ブレット・ザ・ウィザード [アクション]
1960年代、アメリカ―
JFKにモンロー、エルビス、ベトナム戦争…
世界史上最強にして最大の国家が、最もデンジャラスで華やかなりし時代―
ギャングの経営するカジノで荒稼ぎする一人の男があった。
その名は ブレット・ザ・ウィザード!
かつてマジシャンと呼ばれ、とあることがきっかけで今は本物の魔法を撃ち出す
魔法銃の使い手(ウィザード)となった男だ。
不思議な少女・ティティアリスと共にマフィアの巣窟に乗り込んだ彼には、
実は金以外の とある目的があった…!
「GUNSMITH CATS」の園田健一が描くハードボイルド×魔法×銃の物語・華麗に開幕―!
アフタヌーンにて連載。
園田健一さんといえば、銃器に造詣が深く、ガンアクションに定評のある漫画家さんで、
その園田さんが、華々しさの裏でマフィアも闊歩する60年代のアメリカという、
いかにもお似合いな時代を舞台に描く新連載となります。
その特徴的なところは物語に「魔法」の要素を入れ込んで「魔法を撃ち出す銃」がでてくるところ。
それ自体は決して画期的というほどのアイテムではありませんが、
現実にある銃のライフリングに呪文を刻み込む、いかにもリアリティを感じさせる造形。
そしてそこから撃ち出される魔法が、物語の重要なスパイスになっているのが特徴です。
1巻の物語としては、
かつて「ブレット・ザ・ウィザード」と名乗り、それなりに名の知られたマジシャンだったブレットが、
今はそれぞれに効力の異なる魔法の銃を手に、何ものかの手によって魔法の銃を譲られた
マフィアのボス・リーランドから銃を奪うため、丁々発止の駆け引きをしていくというもの。
主人公ブレット側とマフィアのボス・リーランド側とが交互に描かれ、
そのやり取りがとてもスリリングです。
まず何といっても「魔法」
これが物語りに組み込まれたガンアクションはただの撃ちあいではなく、
一発一発撃ち出された後の魔法がどのような効力を発揮するか、
相手に狙いを定めて撃つだけに限らないトリッキーな要素として出てきます。
ブレットとリーランド、互いが互いの銃の特徴をさぐりあい、ハッタリを利かせて相手より
有利な立場に立とうとする駆け引きもいい感じです。
銃の特徴やその場の状況、リーランドの部下や、ブレットの相棒の少女・ティティアリスの支援、
人質の有無、そしてリボルバーではオヤクソクの「相手の銃の残弾数」など…
互いのカードを1枚1枚場に出して、その度ごとに互いの力関係が
二転三転していくような演出はさすが。(;´▽`A``
そしてガンアクションといえば殺伐としたやりとりの中でのコメディ要素も欠かせません。
元々マジシャンとして観衆の前でマジックを披露していたブレットの
ここ一番の大仰な台詞回しもそうですが、ブレットとは無関係に
偶然リーランド一味を隠れ取材していたジャーナリストの女性・ポーラが、
ブレットとリーランドの戦いの現場に偶然居合わせてしまうシーンは
オヤクソクだけど笑ってしまいます。
はじめ買うときは「ご都合主義の魔法が次々と出てきてグダグダになりそう…」と
一抹の不安があったのですが…結局多少ご都合主義はあったものの
きちんとその魔法の法則を踏まえてとっさの機転で無効化させたり、
そういった公平性みたいなものはあるので、引っかかっている方は
一読されてみるのをお薦めしますよ~
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