誘爆発作 [スリル/サスペンス]
俺たちは心臓を共有してるような関係なんだ
その老人は武藤と言った。
心臓に重い疾患を抱え、今はペースメーカーと薬で何とか生きながらえている。
かつて男は娘を突然の行方不明で失い、深い絶望の闇の中を20年過ごしてきた…
最近は夫婦ともども静かな余生を過ごしているが、最近補聴器も付けずとも
どこからか聴き慣れない若い女性の声が聴こえてくるのだと言う。
その若い娘の名は真咲と言った。
とある自動車工場で会社員として働きながら彼氏と同棲しているが、
最近ひどく哀しい夢を見るのだと言う。
そしてどこからか聴こえてくる謎の老人の男の声…
「誰だ お前は!?」
「そっちこそ誰なのよ!?」
そして2人は― 繋がった
月刊少年シリウス別冊NEMESISに連載。
久方ぶりのサスペンスものですね。
今回ご紹介する作品の著者は、岡村星さんという女性の新人作家さんなのだそうです。
NEMESIS誌上では高い人気を獲得されている作品のようですよ。
そういえば真咲の職場の友人との「おニューの靴に気づけよ」のやりとりとか
女性視点らしいじゃれあいの図が面白かったなあ。
さて「誘爆発作」というタイトルの何が誘爆かというと、面識も、血の繋がりも、
住んでるところも、年代や性別でさえ全く異なる、心臓病を患う武藤という老人と、
自動車工場で働く若い娘・真咲とが何故か「繋がって」しまうというもの。
何が繋がったのかというと、一つは「心臓」。
勿論武藤老人と真咲とは全く別の場所にいるので、物理的にくっついた訳ではないのですが、
今まで健康だったはずの真咲が、武藤と自分、どちらかでも強いショックを受け心臓に負担が生じると、
武藤と一緒に苦しむことになってしまいます。
そしてもう一つは心…いわゆる「テレパシー」。
これは深夜の0時から1時の間だけ、全く別の場所にいる2人が心の中で
会話できちゃうというものなのです。
それでこのシチュエーションで何が始まるのかと言うと、最近真咲が視るようになってしまった
幻の映像が、どうやら20年前に行方不明とされた武藤の娘らしいことが判明するというもの。
その幻の中ではどうやら武藤の娘らしき女の子は惨殺されたらしく、
武藤に懇願された真咲は、幻に出てくる殺人犯らしき男に近づき、
殺害の証拠を見つけることに協力することになります。
殺人犯を追い詰める…
本来全くの他人である真咲を危険に晒さないよう、
武藤老人は二人の連絡手段にテレパシーを使用します。
ペースメーカーをつけているためケータイを持たないという武藤と会話できるのは
毎夜0時~1時までの1時間のみ。
一見いつでもどこでも口を開くことなく内緒話ができてしまう超能力ですが、
時間制限があることに加え「武藤と真咲以外には聞こえない」
ということが裏目に出ることがあって…おっとっとこのくらいにしておきますね。
そしてこんな緊張感のあるシチュエーションに飛び込んでいく二人の心臓は、
いつ何時二人を激しく苦しめることになるか判らないのです…
1巻を読んだカンジだと、サスペンス的な描き方が実に巧い作家さんだなと思います。
武藤側のシーンをある程度描いて、一方その頃真咲は…という場面転換で互いの状況を
うまーくうまーく小出しに見せて行き、片方の状況の変化がもう片方に
影響を及ぼしてドキドキさせる見せ方。これこそサスペンスの醍醐味だなあと。
このまま2巻も続くといいなあと思います。
岡村星さんのblog → 岡村星
1話試し読み → 講談社コミックプラス
なんか説明だけ読むといろいろとねじれてる漫画ですな。
買ってみよう。
by サワダ (2011-07-12 10:25)
楽しめるといいですね~( ´ ▽ ` )ノ
後半の場面転換とか見所ですよ。
by meriesan (2011-07-12 15:28)
読みました。
これ2巻で終わりなんですかね。
読んでてフツーにドキドキするのでこっちが誘爆発作でですわ。
by サワダ (2011-08-03 09:22)
どうなんでしょ。お話としてはあまり長くなりそうにないですよね。楽しめたようでよかったですヽ(‘ ∇‘ )ノ
by meriesan (2011-08-03 23:22)
本日レビューを修正いたしました。ヽ(‘ ∇‘ )ゞ
by meriesan (2011-08-04 14:25)