プロレス甲子園 [コメディ]
貴様にストーリーはあるか?
プロレス甲子園―
それは次代の人材を発掘するため既存のプロレス団体が共同出資して設立した大会…
中学時代、優勝候補とまで目されていた柔道の大会の直前で「タクシーで会場に突っ込む」
という大事件の犯人にされてしまった不幸少年・宝田正平。
それ以来「テロリスト」と呼ばれ、高校に進学した彼はその汚名を知られた部員に柔道部への
入部を断られてしまう。
そんな彼に目を付けたのがプロレス部の部長・嘉門。
彼はプロレス甲子園の優勝者であり、生涯無敗のプロレスバカだった!
「プロレスってのはただ強えだけじゃダメなんだ!」
そう語る嘉門は、宝田の「汚名」こそがプロレスでの強力な武器になるという…
不幸少年・宝田正平。
この時から、不幸を背負って柔道から排斥された少年の、新たな人生が始まった―!!
月刊少年チャンピオンにて連載。
先日ご紹介した週刊少年チャンピオン連載のプロレスマンガ「任侠姫レイラ」
その2巻と同時に発売されたのが今作でした。
秋田書店…プロレス押してくるなあ(;´▽`A``
今回ご紹介するマンガも、任侠姫とアプローチは異なりますが
面白くなりそうな予感がビンビンしてくる作品でしたので、ご紹介しようと思います。
今回の舞台は高校。
なにやらプロレス団体が共同して開催する高校生の将来のレスラー候補を発掘する目的で
「プロレス甲子園」なるものが開催されている、という設定が出てきます。
今回は特にそれ以外の「大会」についてのお話は無く、
柔道に強い執着を見せるが、偶然に次々と「不幸」を呼び寄せてしまい、
しまいには事件を起こしたという濡れ衣を着せられ柔道部から排斥されてしまう少年・宝田が
プロレス甲子園の優勝者にしてプロレスのためなら手段を選ばぬ
「はじめの一歩」で言えば鷹村守のような強烈な力を持ったガキ大将・嘉門に出会ってプロレスを
知っていく過程を描いています。
1巻はもうひたすら
プロレス部への新入生勧誘や、宝田のために柔道部への口利きをしてあげるつもりが
屈強な柔道部員達を二人同時にジャイアントスイングしたり…もうとにかくあらゆることを
自らの鍛え抜かれた肉体(要は力)で解決しようとする人間台風・嘉門。
そして主人公の宝田君は彼の巻き起こすトラブルにことごとく巻き込まれ、
特に彼が返上したがっている「汚名」を様々な不幸が重なって
逆に上塗りしてしまう結果になってしまうというコメディ。
これがお話の主な流れです。
こういう「本当の自分とは全く逆の自分のイメージが勝手に一人歩きしてしまう」系のお話は
デトロイトメタルシティのプロレス版みたいな感じで面白いのですが、
更にもう一ひねりあって、「プロレスではその『汚名』こそが武器になる」と
嘉門も意識してそうさせたわけでは決して無い様子なのですが、
今の汚名にまみれた自分を全肯定してくれる対象として、プロレスを持ってくるという流れは
単純に主人公を酷い目にあわせるコメディに終わらない、というか
元々これを言いたいがために主人公を「不幸」にしたのであろう
よくあるコメディの定番を逆手に取った話運びが見事!
そんなわけでリング上での相手との駆け引きを描いた「レイラ」と比べて
このマンガが試合をどのように描くのかはまだ判りません。
ですがプロレスの魅力のひとつに大きくフォーカスした、この導入には期待が持てます。
部長の嘉門をはじめ、その他の先輩たちもプロのレスラーのように激しく鍛え上げられた身体で
分厚い筋肉の迫力と言うべきものをちゃんと描いているのが
「そうそう、これがプロレスマンガで見たい絵だよ~」
とその太い首に惚れ惚れしてしまいます。
ただ若干首をひねってしまうのが、それまで柔道をしていた主人公が
短期間で表紙のようなレスラータイプの体つきになるものなのか
その辺はファンタジーと言うことで認識OKなのか?
ある程度はコメディとして割り切るべき部分もありそうですが、
プロレス技をロクに知らない主人公が、短期間で試合ができるよう
締め技主体の練習をするなど、柔道経験を活かしたファイトスタイルも面白そうです。
プロレスファンはこのマンガをどのようにご覧になるのか、興味が湧きますね~。
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