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失恋ショコラティエ [恋愛]


失恋ショコラティエ 1 (フラワーコミックスアルファ)

失恋ショコラティエ 1 (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 水城 せとな
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/01/09
  • メディア: コミック


それで俺のショコラをこっそり食べたあなたが「セ・ボン!」って声をあげる
それが俺の夢だよ


好きで 好きで どうしようもなくて
けれど あなたはあっさり俺の両腕をすり抜けた…
あなたは高嶺の花
俺のものにはならないと分かってはいても
それでも精一杯の背伸びをせずにはいられない
サエコさん―
俺は必ずショコラティエになる
何年かかってもいい 誰もが認めてくれるショコラティエになって
あなたの目にも否応なく入るくらい有名になって
「あの時捨てるんじゃなかった」ってあなたに後悔させるんだ

flowersにて連載。
このマンガのタイトルを知ったのは、私が好きな漫画家さんの一人、
森薫さんのインタビュー記事ででした。
その後縁あって拝見してみたのですがこれが実にいいんですよ~

「彼女にフられたものの諦めきれない男が、有名人になって彼女を自分に惚れさせよう!」
というものなのですが、彼女を追いかけるだけではダメだと悟った主人公が、
超人的な自制心とショコラを武器にかつて自分をあっさりフった彼女相手に恋の駆け引きをする物語。
相手の女性―サエコさんは学生の頃からモテてモテてモテまくった百戦錬磨の小悪魔女性。
そこへ内心は昔と変わらず、サエコさんが好きで好きで身も心も今すぐ投げ出し、
彼女に百万回の告白を敢行したくなる爽太君が、その衝動をぐっとこらえて
顔色一つ変えずにわざと気の無いフリして、かといえば思わせぶりなセリフを言って
サエコさんを惹き付けようとするのです。
もうその駆け引き上手ときたら…!
そのままホストになれるんじゃないかというくらいの大変身ぷりなわけです。
そしてそれを読んでる私はというと
「男をとっかえひっかえしているような、可愛いけど生理的に好きになれない女性を手玉に取る爽太君」
を見て黒い悦びを禁じえないと言うか…(;´▽`A``
一見爽太君につれなくされても顔色一つ変えずに店を後にするサエコさんが、
ほんのちょっとした部分に心の動揺を見て取れたりするシーンは
やっぱりなんか、気が晴れてしまうような、そんなアレな感情が湧き上がってしまうのです。
そのあとちょっと自己嫌悪をおぼえたりもしますけど(;´▽`A``

そもそもなんでこんな女性を好きになってしまったのか。
周囲の同僚にも言われ、爽太君自身も一人煩悶するシーンは、
気の毒と言えばそうとも言えるような、私自身は経験したことはないのですが、
自分で制御できない想いを抱える苦しみが、ぐっと胸に迫ってきます。

そしてもう一つ面白いのが、
かつてサエコさんが自分に(どこから天然でどこからが意図的なのかはわからないけれど)
していたことを、逆に爽太君がサエコさんに緻密な打算のもとに文字通りショコラを武器にして
甘い罠を仕掛けていくわけですが、恋愛巧者のサエコさんを相手にすっかり疑ってかかるクセが
ついてしまったのか、傍目にはサエコさんがまんまと爽太君を気にしている態度が見えるのに
爽太君が「あんな態度されても勘違いするな」と勝手に警戒して身を引いてしまうところ。
だから何だかこの恋の駆け引きがおかしなことになっていくのです。

img757.jpgimg759.jpgimg760.jpg

そのほかにも勿論、思わず食べに行きたくなるような
美味しそうな創作ショコラが目白押しですし、クールな態度で表には一切出しませんが、
内心サエコさんの甘い言葉に反射的に大喜びしている絵、そしてその爽太とサエコさんの
恋の駆け引きをフクザツかつ生暖かく見守る同僚の薫子さんとオリヴィエなど、
脇を固める人たちもそれぞれにドラマが用意されていてもうみんながみんな
報われない片思い状態。
そこでそれぞれに思い悩んでいく姿も実に良い。
ショコラのように甘くてほろ苦い物語…みたいな。
ぅわ、自分で言って鳥肌が立った(;´▽`A``
いやとにかく お薦めですよ~


水城せとなさんのHP → synapse

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