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初期のいましろたかし [青春/自分探し]


初期のいましろたかし―ハーツ&マインズ+ザ★ライトスタッフ+その他 (Big comics ikki)

初期のいましろたかし―ハーツ&マインズ+ザ★ライトスタッフ+その他 (Big comics ikki)

  • 作者: いましろ たかし
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 単行本


いましろたかし という漫画家をご存知でしょうか?
今日たまたま別の漫画を探して池袋の目ぼしい本屋を歩き回っていました
結局目的の本は見つからずAmazonで注文してしまったけれど
いつもは行かない本屋の棚の上のほうに
黄色いハードケースに入った辞書くらいはある分厚いこの漫画に目を惹かれました
残念ながら私はこの方を存じ上げなかったのですが
ケースにびっしりと 新井秀樹 糸井重里 浦沢直樹 江口寿史 などといったお歴々が
この作家さんの幻の初期作品集に祝辞を寄せている文字が躍り
1989年から1990年のバブル景気に沸いていたあの頃にあって
世間から孤立し 日々を無為に過ごす人々の物語を描いたという
氏の作品群が収められているそうで 池袋中を5,6件巡って手に入らなかったストレスも手伝って
まったく勢いで購入したものです
カルト的な人気があるという 本日は こちらの漫画をご紹介します

ビジネスジャンプで連載 全1巻
いわゆる初期作品集というやつなのですが
この漫画にはその描かれていた「時代」を強く感じることが出来ます
バブル時代の みんながイケイケだった時代
まばゆいばかりに輝いていたあの時期において
この作品に出てくる主人公たちは その光に対する濃い影となって
世間から取り残され 孤立した生活を送っている様子が描かれています

コンビニ店員などのフリーター生活を送り ぼろぼろのアパートに住みながら
小金が貯まるとパチンコに使ったり あるいは 漫画家になる!と言い出して
夢のような一発逆転を狙ったり
…当然その思惑はうまくいかず 結局再び元のフリーター生活に戻っていくのですが
そんな出口の無い 迷い迷っている若者の姿をコメディのように描きつつも
決してカッコよくない彼らの姿に哀愁を感じるのです

基本読みきり短編集なのですが
よく出てくる主人公は数人いて それが入れ替わり立ち代り
それぞれの日々の生活が描かれる構成に成っています
正直最初は 静かにフェードアウトしていくような 微妙にオチの無い物語に
「え?あれ? これでおしまい?」(;´▽`A``
みたいな感じだったのですが 一気に読んでいくことで その主人公たちの人となりや
日々の生活パターンがわかるようになってきて 最後にオチてなくても
その主人公たちが日々に ちょっと落ち込むことにであったり
先行きの見えない未来にちょっと焦りを感じたり
そういうちょっとした機微を見ることで 共感したり
ちょっと笑えたりするのが味なのだと私には感じられました
なんだろう 面白い!ってほどじゃないんだけど 最後まで読み進めたくなる
多分 この主人公たちと同年代だったであろう方にとっては
もっと思い入れをもって読めるものなのだろうなと
「平成のつげ義春」
という異名をつけられるほどの魅力を感じられるものなのかもしれません
そういう意味で これは時代を感じる漫画なのです

img366.jpg
六畳一間のぼろアパート トイレは共同 小さな机と椅子に
万年床の布団 床にはGが平気で這い回る…
いもくさい主人公の出てくる「大東京ビンボー生活マニュアル 」の主人公の方が
よっぽど優雅な生活を送っている(カノジョいるし)と思わせられるほど
男やもめの汗臭い漫画でした
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