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伊藤潤二傑作集 双一の勝手な呪い [コメディ]


伊藤潤二傑作集 双一の勝手な呪い (コミック)

伊藤潤二傑作集 双一の勝手な呪い (コミック)

  • 作者: 伊藤潤二
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2011/02/18
  • メディア: 単行本


ホラーな目にあわせてやる…!

とある田舎町にある辻井家の次男・双一は不気味な少年だった。
いつも口にガチュガチュ釘をくわえ、独り言を言ってはにたり…と笑っている。
「呪ってやる 陥れてやる …!」
話しかければ突っぱねる、そのくせ無視すれば逆恨み。
今日も呪いの力で関わる者を片っ端から恐怖のどん底に叩き落す、
双一の身勝手な復讐劇が始まる…

本日はホラー漫画家伊藤潤二さんの作品をご紹介します。
今年の5月に代表作である「富江」が映画化され、それを受けて傑作集として
氏の過去の作品集が続々刊行されています。
私はそれほどホラーマンガに興味がある方ではないのですが、
以前ご紹介した「よん&むー」のホラー仕立ての絵柄でコメディをする作品が
とても面白かったので、今回もコメディぽいのを選んで読んでみました。

根暗、高慢、身勝手で、家族はもとより常に周囲の人々を見下して
自分の殻に閉じこもる少年・双一。
それだけなら彼は単純な困ったちゃんなのですが、
タチが悪いことに彼には呪術の能力があり、
彼のプライドを傷つけたりして目をつけられたりすると、
軽いものでは謎の腹痛に見舞われたり、酷いものだと
遠く離れた東京にいる相手に看板をぶつけて
死亡させようとすることまでできてしまいます。
精神的にはごく普通の身勝手な少年なのですが、
彼に逆恨みをされた日にはとんでもないホラーな復讐が待っているという…

img836.jpg

呪いはいかにも子供が考えそうなホラーで、怖いんだけどどことなく笑っちゃうものばかり。
クラスで危険人物扱いされた双一を更正させようと担任の熱血先生が
夏休みの間双一の家に通いつめた時などは、先生そっくりの布人形を屋根裏に隠しもち、
先生の生命エネルギーを吸い取ってやつれさせた挙句、休み明けには先生に成り代わって
その先生そっくりの布人形が学校中で大騒ぎを巻き起こす
「双一の家庭訪問」「布製教師」などは、恐ろしい相手なのにどこか憎めない
この小物っぷりと幼稚性が現れるエピソードだと思います。

一方で双一によって様々な被害を受けることになる側の女の子達が
やたらカワイイのも特筆すべき点です。
特に東京から泊まりに来た親戚の女の子・路菜ちゃんなどは、芯が強く、
身勝手な双一のいたずらと徹底的にやりあうため、殊のほか双一の呪いの
被害を受けることにもなるのですが、仲良くなった双一の兄や姉に会うために
それでもめげずにまた泊まりに来たり、時には双一にさりげない気遣いを見せたりして
屈折した双一が一時怨みを忘れるシーンなども出てきます。
いやーいい子なんですよ!

img837.jpg

お話は全10話で構成され、最後のエピソードでは双一は悪戯が過ぎて
どうやら伊藤潤二さんの別作品に出てくるらしい怪物(?)に襲われてしまいます。
その後の彼の生死は不明という、ヘタに心を入れ替えてしまうことなく
悪童は悪童のままでエンドを迎えるこのサバサバしたところは、
ホラーマンガ家らしい終わり方で面白いなあと思えました。

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コメント 2

オワリ

はじめまして

>その後の彼の生死は不明という
あの後、二人は結婚して子供が生まれますよ。
双一は化物(嫁)から逃げながらお化け屋敷を営みつつ全国行脚するっていうエピソードに繋がります。
そのエピソードにもオチがあるのですが、まぁ双一は双一のままなんでしょうね~
よかったら文庫版も読んでみたください^^
by オワリ (2011-03-07 05:02) 

meriesan

初めまして~
おお、続編があるんですね。
しかもそんなことに…w
ありがとうございます。探してみます~ヽ(‘ ∇‘ )ノ
by meriesan (2011-03-07 12:43) 

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