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ボールルームへようこそ [燃え]


ボールルームへようこそ(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

ボールルームへようこそ(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者: 竹内 友
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/05/17
  • メディア: コミック


自覚しろ お前は戦場に足を踏み入れた

これといった才能も、将来の夢も、やりたいことも見つからない…
中学3年生の富士田多々良(ふじた たたら)は、そんなごく平凡な自分にコンプレックスを抱える少年だった。
僕は、変わらなきゃ―。
焦りはするものの目先の進路すら決めかね常に自信なさ気な多々良。
ある日進路調査票に何も書けない彼が、ひとしきり職員室で担任に苦言を貰った帰り、町で謎のヘルメット男に連れ去られてしまう。
連れられて来た先はなんと社交ダンス教室。男はプロのダンサーであり教室のスタッフであった。
成り行きで無料の体験レッスンを受けることになる多々良。
「ふふ…僕なんかが社交ダンスって…」
あまりの場違い感に自分でおかしくなりながら見よう見まねで踊っていると、そこに現れたのは先ほど職員室で見かけた、同学年のとびっきりの美少女だった…!

月刊少年マガジンにて連載。
今回ご紹介するのは社交ダンスを題材にしたマンガです。
とにかくまずはこの表紙。
表紙に惹かれて購入したのですが、これが印象どおりのアツいマンガなのです!
作者の竹内友さんはマンガ専門校「日本マンガ塾」卒の新人の漫画家さんだそうで、在塾時代に新人賞を獲得してから初の連載作品なのだそうです。そして竹内さん自身「『漫画家になる』という幼少からの夢を忘れてしまうほどの事件」として挙げるのがこの社交ダンス…その中で競技ダンスと言われるものとの出会いだったそうで、全編にそのアツい思いが漲っているのです。
社交ダンスと言えば、周防正行監督の傑作「Shall we ダンス?」ヤマシタトモコさんの「BUTTER!!!」などでも描かれるような自分を表に出すことに積極的ではない主人公が、ペアを組む相手と息のあったダンスを踊る面白さ、自己を表現する楽しさに目覚めていく姿が描かれる爽やかな青春ものとして描かれる事が多い印象があるのですが、こちらはそれらの要素も備えつつも、勝ち負けの世界である競技としてのダンスを描く、アグレッシブな物語なのです。

お話は 特別な能力もなく、やりたいことも見つからずに悶々としているごく平凡な少年が社交ダンスに出会って、激しい実力の世界に生きるプロのダンサーや、同い年なのにアマの国内グランプリでは敵なしなほどの実力を持つ少年らに刺激されながら、自らもダンスの楽しさに目覚めていく…というもの。
筋だけ言ってしまえばスポーツを題材にしたマンガなら珍しくもない展開です。
なんていうか「はじめの一歩」とぼんやりと重なるところがあって、多々良をダンス教室に連れてきたプロダンサー仙石は鷹村みたいなワイルドさを持ってるし、同年代の実力派ダンサーは宮田くんというのには昼行灯なところがありますが、ダンスにかけるのめり込み具合はストイックなほど。賑やか師の青木村みたいなのやらもいて、多々良君自身も「平凡で取り柄のない主人公」と言いつつも意外な才能を持っているのはオヤクソク。知ってる人から見れば嫌がらせに近いダンスの練習をさせられても、踊るのが楽しくて気がついたら一晩中踊り続けてましたというエピソードなど、いかにもって感じです。

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けれどこのマンガ、それらベタ路線を補って余りある魅力というのが当たり前といえば当たり前のダンスシーンの凄さなのです。
特に踊っている時の選手の「目力」が凄いんですよ!
競技ダンスの勝ち負けは要は審査員の目をどれだけ釘付けに出来るかです。
なので競技の時の彼らはもう全身全霊で
「さあ 俺の踊りを見ろ! これでもか! これでもか!」
とばかりにぐいぐい主張してくる。
普段の格好とは異なり、髪をセットしてメイクもバッチリ、カッと目を見開いて凄みを持った顔つきに変身するところは見ものですよ。
なんていうかな、ギラギラしてるんですよ。ホールを「戦場」と呼ぶほどに彼らは戦っているんです。だから読んでてワクワクできるんですね。

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ギラギラしてるといえば、多々良君をダンスの世界に誘った張本人である鷹村…もとい仙石さんも良い性格してるんですよ。
仙石さんが大会で優勝した時の映像を、他のダンス教室のスタッフから借りて視た多々良君が、すっかり影響されて「僕も仙石さんみたいになりたい」という素直な感想を言うや、仙石さんは内心ムカーってなっちゃうわけですよ。
「俺はそんなに安い人間かね?」と。この大人げなさ。
てめぇみたいなヘラヘラしたヤツが俺みたいになんて軽々しく言うんじゃねえ
それは凄まじい努力と実力に裏打ちされた強烈な自尊心。
仙石に限らず多々良君に影響を与える他のキャラクターたちの誰もが形は違うけれど身にまとっているもので、このアツさは格闘技マンガに引けをとりません。
ぜひご一読を。


1話試し読み → 講談社コミックプラス
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コメント 2

あくり

初めてのコメントです♬
すごいですよねっ^^
私は主人公と同い年(学年は一つ上)でおなじ競技ダンスをしているのでかなりどきどきして読んでいます(´;ω;`)
この間書店で初めて見つけた時のときめきはもう大変でした^^

この漫画からもっと競技ダンスが身近なスポーツになってくれたら嬉しいです^^

by あくり (2012-08-09 21:48) 

meriesan

初めまして~ おおっ競技ダンスをやられているのですか!
そんな方もどきどきして読んでいるとはしっかりとした設定の上に成り立っているマンガなんですね。
つい最近2巻も出ましたけど増々面白くなるばかりです。作者の竹内さん自身も深い思い入れをお持ちのようですし、あくりさんが望まれるような拡がりをみせていくといいですね!
by meriesan (2012-08-10 00:58) 

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