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この新人がスゴイ!! 2011 ~第35回白泉社アテナ新人大賞受賞作品集~ [ハートフル]


この新人がスゴイ!! 2011  〜第35回白泉社アテナ新人大賞受賞作品集〜 (花とゆめCOMICS)

この新人がスゴイ!! 2011 〜第35回白泉社アテナ新人大賞受賞作品集〜 (花とゆめCOMICS)

  • 作者: 花とゆめ・別冊花とゆめ・LaLa・メロディ共同編集
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2011/07/20
  • メディア: コミック


オレが初めて見た妖怪の涙は… 何よりも美しくせつなく
総一郎さんと一緒に夕日の中に消えていった…


白泉社が発行する「花とゆめ」「別冊花とゆめ」「LaLa」「メロディ」の4誌が
合同で毎年行うマンガ新人賞。それが「アテナ新人大賞」です。
受賞作品は1冊の単行本としてまとまり、読むことができるのですね。
どんなもんじゃいなと拝見したところ、総じて皆さん絵が巧い(;´▽`A``
そのまま本誌に紛れていてもわからないくらいに。
先日ご紹介した「不老姉弟」と併せて発売されているので初めてこの作品集を知り、
当初はイケメンとの恋愛物語ばっかりだったらどうしようと思わなくはなかったのですが、
収録された6編のバリエーション豊かな受賞作の中ではむしろ少数派。
満足度が高い作品集でありました。
簡単にですがご紹介していきますね。


優秀新人賞 「ぎしんあんきしらゆき!」 雪田 玉
国一番の美貌を妬まれ、この国の女王でもある母親から逃げて小人の家にころがりこんだ白雪姫。
いつか素敵な王子様が迎えに来てくれるのを信じて待って待って待ち続けて…
遂には人間不信でヒキコモリになってしまいました。
おとぎ話のヒロイン、白雪姫を独自の解釈でひねった作品です。
玄関の扉を開けるのは日用品の宅配を受け取る時のみ。
城からたまに宅配便が届くことがあっても、それは毒蛇の佃煮だったり
爆弾だったりと今だに自分を殺そうと狙ってくる。
お話は白雪姫を刺し殺そうとした前任に代わって、宅配をすることになったロミオ少年と
彼の好意を疑ってかかり、拒絶する白雪姫との交流を描いていきます。
自分の殻に閉じこもって他人を拒絶するようになってしまった彼女が、
純粋で正直なロミオ少年とのやりとりと、とある事件をきっかけにして
人を信じ、時に頼るようになっていく…
「ありがとう」と言ったり言われたりしたときの白雪姫の戸惑うような
くすぐったいような表情がいいですね。ストレートで気持ちの良いラストです。
どうも風の噂では作者は16歳の方だそうですよ。末恐ろしいですね(;´▽`A``

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新人賞 「ロストマウスガール」 緑茶まゆか
「9月13日 家族の命日
私にとってこの日はとてもつらい日だ―」
とあることがきっかけで、子供の頃両親を亡くしてしまった ゆめこ。
そのきっかけを作り出してしまったことを後悔するゆめこは、
毎年この日が来ると憂鬱な気分になる。
しかしそんな彼女が横断歩道に立ち尽くす犬を見かけた瞬間、
突然世界が変わり、ゆめこは陽気な不思議の国に迷い込んでいた!
猫の面をかぶった男性や、犬耳が生えているけど何故かふんどし一丁の男、
自分の耳にもいつの間にかネズミのような耳が生え、ワケが分からないうちに
不思議の国の住人達に歓待を受けるゆめこ。
突然始まる運動会、なぜか自分の好みのものばかり出てくる料理に
言い知れぬ懐かしさを感じていると、不思議の国の住人達は ゆめこにとある提案をしてきて…

もうとにかく終始ハイテンションでがちゃがちゃっとしているシーンが最高。
非常に陽気な物語の中にひやっとシリアスな部分を差し込んでくる
緩急のつけ方がお見事だと思います。
オチは個人的にはそれほど意外なものではありませんでしたが、
そこまでの面白おかしい小ネタがちりばめられて楽しい。
そして単純に耳が生えてる女の子が可愛y(ry

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新人賞 「百万屋奇談」 堀古みやこ
個人的には今回の中でイチオシ。
お江戸の頃の時代を舞台に、妖怪の悩みを解決する百万屋を営む兄弟
「幸太郎」と「啓」が、悩みを抱えて依頼にやってきた座敷童のすずの依頼を解決する物語。
すずが住み着いている管崎家の総一郎という男性を家から出して欲しいという奇妙な依頼を受け、
二人は管崎家の屋敷に忍び込むことになるのだが、総一郎はとある事情で蔵に幽閉されていて…
もうとにかく線が美しい!独特の硬質な描線と薄暗い家屋の影を表現するカケアミが
どことなく陰うつな管崎家の人々や、沈んだ表情を見せるすずの謎めいた雰囲気を
よく出しているなあという印象。こういう物の怪系も決して珍しい題材ではありませんけど、
それを描くのに十分な画力をもっています。
お話も物語の語り手であり主人公である幸太郎のモノローグが詩的で言葉選びも巧い。
唯一気になっていた硬質であるがゆえの表情の乏しさは、
総一郎のクライマックスでの表情を逆に引き立たせる効果があって
終始この物語の雰囲気に浸れる自分好みの作品でした。
早くデビューして出てきて欲しいなあ。

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佳作 「とっくに落ちていたくせに」 片桐シロ
これぞ少女漫画!という感じの正統派恋愛モノ。
学校の裏庭で友人の思い人である藤崎君の寝顔をシャメろうとした奈子は、
その姿をオレ様キャラの椎原君に撮られてしまう。
それをネタに椎原君は奈子に“仲良く”して、と要求し、奈子は嫌々ながら
付き合うことになるのだが… というお話。
何かと命令口調なんだけど、時折ふっと見せる無邪気な笑みに惹かれ、
最初の苦手な印象から段々と変わっていく様子が あーもう!定番なんだけど…
特に髪に触れられた時の奈子の表情が可愛いんですよね。

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佳作 「天海羊子の解体新書」 南十字明日菜
いつも無表情でクールなキャラを保っている羊子が、
失恋をきっかけに自分の感情が全て顔に出てしまう病気にかかってしまう
ココロアラワウィルスなるものに侵されてしまい、そこへウィルスの研究をするために
保健医として研究オタク織原が現われるというシチュエーション。
ウィルスの研究にしか興味がないと断言する織原は、失恋を経験したばかりの
多感な女子である羊子に、まるで実験動物に対するかのように遠慮なくズケズケと
羊子の感情の変化について根掘り葉掘り聞いてきて、それはやがて相手に感情を見せないことが
人付き合いで大切なことと考える羊子の考えに変化を及ぼす…。
まずガマンしようとするんだけど、涙がこぼれてしまう羊子が超可愛いヽ(‘ ∇‘ )ノ
メチャメチャ可愛い(大事なことなので二度言います)
それまでクールさを装っていた彼女が、ウィルスに侵されたことで
自分の表情をコントロールできない状況に追いやられ、
自分の気持ちに戸惑いを隠せないという物語。
半チラする羊子のおへそとか、なんか男性向けのラブコメであっても違和感無いような、
妙に男心をくすぐるポイントがあちこちにある個人的に入りやすい作品でした。
最後のオチとかニヤニヤしちゃいますね。

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佳作 「奉仕部!」 果白直己
規律を乱した生徒には奉仕部への入部という形で一週間の奉仕活動をさせる潮見高校。
高価な壷を割ってしまい、入学早々奉仕部へ通うことになった花宮サキを部室で待っていたのは、
奉仕部唯一の常駐部員・須賀ケンジだった。
そして初日からサキはケンジと共に次から次へと重労働な奉仕活動で飛び回る。
たちまちげっそりした様子のサキに、ケンジは先ほど行った校内清掃が
本来請け負っていたご夫婦が腰を悪くした代わりに行ったものであることと、
手伝ってくれたことへの感謝を述べる。
それはそれまで悪いことをした自分への「罰」という認識だった奉仕部での活動に対して、
サキの中で大きく意識が変わるきっかけとなった…。

ラストにご紹介するのはこれまた変化球で面白い、校内の奉仕活動をすることになったサキが、
誰かのために働くことで他人に認められる歓びを知っていく物語。
…とはいえ説教くさいものではなく、純粋に奉仕して感謝されることで
親友と呼べる相手もなく、表面上仲良くしている人たちとの間に
自分の居場所が無いことを感じていたサキが、そこに快感を見出していく流れは
とても自然で温かい気持ちになれます。
著者さんは奉仕活動とか普段やられている方なのかなあ?
奉仕活動をする物語なんて、目の付け所が面白いですよね。

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ぎしんあんきしらゆき!全編公開 → アテナ新人大賞のサイト

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