素足のメテオライト [コメディ]
あなたは『神』を信じますか?
あなたは神に何かを願ったことはあるだろうか?
無宗教? では例えば…
流れ星に願ったことは?
初詣に行ったことは?
受験の時にお守りを身につけたことは?
所詮は自分の力が及ぶかどうかの問題ではあるとは知りつつも、
人は自分の力だけで手に入れられる可能性が低いものに視えざる力を期待する。
そうして有史以来数千年の神の伝説は語り継がれ、人々の想いは積み重なり…
遂に神は現代に顕現した。
それが例え「普通」をこよなく愛するごく平凡な高校生・有介(ありゆき)が流星群の物珍しさに感動し、
浮かれて願った他愛も無い一人遊びであったとしても…
並々と注がれたグラスを遂に溢れさせた最後のコインのように、それを喚び寄せたのは彼だったのだ。
「顕現ごくろう 我が器 有介。願い如何に?」
翌日下校すると、彼の帰るべき家が隕石の落下によってその殆どを消失していた。
そして落下地点の中心で、少女の姿をした神はにっこり大儀そうに有介にそうのたまうのだった。
月刊コミックブレイドにて連載。
普通を愛する極平凡な高校生男子が、突然神を名乗る幼女に押しかけられてあら大変!
というシチュエーションのスラップスティックなお話ですね。
作者さんは新人作家さんということですがぐぐってみると…
ちばてつや氏も講師をされている文星芸術大学に通っていた方で
在学中に昨年同誌で「宿星の重力」で準大賞を獲得された方のようですね。
うわ、スピード早…(;´▽`A``
お話は先ほどのとおり、そして小西さんの表紙折り返しのコメントでも触れられているのですが、
やはり「またか…」と感じずにはいられないシチュエーション。
何でも願いを叶えてくれる神・ダルミルちゃんにいざ何かを願うと、
その願いの多寡に応じて「器」たる有介に反動…具体的には「腹痛」となって現れるという、
これまたコメディとしてはオヤクソクなしっぺ返しシステム。
でもこのお話、それ以外に(今のところ気づけるところで)二つの要素がちょっと面白い。
一つは「神」の出現と同時期に現われた「神を弑す謎の存在」。要は正体不明の「敵」ですね。
気づくと空間にわっかが浮かんでて、のっぺりとした木偶のような人型の敵…
有介たちは喰星(くいぼし)と呼んでいるそれが現われてダルミルちゃんに襲い掛かります。
出現する際、近くにいる有介たち誰かの心の何かに干渉して、それを依り代にしてでてくるみたいです。
人の心の中の何が彼らの原動力なのか?
ダルミルちゃんは何も語りませんが
「この物語が貴方にとって『神と人』についての新しい切り口になれば」
と述べている小西さんのコメントから、畏れとか信仰とか
かみちゅ!とかでも語られたような「信仰する人がいなくなればその神は力を失う」みたいな
話しも掘り下げて提示していってくれるのかなあと期待できそうな感じです。
もう一つはダルミルちゃんに終始引っ付かれてリア充真っ盛りの主人公有介に対して
二人の脇役も動いていきそうで面白い。
一人はデブでロリコンな有介の親友・カメ次君。
でも侮るなかれ、学年総代とかいうとにかく頭のキレるやつで、
ずっと腹を下したり敵を倒したりドタバタしている主人公に対して、ダルミルの断片的な情報から
彼女の出現した意味と影響について真剣に考え、分かりやすく解説し、
時には底知れぬ今の状況に危機感を感じている唯一の狂言回しとして、
そしてモテモテの有介に対して損な役回りを引き受ける
報われないギャグキャラとしても機能する至れり尽くせりな名参謀。
彼のキャラクターに好感が持てたからこそ、私はこのマンガが好きになったと言っても
過言じゃありませんw
もう一人は有介の後輩の女の子で、突然現われて有介の側に居ついてしまった
ダルミルちゃんに対抗する後輩K(恵)ちゃん。
今のところいつもの胸比べとかお約束な活躍にとどまっていますが
このお話の流れからなんかこう…くらぁいなにかを秘めていそうなヤンデレオーラの片鱗も…
とはいえ日常のギャグパートは特に有介とカメ次の漫才が面白く、
それ以外にも1話の敵を倒すシーンとか緊張感とぐだぐだっぷりの
ない交ぜになったシーンとか結構好きです。
次の巻も買おうと思える作品でした。
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