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くくりゃんせ [ハートフル]


くくりゃんせ (ゼロコミックス)

くくりゃんせ (ゼロコミックス)

  • 作者: みもり
  • 出版社/メーカー: リブレ出版
  • 発売日: 2010/10/09
  • メディア: コミック


支えてくれる人が近くに居るのに 僕は温もりよりも寒さの方に捕らわれて

さあさあ 寄ってらっしゃい見てらっしゃい
世にも華麗な“いちまさん”菊華様のお目見えだよ―

笑わない 少年
「あの日」から少年は泣いたり笑ったりすることがなくなった…
そんな少年・シンを元気づけようと、恋人同士になったばかりの喜一とアイは、
シンを話題のショーに誘った。
紅絲(べにいと)座・人形楽団
それは、まるで生きてるかのように舞い、踊る人形達の宴。
あまりに華麗な見世物に、観衆は惜しみない歓声を送った。
「長らくお楽しみ頂いてきた見世物も次で最後となります―」
そしてその宴の最後に現れたのは、目にも鮮やかな和服に身を包んだ美しい1人の少女…
市松人形の菊華様だった。
その美しさに、明らかに場の男達の空気は一変した。喜一でさえも息を呑んだ。
会場を一瞬にして虜にする麗しき人形。
しかしシンの目には、その口元に冷たい微笑が浮かんだように見えた…

クロフネZEROで連載。全1巻。
著者は「ひぐらしのなく頃に 宵越し編」や「地獄堂霊界通信」の
コミカライズもされている方のようです。

過去のトラウマから心を喪った空っぽの少年・シンと、
男性を魅了する魔性の人形の菊華の
「和風ゴシックホラー」…後ろの表紙に書いてありますが、
どちらかといえばハートフル的な色合いになっている作品です。

人形と人との物語といえば、
当時の首相も巻き込んで、アキバ方面でブームとなったPEACH-PITの「ローゼンメイデン」や
日に与えるミルクと砂糖菓子と愛情で育つ川原由美子さんの傑作「観用少女(プランツ・ドール)」
そして最近読んで好きになった須藤真澄さんのおてんば市松人形と女の子の物語「振袖いちま」など
ぱっと挙げるだけでもキリが無いのですが、それらの人形ものとでも言うべきお話の中で、
今回の作品は定番ドストライクな内容だったりするのですが、主に演出の面でなかなかに読ませます。

男を惹きつける生ける人形・菊華。
彼女は座長の青年を含め、観覧した男性達を首ったけにさせてしまう魔性の持ち主。
彼女に魅了された男達は、皆一様にそれまで自分が愛していた家族・恋人など
まるで忘れてしまったかのように顧みることなく菊華の虜になってしまいます。
どんなに苦しくても次回の公演チケットを争って買い求め、シンの友人の喜一もまた、
同じくシンの友人であり、最近2年越しの喜一のアタックが実って付き合い始めたアイを放ってまで
菊華の元に行ってしまうのです。
なぜ菊華は男だけを魅了し、女を毛嫌いするのか…?
そしてもう一つ、この能力にある傾向が、彼女の過去に強く結びついています。
そしてこの要素が大筋的には王道といえる人形物語をぐっと良くしてるんですよ。

img538.jpg
お話の長さ的に言ってラストにもう一波乱欲しいというのは無理な注文なのでしょうが、
それまでの物語の演出は、菊華の和服の柄を全て手書きしたとまでこだわった絵の綺麗さもあって
実にいい感じです。難を言えば、綺麗にまとまっているがゆえに
欲張りたくなってくる定番過ぎるラスト…かなあ(;´▽`A``
しかしそこまでの活劇的なノリをあちこちに配しつつ
巧みに引き込む物語作りは、悪くない印象でした。
喜一とアイのラブコメや、一人称が「わらわ」の高飛車菊華様とか
ローゼン好きな方なら特に楽しめると思いますよ。

みもりさんのblog → 百±一
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