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木曜日のフルット [ギャグ]


木曜日のフルット 1 (少年チャンピオン・コミックス)

木曜日のフルット 1 (少年チャンピオン・コミックス)

  • 作者: 石黒 正数
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 2010/10/08
  • メディア: コミック


「人間は勝手だ」
「まんざらでもないくせに」


「それでも町は廻っている」「ネムルバカ」など
日常系の中に少しフシギな非日常を混ぜ込む面白さが魅力の石黒正数さん。
その著者が、週刊少年チャンピオン誌上の一番最後を飾る毎回2ページもののコメディ。
それが今回ご紹介する「木曜日のフルット」です。

週刊少年チャンピオンで連載。
著者の石黒正数さんのマンガは、私は今期アニメ化もされた
いたずら好きな女の子がそのまま成長してメイド服を着たような人気漫画
「それでも町は廻っている」を以前から拝見していました。
氏のマンガの魅力を表現するのは私にはなかなか難しいかもしれませんが
これを期に書いてみようと思います。(;´▽`A``

主人公のフルットは、ちょっとどん臭くて常にへの字口のオスの灰色ネコ。
本人は野良猫のつもりだけど、時折決まった人間から餌を貰っているので
仲間からは「半ノラ」といわれています。
もう一方の主人公は、フルットを餌付けしている人間の女性の鯨井先輩。
共同玄関の安アパートに住み、定職に就かず、ギャンブルに興じては
欲を出しすぎて結局損することが多いダメ人間。
だけどなぜか生活能力だけは高い、なんとも楽しい女の子。
この1人と1匹を中心に、それぞれのちょっとおかしな日常を描いています。

絵柄は3頭身。
毎回メインとなるキャラの名前+回数というシンプルな副題。(フルットの巻②とか)
微妙に気の抜けた感じだけど、絵は3頭身キャラの世界でもしっかり上手い。
ネコと人間のやり取りを描いたネコマンガという体裁ではなく、
フルットとノラ猫仲間達の日常。
そして鯨井先輩と後輩の女の子や同じアパートに住む住人達とのやり取り
のように全く別々に描かれているのがなんだかすごく思い切ったなあ、と思います。

「ドラえもん」の作者の藤子F氏に強い影響を受けた、とご本人が仰るように
笑いの質やツッコミ方は、集中線とトゲトゲ吹き出しで描かれる派手なものはあまり無く、
藤子F氏のマンガのように一言でバッサリ斬って落とす静的なツッコミ。
爆笑ではないけれど、クスリとさせる笑いを誘うんですよね。

人間関係とかがサッパリしているのも魅力です。
鯨井先輩はたまにフルットを見つけると、変にご機嫌伺いするでもなく、
いきなり風呂で洗ってご飯を食べさせたあと、カイロ代わりに布団に入れて一緒に寝て、
翌朝にはあっさり解放するこのあとくされの無さ。
そしてその後、ノラ猫仲間のところに戻ってきたフラットは「人間は勝手だよ」と呟き、
他のネコに「まんざらでもないくせに」とツッこまれたりします。
無闇にベタベタと可愛がったり、意思疎通を試みたりすることが無く、
それでも鯨井先輩にされたことがキライじゃない、という程度の印象をもつという
このサッパリ感も石黒氏の作品のいいところ。
フルットが他の仲間に本心を言い当てられるコマで笑えちゃうんですよ。

img535.jpg
毎回2ページというショートショートで、タイトル文字は毎回デザインが変わり、
ページ下に必ず~ションと付く単語を絡めて「この作品はフィクションです」と断りを入れる
文言は担当編集さんが毎回考えてつけているそうです。
そんな妙なところにもさりげなく遊びを入れてくるあたり、
いかにもマンガ雑誌の最後を飾るにふさわしいフリーダムさ加減は、
それ町では見られない演出ですが「悪くない」んですよねw
この爆笑じゃないんだけど、決して面白くなくは無い、という距離感。
間違いなく「それ町」の方が私は面白いと思いますが、これも悪くない、という感じ。
目立たないけどこの作風は一周巡って石黒氏ならではのものです。
この空気、気が向いたら読んでみて欲しいです。


石黒正数さんのHP → おかんの家4
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