような感覚に陥っていきます
何をしても泣き止まない赤子を ひたすらオロオロしながらあやし続ける毎日
妹のかなめが必死にサポートしてくれますが たまたま彼女が赤子をあやしつけてくれても
それがまるで「自分は母親失格だ」と言われているような屈辱感を抱いてしまうのです
それほどまでに追い詰められていくあゆみの様子が 本当に鬼気迫ります
もう「子育てホラー」とかいうジャンルがあってもいいくらいです

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間もなく7月には待望の2巻が発売されますが
なぜ 他の親類の助けを求めないのか?
父親は一体どうなったのか?
二人が子育てに縛られ続けている間の生活費はどうなっているのか?
とにかく1巻は完全に シーンがあかちゃんに固定されていました
2巻では二人がなぜこうなったのかに至る経緯なども徐々に描かれていくと思われます
ママはテンパりストを描いた東村アキコさんは終始面白おかしく子育てを
描かれていましたが これを読んでからは子育てしつつ連載を多く抱える
東村さんを当社比3~4倍くらい尊敬する気持ちが増えました(;´▽`A``

これは正直 人を選ぶマンガですが
多少極端にフってるんだろうなあとは思いつつも 母はすげぇ!と思わされる
面白い作品だと思います おススメですよ~
img279.jpg

【ぢごぷり 2巻】 2010年7月27日 15:56更新

ぢごぷり(2) <完> (アフタヌーンKC)

ぢごぷり(2) <完> (アフタヌーンKC)

  • 作者: 木尾 士目
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/07/23
  • メディア: コミック


天然搾乳器カモン!

ぢごぷりこれにて完結です
よかったです!
と言っても迂闊に げんしけんでファンになった方に
お勧めしづらいところが厳しいところですが(;´▽`A``
いよいよ 夢子ちゃん誕生から1ヶ月が経過し
あゆみママはようやく床上げ
夢子ちゃんと一緒に散歩に出るようになります
(外気浴っていうらしいです)
これが物語的にぐっと楽になると言うか
外に出ることによって出会う 元ママさんであるとか
同じように赤ちゃんを育児中のママたちとの情報交換で
あゆみママはぐっと良くなっていきます

…いや 相変わらずあかちゃんに悪態を吐いたり
夜泣きして しかも母乳をうまく吸ってくれなくて
泣き止まない夢子ちゃんをはっきりと拒否したりと
妹・かなめと同じようにハラハラさせられるのは変わらないのですが
それでも あの真っ暗闇で見えない出口を求めて地獄をさまようような
これまでよりはずっと良いし
最後は少~し肩の力が抜けたような
自分も楽できる適当な育児を体得しつつありました

前巻の謎であった あゆみの夫 そして彼の実家との断絶の理由
資金の出所と きちんと謎だった部分も消化してくれ
夢子ちゃんが生まれてから半年
夜泣きで叩き起こされる日々はもうちょっと続きそうですが
先が見えてきたような 希望のもてる終わり方でした

総括すると この1日の進まなさっぷり
1日の内容の濃さっぷりがこの漫画の見所です
やっぱりこれをもって自信をもって人に薦められる本とは言えませんが
それでも私はこの沖浦姉妹とその愛児・夢子ちゃんの物語は
読んでよかったと思える作品でした

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