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べしゃり暮らし [青春/自分探し]


べしゃり暮らし 1 (ヤングジャンプコミックス)

べしゃり暮らし 1 (ヤングジャンプコミックス)

  • 作者: 森田 まさのり
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/05/18
  • メディア: コミック


コンビて 相方て何なんやろなぁ

俺が学園の爆笑王だ―!
吉竹高校3年の上妻圭右(あがつまけいすけ)は、ウケるためなら命懸け!
教室内でのやり取りは勿論のこと、お昼の校内放送では常に
全校生徒を笑わせずにはいられない。
そんなある日、大阪から転向してきた元芸人の辻本潤が現れ、
圭右の立場はたちまちピンチに…!
“俺が一番おもしれーんだ!”
なりふりかまわず笑いを獲りにくる圭右のその姿勢に、
辻本は新たな自分の相方としての可能性を見出した。
お笑いの世界を舞台に、ここから圭右と辻本、二人の挑戦が幕を上げる―!

週刊少年ジャンプを経て現在はヤングジャンプにて隔週連載。
「ろくでなしブルース」や、映画化もされた「ルーキーズ」などの作者でもある、
森田まさのりさんの作品です。
私は森田さんのマンガをまともに読むのは初めて。
初めて出会ったのは小学生の頃あたりの「ろくでなしブルース」だったのですが、
「惚れた女の取り合いとケンカ」いうイメージのあるヤンキーマンガに興味がもてず見送っていました。
例によってTwitterで面白いと仰る方がいらしたのに興味を持って読んでみました。

少年ジャンプでの連載が始まったのは2005年。
当時はお笑いブームの真っ盛りで、「レイザーラモンHG」「オリエンタルラジオ」「アンガールズ」
「ヒロシ」「次長課長」「南海キャンディーズ」など、今でも印象に残っている、
実に多彩な芸人さんたちが次々とテレビを賑わしていた頃でした。
そんな中、森田さんは吉本興業の養成所などに実際に入学したりして、
綿密な取材を行い、いくつかの習作を経てこの作品の執筆に至ったのだそうです。

学園の爆笑王―
高校では常にウケることばかりを考え、破天荒な行動をとっては
堅物の校長などから大いに煙たがられる存在の上妻圭右。
そんな彼のクラスに、大阪からやってきた元芸人の辻本が転校したことで
圭右は、始めは強力なライバル出現とばかりにお笑い勝負をふっかけます。
それに面食らっていた辻本は、次第に圭右の天性のお笑いへの才能を感じ取り、
先輩芸人で人気絶頂の「デジタルきんぎょ」の金本と藤川に引き合わせたりして
自分の新たな相方として圭右を本格的なお笑い芸人の道に誘います。
圭右はトップクラスの芸人である「デジタルきんぎょ」や、
家族に重大な遺恨を残した「ねずみ花火」の二人とのやりとり、
そして学校以外の場所で自分達のネタを披露しながら
井の中の蛙だった「学校一の爆笑王」から、プロの芸人を目指して行くことになります。

凄いなあと思ったのは、話中に出てくるお笑いネタの数々が、
どれもこれも普通に面白いということです。
話の核は違うところにあるのですが、きちんとネタを披露しているシーンが描写され、
安易に「なんでやねん!」+「観客の爆笑」のセットで「それっぽい感じ」にするわけでは無い所が凄い。
これって森田さんがご自身で考えているのかなあ。
コント協力って特にクレジットされてないようなんですけど…(;´▽`A``
そのうえでこのマンガは、「相方」というお笑いの世界特有の不思議な人間関係にクローズアップし、
様々な「相方」との関係を描いた青春物語となっています。

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中でも「デジタルきんぎょ」の二人の話がなんともいい話で、
ブレイクを経て天性の才能を持って仕事がどんどん舞い込むようになる金本と、
金本に比べて地味で、ピンでの仕事が少なく若くして所帯持ちの藤川の
二人の関係がどんどん悪化していくという、現実にも聞いたことがある出来事が
描かれています。
今まで対等だったハズの二人の関係―
それが人気の差でハッキリ「売れる方」と「売れない方」に分けられてしまう。
お互いにお笑いに関して自信とプライドを持っているからこそ、
この目に見える周囲の対応の変化は、二人に決定的な打撃を与えてしまうのです。

「相方て何なんやろなあ」
二組の先輩芸人達のエピソードに関わりながら、
圭右と辻本はしみじみとそんなことを考えるようになります。
どんな時でも一蓮托生のお友達とも言い切れず、ビジネスパートナーと割り切れる関係でもなく、
ライバルとも言えるし、異性であれば恋人同士になる場合もある…
恋人よりも長い時間一緒にいて、誰よりも相手のことを理解しあえる仲でもあれば、
使えないと割り切るとあっさり解消されてしまうものでもある。
この独特の人間関係で結ばれた二人が、本当にイイんですよ!

img807.jpg

巻数が多めで、劇中のコントがきちんと描かれているので
読み進む時間は若干遅くなるとは思いますが、コントのシーンのコマ割は
疾走感があってポンポンポーンと繰り出される二人のやり取りが飽きさせません。
そしてそのやり取りは、それまでに積み重ねてきた「相方」とのドラマと重なって
笑えるネタをやってるのに切ない気持ちにさせられる創りは素晴らしいと思いますよ~



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