玲瓏館健在なりや

玲瓏館健在なりや 1巻 (ビームコミックス)

• 作者: 冨明仁
• 出版社/メーカー: エンターブレイン
• 発売日: 2010/07/15
• メディア: コミック

ようこそ玲瓏館へ

吹き抜けのロビーに、まるで舞台装置のようなゆったりとした階段。
瀟洒なシャンデリア、暖炉付きの食堂―
玲瓏館（れいろうかん）はかつて名門・杜若（かきつばた）家が建てた“宮殿”だった。
やがてその洋館は、下宿先として開放され、様々な学生達が住むことになった…

新しい春が始まる―
大学3年の白居玄太は、父の仕事の都合で下宿先を探してこの玲瓏館にやってきた。
レトロでモダンな雰囲気、いかにもご令嬢といった物腰の寮監・杜若容子さん、
そして玲瓏館に住む個性豊かな学生たち…
1年後に取り壊される玲瓏館を舞台にした、学生達の物語も今、幕を開ける―。

Fellows!　で連載。
以前からちらほらと好評は聞いていて、Twitterでフォロワーの方から
お薦めされましたので読んでみました。
玲瓏館と呼ばれる洋館を舞台にした、そこに住まう人々の群像劇です。
私がすぐに思い浮かべるのは高橋留美子さんの名作「めぞん一刻」ですが、
こちらは森薫さんや笠井スイさんなどすさまじいばかりの画を描かれる
Fellows!作家陣に名を連ねる方として全くひけをとらない、
硬質で緻密な画を描かれる方だなあという印象を受けました。

玲瓏館に住むのは、寮監にして館の主である杜若容子さんをはじめ、
ずぼらだが意識がトぶほど美味い手料理が作れる紅野美琴
美琴の親友で、すらっとした美脚を誇る夏川翠
寮監さんに想いを寄せる、優男だがいつも空回りしてしまう橙山葉介
館の書庫に入り浸る本の虫の時丸君など12人の男女。
さすがに　めぞん一刻のようなどんちゃん騒ぎはありませんが、
館の風呂が壊れて銭湯で裸の付き合いをしたりとか
停電になって古いろうそくのシャンデリアのある部屋に全員が集まって語り合ったりとか
ごはん当番の飯のウマイマズいを批評しあったりとか、いかにも若人達の夢の下宿！
みたいなお話が描かれます。


中でも特筆すべきはやはり画。特に女性のボディラインの美しさは目を惹きます。
銭湯のお話では、下宿人の一人であるお嬢様が脱衣場で服を脱ぎ、
徐々に均整の取れた肢体をあらわにしていくシーンは、
たっぷり4ページも割いて描かれています。
4ページもの間、一人の女性が服を脱ぐだけのシーンで魅せることができるのは、
驚異的なことじゃないかと。思わずため息が出てしまいます(;´▽｀A``
それ以外のシーンでも、冨明さんの女性のお尻や脚にかけるラインへのこだわりを
ひしひしと感じずにはいられません。…いや、エロいとかそういうんじゃなくて美しいんです。
裸婦画をみているような女性らしい肉付きが表現されているんです。
普段は令嬢といった風情の容子さんが、男装して宝塚よろしく見得をきるシーンなど
それだけでカッコいい！と満足できちゃうから自分でもびっくりです。


しかしこのスゴい画に対して、お話はもう一歩の感が否めませんでした。
絵が凄すぎて物語としての印象が薄い、というか…
これはキャラのアイコン化ができてないからなのかなと思います。
一人の人間が多面性を持ちすぎてかえってその人の印象がぼやけるというか。
多人数が一度に出ているから一人ひとりの印象が薄いだけなのかもしれませんが、
この人はこういう人！という把握ができないので、住人達のドタバタで成り立っている
話の筋に、自分がうまくついていけない印象を持ちます。
これは巻を重ねれば解消されるかもしれません。
次巻を楽しみに待とうと思います。

コメント 2

こんばんわー
玲瓏館待ってました…ってあんまり好評いただけなかったみたいで＾＾；
薦めた人間としてはなんというか申し訳ないorz

自分は一読で「絵うまい　キャラ豊か　話笑える」って概ね受け入れられちゃいましたので…

キャラの掘り下げは巻数増えれば自然と出来ていくと思いますので…自分も続きが楽しみです～ﾉｼ
by kunpoke (2010-09-29 23:40) 

どもです！
いえいえ、こう見えても楽しんで拝見しましたよ。
物語に苦言を呈したのは、ある意味期待の裏返しだと思っていただければ(;´▽｀A``
kunpokeさんも仰るようにこの物語は群像劇なので先を読めば読むほど面白くなっていく作品だと思いますので、完結までお付き合いしようと思ってます！
お薦めどうもでした。ヽ(‘ ∇‘ )ヾ
by meriesan (2010-09-30 01:29)